第57話 必ずある
頭が痛すぎた。
また上司にぶん殴られて、研修期間も延長になってしまった。
おしおきは、まったく消極的ではなかった。
いつも通りの痛さよ。
容赦なしね。
あの後、オユシイ星の人間たちに、いろいろとやってみた。
恋愛話には、興味を示したが影響はなかった。
天使たちにお手本として、イチャ付いてもらっても、恥ずかしくて見れなかったようだし。
美男美女に変身した天使たちの水着姿を見たら、鼻血を出して死にかけていた。
とにかく思い付くものを、いろいろとやってみたが効果が、まったくなかったので、仕方なく最終手段を使用した。
今は男女仲良く、手を取り合って、原始的な生活をしているわ。
ハッピーエンドね。
え?
結局、また人間が全滅してるじゃないかって、ツッコまれた気がするわ。
気のせいよね?
気のせいということにしましょう。
そして、また管理する星を変更することになったのよ。
今度は、ミスリテという星を管理するのことになったのよ。
コーンカツ星とよく似ている星で、人間も住んでいるわ。
文明レベルも同じくらいよ。
他の詳しい情報は、天使たちが調査中よ。
次は、いったいどんな星なのでしょうね?
なぜか今回は、とてつもなく悪い予感するのよね。
どこかに全滅の要因になりそうなものが、存在している気がするわ。
気を引き締めてかからないといけないようね。
「神様ー!」
マイケルが報告にやって来たようね。
慌てている様子はないわね。
「神様、報告します」
「ええ」
「この星は人間たちが全滅する程の、目立った問題は起きていませんね。少子化も起こっていません」
「そう……」
「神様、どうかしましたか?」
「なぜか嫌な予感がするのよ」
「嫌な予感ッスか。なんでしょうね?」
「人間たちにとって、良くないことだと思うわ。全滅してしまうとかだと思うの」
「そうッスか。この星にも、ちょっと怪しげな人間ならいましたけどね。その人間たちは天使たちが見張っていますよ」
「分かったわ。ところで、ミスリテ破壊爆弾はあるの?」
「ありませんでした。今はッスけど。報告書どうぞ」
今は、ね。
「ありがとう」
目立った問題は起きていないのか……
怪しい。
ものすごく怪しい。
メチャクラヤス星みたいなことが、そう何回も起こるとは思えない。
目立ってない問題はあるとか?
とりあえず、報告書を読みましょうか。
この星の人間たちの世界は、良くもなく悪くもない。
いわゆる普通の状態。
景気は良くも悪くもない。
世界に国家が複数ある、仲の良いところもあれば、悪いところもあるが、戦争が起きる程ではない。
兵器開発をしている国もある。
ミスリテ破壊爆弾はないが、作り出す可能性がある科学者ならいる。
男女の仲は良い人間もいれば、悪い人間もいる。
不倫している人間は、それなりの人数がいる。
ストレスがたまっている人間は、それなりの人数がいる。
結婚に高望みをしている人間は、存在しているが全員ではない。
少子化でもない。
無気力な人間は少数だがいる。
ギャンブル狂いはそれなりにいる。
度を越した変態は、ごく少数だがいる。
爆発しそうな新型エンジンはないが、新型エンジンの開発はしている。
社会問題はそれなりにあるけど、今すぐに人間が全滅しそうなものはないわね。
後はマイケルが言っていた、ちょっと怪しい人間たちが書かれているわ。
念のために、私の方でも、この人間たちを確認してみましょう。
兵器研究をしているハカバク・ツークル博士。
最近は新型の爆弾を研究しているようね。
この人間が住んでいる国は、軍事大国なのよ。
ハカバク博士も研究資金を援助してもらっている。
ミスリテ破壊爆弾を作り出す可能性があるわね。
爆弾が異常に好きな天才変人ドヘン・タイマッド。
個人で爆弾の研究をしている、変な人間よ。
爆弾に、ものすごいこだわりがあるみたい。
特に威力の高い爆弾が好みらしいわ。
この人間も、ミスリテ破壊爆弾を作り出す可能性があるわね。
ロボットを開発しているバクツ社。
なぜか同じ名前の会社が、この星にもあったのよ。
しかも、なぜか事業内容まで同じ。
偶然とは思えないわね。
運命的なものを感じる気がするわ。
多分。
もしかしたら、またボウソーバクハーエンジンを、作り出すのかもしれないわね。
新エネルギーの開発をしているバクハジコ社。
最近、新エネルギーの開発に乗り出した会社よ。
開発失敗で爆発なんてことが、あるのかもしれない。
宇宙開発をしているジ・コドカン社。
最近、ロケットに搭載するための、新型のエンジンを開発している会社よ。
ここもボウソーバクハーエンジンみたいなものを、作り出すのかもしれないわ。
独裁国家シイアヤ。
一見、平和そうに見えるけど裏では怪しい研究をしている国よ。
兵器やエネルギー、生物兵器の研究開発なんかもやっているみたいね。
かなり怪しいわね。
以上ね。
うーん。
どれも怪しいわ。
彼らを、しばらく監視対象としましょうか。
天使たちにも、彼らに注意するように、と伝えておきましょう。
後は、とりあえず、天才変人ドヘン・タイマッドを警察に逮捕させましょう。
こいつは火薬とか、いろいろと変なものを持っているから、多分可能でしょう。
こいつが一番、ミスリテ破壊爆弾を作り出しそうだからね。
神の力発動よ。
ドヘン・タイマッドは逮捕された。
研究物は押収され、刑務所に収容された。
これで、こいつは問題を起こせなくなったはず。
容疑者を一人排除したわね。
さて、他の連中の監視をしましょうか。
次の日。
監視対象たちに目立った動きはないわね。
みんな真面目に働いているわ。
ドヘン・タイマッド以外は、仕事としてやっているから、当然だろうけど。
次の日。
ハカバク・ツークル博士は威力ではなく、使いやすさを重視した兵器の開発をすることにしたみたいね。
対象をピンポイントで爆破するような爆弾を作ろうとしているみたい。
彼は容疑者から外しても良いかもしれない。
次の日。
三つの会社は、社員たちが真面目に働いているだけね。
独裁国家シイアヤは、とてつもなく怪しい。
威力重視の兵器を開発をしているし、新エネルギー、新型エンジンの開発もしている。
現状では、ここが一番怪しいわね。
最重要監視対象としましょうか。
次の日。
人間は全滅した。
ミスリテ破壊爆弾が起爆し、その爆発に巻き込まれたためである。
当然ミスリテ星も消滅した。
「な、なんでじゃーーー!!!」
容疑者たちは、キチンと見張っていたのに、どうして爆発するの!?
いったい何が爆発したの!?
どこに爆発物があったの!?
「神様!原因が分かりました!」
「何?なんなの!?何が起こったの!?」
「この星には、高度な技術力を持った古代文明があったみたいッス。今は、その遺跡が地中に埋まっています」
「ええ!?古代文明!?」
「そこでミスリテ破壊爆弾が作られていて、保管されていました。それがなぜか、今になって爆発したみたいッス」
「な、なんだってーーー!!!」
地中にミスリテ破壊爆弾があっただと!?
そんなの分かるかーー!!
地中まで調べなかった、私たちが悪かったというの!?
生きている人間に注目しすぎたのが、悪かったというの!?
こんな理不尽やってられないわ!?
「もう!こうなったら、自棄酒よ!!マイケル行くわよ!!」
「了解ッス!!」
今日は飲みまくるわよ!!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます