第58話 超大魔王美少女?

 頭が痛い。

 今回は二日酔いと、心労のサッパリお得じゃないセットよ。


 まったくうれしくないし、必要ないわね。

 さっさと捨てましょう。


 あの後、ミスリテ星を神の力で元に戻して、古代文明の遺跡をすべて破壊しておいた。

 これで、あそこは良くも悪くもない普通の星になったわね。

 めでたし、めでたしね。


 その後、また管理する星を変更することになったのよ。


 今度は、ヨーゲンという星を管理するのことになったのよ。

 コーンカツ星とよく似ている星で、人間も住んでいるわ。

 文明レベルも同じくらいよ。


 他の詳しい情報は、天使たちが調査中よ。


 さて、この星では、何が起こっているのやら……

 気が重いわね。



「神様ー!」


 マイケルが報告に来たようね。


「神様、報告します!」


「ええ」


「この星は少子化といった絶滅しそうな問題は、見つかりませんでした。ただ……」


「どうしたの?」


「変なウワサが流れてますね」


「ウワサねぇ、どんなものなの?」


「なんでも近いうちに、人間が絶滅するとか、全滅するとか、そんな感じのものッスね」


「物騒なウワサね。具体的には、どういったものなの?」


「昔、この星には予言者が何人かいたらしいッス。その人間たちが全員、近いうちに危険なことが起こると予言したらしいッスよ」


「よ、予言!?」


 なんてウサンクサイの。


「はい。戦争が起こるとか、環境問題が発生するとか、新種の病気が発生するとか、ヨーゲン破壊爆弾が爆発するとか、巨大隕石が衝突するとか、大気汚染と水質汚濁が起こるとか、大地震の発生と、それに伴う大津波が発生するとか、いろいろありますよ」


「本当に、いろいろね。というか、予言しすぎじゃない?」


 とりあえず、言ってみましたって、感じね。


「そうッスね。後は、スーパー恐怖の超大魔王美少女・キョフラホーちゃんがやって来て、この星を滅ぼすなんてのもありますよ」


 スーパー恐怖の超大魔王美少女・キョフラホーちゃん!?


「ナニソレ、ウサンクサイ」


 ネーミングセンスひどすぎでしょ!?


「キョフラホーちゃんの予言は、予言者として世界で最も信頼されていた、ゼツタ・イアタルという人間の予言だそうッスよ」


 スーパー恐怖の超大魔王美少女・キョフラホーちゃんを予言して世界一!?


 それで良いのか?ヨーゲン星の人間たちよ。


「この星は、もうダメなのかもしれない……」


「そうかもしれないッスね。こちらが報告書ッス」


「ありがとう」


 要するに、変なウワサが流れているだけみたいね。


 とりあえず、報告書を読んでみましょうか。


 うん、普通の星みたいね。


 人間には、善人も、悪人も、普通のも、ちょっと変わったのもいる。


 国家が複数ある。

 各国の関係は、良くも悪くもない。


 治安や景気は、良くも悪くもない。


 社会問題はあるけど、絶滅だの、全滅だのが起こるようなものではない、といったところね。


 後は予言についてね。

 なんでも明日からが、予言の日だそうよ。


 まずは戦争が起こると予言されている。


 その次の日から、一日一つのペースで問題が起こるそうよ。


 順番は、環境問題の発生、新種の病気の発生、ヨーゲン破壊爆弾の爆発、巨大隕石の衝突、大気汚染と水質汚濁、大地震と大津波となっている。

 そして、最後にスーパー恐怖の超大魔王美少女・キョフラホーちゃんで終わりみたいね。


 あぁ、なんてウサンクサイの。

 ツッコミどころ満載ね。


 環境問題って、具体的になんなの?

 何が起こるの?

 曖昧すぎるでしょ。


 ヨーゲン破壊爆弾の爆発や、巨大隕石の衝突なんて起こったら、その時点で人間は全滅でしょうに。

 どうして、その後にも予言が続くの?

 無理があるでしょう?

 仕事が雑なのよ。


 大気汚染と水質汚濁、大地震と大津波も似たようなものね。


 スーパー恐怖の超大魔王美少女・キョフラホーちゃんは、もう何も言うことはないわ。

 圧倒的なウサンクサさのせいでね。



 さて、念のために、人間の世界を観察してみましょうか。

 ヨーゲン破壊爆弾が本当にあるとマズいし。


 報告書の通り普通ね。


 良くも悪くもないわ。

 軍事技術は高くはないから、ヨーゲン破壊爆弾を作れないみたいね。


 ん?あれは?

