第65話 人間対

 頭が痛すぎる。

 また上司にぶん殴られて、研修期間も延長になってしまった。


 結局、アルサケ星の人間たちは、神の力で作り直すことになった。


 あいつらは、お酒の飲みすぎで肝硬変や急性アルコール中毒などの、病気になって全滅しまくるので、仕方がなかったのよ。


 今は新しい人間が、仲良く平和に暮らしているわ。

 お酒は、ほどほどにね。


 え?


 それは、お前もだって、ツッコまれた気がするわ。

 気のせいよね?

 まあ、良いわ。


 そして、また管理する星を変更することになったのよ。


 今度は、キズシヨクという星を管理するのことになったのよ。

 コーンカツ星とよく似ている星で、人間も住んでいるわ。

 文明レベルは、かなり高いみたいよ。


 他の詳しい情報は、天使たちが調査中よ。


 いったい、この星では何が起こっているのやら。

 なんとも気が重いわね。



「神様!神様ー!大変ッスよ!」


 マイケルがやって来たようね。


 かなり慌てているようね。


 ということは、問題発生中ということね。

 本当に気が重いわね。


「神様!人間が全滅していました!!」


「な、なんだってーーー!!!」


 また、いきなり人間全滅パターンなの!?


「それで原因は、いったいなんなの!?」


「ドラゴンッスよ!」


「え?」


「だからドラゴンッスよ!ドラゴンみたいな生物が、世界中にたくさんいて、人間を全滅させたみたいッス!」


「ええ!?あれって、架空の生物じゃなかったの!?」


「多分、それと似たような生物だと思います。今は、この星の空を、我が物顔で飛んでいますよ!」


「なるほどね」


「それと、そのドラゴンたちは、どうやら人間が作ったみたいッス」


「な、なんだってーーー!!!なんでそんなことをしたの!?」


「そこまでは分かっていません。世界中がドラゴンたちに破壊されてしまったせいで、調査が難航しています。ただ、痕跡を調べると、そうとしか思えないッス」


「それならドラゴンを作った理由を、神の力で調べてみましょう」


「流石神様!よろしくお願いします!!」


「任せておきなさい!」


 それでは、発動よ!


「な、なんだってーーー!!!そんな理由なの!?」


「どのような理由でしたか?」


「ドラゴンの肉を食べてみたかったからだそうよ」


「えー!?そんな理由ッスか!?」


「ええ、この星の人間たちは、食べるのが大好きで、食への探求心が旺盛だったのよ」


「食へのこだわりッスか。それでドラゴンの肉を食べてみたくなったと」


「ええ、大昔に、この星にはドラゴンが住んでいたそうよ。でも、絶滅してしまったそうよ。それを科学の力で、よみがえらせようとしたみたいね」


「それで失敗して、この有様ッスか」


「そのようね」


「危険だとは、思わなかったのでしょうかね?」


「思ったけど、食欲の方が勝ってしまったようね」


「自分の命を賭けてでも食べたかったなんて、すごいッスね」


「そうね。すごいこだわりね」


「ところで人間たちはどうします?生き返らせますか?」


「うーん、どうしましょう?ドラゴンたちに全滅させられたってことは、生存競争に負けたということだからね」


「確かに、その通りッスね。神の力で生き返らせるのは、間違っているのかもしれませんね」


「そうなのよ。残酷かもしれないけれど、それが生物というものだからね」


「そうッスね。仕方ないッスね」


「ええ、仕方ないのよ。ドラゴンたちの方も、そのままにしておきましょう。彼らは勝って生き残ったのだからね」


「了解ッス」



 次の瞬間。

 ドラゴンは全滅した。


 キズシヨク星で、大爆発が起こったからである。



「神様!キズシヨク星で爆発が起こりました!」


「神様!キズシヨク星の消滅を確認しました!!」


 天使たちが大慌てで、やって来て報告してくれた。


「爆発って!?原因は、なんなの!?」


「不明です!すべてが吹き飛んでしまったので、調査が難航しています!」


「仕方ない、また神の力で調べましょうか」


「流石神様!頼りになります!」


「神様!よろしくお願いします!!」


「私に任せておきなさい!」


 では、発動!


「ええ!?そんなものを用意していたの!?」


「神様!原因は何だったのですか?」


「キズシヨク破壊爆弾の爆発よ」


「「「ええ!?」」」


 マイケルと天使たちが驚いている。


「人間たちがドラゴンを作る時に、念のために、キズシヨク破壊爆弾を用意しておいたのよ。それが爆発したみたいね」


「人間たちが、一矢報いたってことッスか?」


「ええ、そうなるわね」


「この星の人間たちは、なかなかやりますね」


「ええ、そうね」


「とすると、人間とドラゴンの勝負は引き分けになりますね」


「そういうことになるわね。ご褒美というわけではないけど、人間たちは生まれ変わらせましょうか」


「それが良いかもしれませんね」


 キズシヨク星の人間たちは、新たな人間として生まれ変わった。

 ついでにドラゴンたちも、ただのトカゲとして生まれ変わった。


「さあ、今日の仕事は終わりよ。みんなで飲みに行きましょうか!」


「了解ッス!!」

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