第63話 長い

 頭が痛い。

 二日酔いよ。


 ミゴキシ星の人間たちの門出を祝う、という名目で飲みすぎたわ。


 死因が、あまりにもひどくて、ストレスがたまっちゃったのだから、仕方ないわよね。


 さあ、今日も、お仕事をしましょうか。


 実は、ついさっき、また辞令が出て管理する星を変更することになったのよ。


 今度は、ヨノオワリダという星を管理するのことになったのよ。

 コーンカツ星とよく似ている星で、人間も住んでいるわ。

 文明のレベルは、かなり高いらしい。


 他の情報は、まだ不明。

 天使たちが調査中よ。


 さて、今度はどんな星なのかな?

 いまいち気分が乗らないけど、がんばらないとね。



「神様!神様!大変ッスよ!」


 マイケルが、やって来たようね。


 ものすごく慌てている。

 これは厄介事ね。


 なんだか気が重くなってきたけど、がんばりましょう。


「どうしたの?何が大変なの?」


「人間たちが絶滅しかかってます!!」


「絶滅しかかっているの!?原因は、いったいなんなの!?」


「はい。原因は、ヨノオワリダ破壊するかもしれないようなしないような微妙にする感じの爆弾が爆発したからッス!」


「え?今、なんて言ったの?」


「だから、ヨノオワリダ破壊するかもしれないようなしないような微妙にする感じの爆弾の爆発ッスよ!」


 ヨノオワリダ破壊するかもしれないようなしないような微妙にする感じの爆弾!?


 名前長すぎでしょ!?


 誰よ!こんな名前を付けたのは!?


 ヨノオワリダ星の人間の誰かなの!?


「なんでそんな爆弾があるの?」


「この星の変態科学者が作ったみたいッスね」


 おのれ!変態科学者め!!


 人間って、時々変なのが出るわよね。


「爆弾を作った理由は、なんなの?」


「不明ッス。変態だからかもしれませんね」


「おのれ!変態め!!」


「これが報告書ッス」


「ありがとう」


 この星も大問題を抱えているようね。


 あぁ、なんて頭が痛いの。


 とりあえず、報告書を読んでみましょう。


 爆発により、人間の大部分が死亡。

 動植物も大きな被害を受けた。


 世界各地が荒野になっている。


 生き残った人間たちは、資源の奪い合いをしている。

 よって、治安は最悪な状態。


 人間を含む、多数の生物の絶滅まで秒読み状態である。


 なるほど、とんでもない状況ね。


 ちょっと人間の世界を見てみましょうか。

 それを見ながら、どう対処するのか、考えましょう。


 これはひどい。

 報告書の通り、荒野が広がっているわね。


 え?



 次の瞬間。

 人間は全滅した。


 大爆発が起こり、ヨノオワリダ星が消滅したためである。



「神様ー!」


 またマイケルが大慌てで、やって来た。

 他の天使たちも慌てているようね。


「神様!大変ッスよ!!」


「ええ、そうね。爆発したわね。私の方でも確認したわ。原因は分かったの?」


「ヨノオワリダ破壊するかもしれないようなしないようなやっぱりしちゃう爆弾の爆発ッス!」


「え?今、なんて言ったの?」


「だから、ヨノオワリダ破壊するかもしれないようなしないようなやっぱりしちゃう爆弾の爆発ッス!!」


 ヨノオワリダ破壊するかもしれないようなしないようなやっぱりしちゃう爆弾!?


「ええと、それって、前と同じ爆弾なの?」


「前のは、ヨノオワリダ破壊するかもしれないようなしないような微妙にする感じの爆弾ッス!」


 ヨノオワリダ破壊するかもしれないようなしないような微妙にする感じの爆弾。


 ヨノオワリダ破壊するかもしれないようなしないようなやっぱりしちゃう爆弾。


 最後の部分が、ちょっと違う!?


 これって、わざわざ変える必要あるの!?


「ややこしいわ!?何が違うの!?」


「威力が違うみたいッスね」


「星を破壊できるかどうかの違いなの?」


「そうッスよ」


「なんで、こんなものがあるのよ!?」


「また変態科学者が作ったみたいッスよ」


「おのれ!変態科学者め!!」


 ちょっと神罰を与えてやりましょうか?


 って、この爆発では、もう死んでいるわね。


 さらに腹立たしくなってきたわ!!


 おのれ!変態科学者め!!


「ところで、ヨノオワリダ星はどうしますか?」


「もう、こんなひどい星は作り直すわ!それが終わったら飲みに行くわよ!!」


「了解ッス!!」

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