 スーパー恐怖の超大魔王美少女・キョフラホーちゃん人形が売っている。

 キーホルダーやマグカップなどのグッズもあるわ。

 意外と人気があるのね。


 この星を滅ぼす存在だというのにね。

 美少女だからなの?

 美少女なら、なんでも良いの?



 こんなところね。

 特に異常はないわね。

 何か起こるとしたら、明日以降になるのかな?



 次の日。

 今日は戦争が起きる日らしいけど……


 起きる気配はないわね。

 まあ、予言なんてこんなもんでしょ。



 次の日。

 環境問題が起きるという予言の日よ。


 何も変わったことはないわね。

 結局、環境問題がなんなのか分からなかったし。



 次の日。

 新種の病気が発生するという予言の日よ。


 何も起きていないけどね。

 病院も混んでいないわよ。



 次の日。

 ヨーゲン破壊爆弾が爆発するらしいわ。


 しなかったけどね。

 念のために、見張ってたのに無駄だったわね。



 次の日。

 巨大隕石が衝突するという予言の日よ。


 そんなもの見当たらないけどね。

 念のために、宇宙を調べたけど、そんなもの近くには存在しなかったわ。



 次の日。

 大気汚染と水質汚濁が起きる日よ。


 当然、起きていないけど。

 前日と変化なしよ。



 次の日。

 大地震が発生して、大津波が来る日よ。


 まったく起きなかったけどね。


 明日はスーパー恐怖の超大魔王美少女・キョフラホーちゃんが来る日か。


 バカバカしいわね!

 ここまでの予言なんて、すべて外れてるし、今回もそうでしょ!


 そもそもスーパー恐怖の超大魔王美少女・キョフラホーちゃんって、なんなのよ!?


 意味が分からないわ!


 そうだ!

 こんな時は、飲みに行きましょう!!


「神様ー!いつもの店から良い酒を入荷したという、お知らせが来ましたよ!!」


 良いお酒!!

 良いタイミングね!


「良いわね。せっかくだから、みんなで行きましょう!」


「了解ッス!みんなに声をかけて来ます!」


 楽しみね!


 ん?良いお酒の入荷のお知らせ?


 これって、何かあったような……


 まあ、良いか。


 では、出発!!



 次の日。

 人間は全滅した。


 突如、ヨーゲン星が爆発したためである。



「な、なんじゃこりゃーー!!なんでヨーゲン星がなくなっているの!?」


 どういうことなのよ!?

 ヨーゲン星は、どこに隠れちゃったのよ!?


 出て来なさいよ!

 お願いだから!


「神様!原因が分かりましたよ!」


「何?いったいなんなの!?」


「スーパー恐怖の超大魔王美少女・キョフラホーちゃんッス!」


「は!?」


 マイケルが写真を見せてきた。


 そこには、宇宙に浮かぶ、スーパー恐怖の超大魔王美少女・キョフラホーちゃんと船体に書いてある宇宙船と思われるものと、ヨーゲン破壊ミサイルと書かれたミサイルが映っていた。


「スーパー恐怖の超大魔王美少女・キョフラホーちゃんが宇宙船に乗って現れました!そして、ヨーゲン破壊ミサイルを撃ち込んできました!その結果、ヨーゲン星は爆発して、コナゴナに砕け散りました!」


「な、なんだってーーー!!!」


 ヨーゲン破壊ミサイルで破壊された!?


 なんで、この予言だけが当たるのよ!?

 他のみたいに外れてよ!?


「スーパー恐怖の超大魔王美少女・キョフラホーちゃんは、どこに行ったの!?」


「不明ッス!宇宙船にワープ機能があったみたいで、すぐに消えちゃったッスよ!」


「スーパー恐怖の超大魔王美少女・キョフラホーちゃんって、何者なのよ!?」


「スーパー恐怖の超大魔王じゃないッスか?」


「そういうことじゃなーい!?」


「詳細は不明ッス。でも、どこかの宇宙人では?宇宙船に乗っていましたから、かなり高度な文明の星の人間なのかもしれません」


「そんなのが、なんでヨーゲン星を破壊するのよ!?」


「不明ッス」


「分からないこと、だらけすぎる!?」


「そうッスね。とりあえず、ヨーゲン星を元に戻した方が良いッスよ」


「そうね。はっ!こ、これはいつもの!?」


「あ、確かにいつものッスね」


 なんで!?

 今回はスーパー恐怖の超大魔王美少女・キョフラホーちゃんのせいでしょ!?


 あ、もしかして飲みに行っていて、監視がおろそかだったからなの!?


 そんなことを考えていると、いつの間にか私のそばに、いつもの鬼がいた。


 あぁ、スーパー恐怖の超大魔王美少女・キョフラホーちゃんは、私の頭まで破壊しようというの?

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