第56話 免疫なさすぎ

 頭が痛い。

 今回は二日酔いと、疲労と、心労のトリプルセットよ。


 まったくうれしくないし、必要ないわね。

 さっさと返品したいわ。


 今度は、オユシイという星を管理するのことになったのよ。

 コーンカツ星とよく似ている星で、人間も住んでいるわ。

 文明レベルも同じくらいよ。


 他の詳しい情報は、天使たちが調査中よ。


 今度は、どんな星なのでしょうね?

 また大問題が発生中なの?

 気が重すぎる。



「神様ー!大変ッスよ!!」


 マイケルがやって来た。

 慌てている様子ね。


 ということは、問題が見つかったということか……


 面倒くさいものじゃないと良いけど。


「神様!報告します!」


「ええ、どうしたの?」


「人間が少子化で絶滅しそうです!」


「な、なんだってーー!!」


 人間が少子化で絶滅!?


 なんだか久しぶりね。

 全然うれしくないけど。


「それで原因は?」


「人間たちが真面目すぎて、恋愛に奥手で、慎重で、心配性で、貞操観念が高すぎるせいで、恋愛も結婚できないからッス!」


「ものすごく恋愛に消極的ってことなの?」


「そうッスね。これが報告書になります」


「ありがとう」


 恋愛に消極的なせいで絶滅か。


 なんだか今までの問題と比べると、まだ良い方な気がする。

 対処ができそうだし。


 とりあえず、報告書を読んでみましょうか。


 人間たちの世界は、景気が悪くなってきている。

 少子化で、それがさらに加速している。

 慎重で真面目な人間たちは、それを不安に思っているのね。


 そのため、恋愛をするよりも、お金を稼ぐ必要があるという考えに至った。

 まず行うのは勉強、就職となり、恋愛は後回しにされているわけね。


 その結果、恋愛の経験が、まったくない人間が増えている。

 いざ恋愛をしようとしても、やり方がわからず行動できない。


 さらに慎重で心配性な性格のためか、恋愛で傷付くのを過剰に恐れる人間や、結婚後に、お金が足りなくなる可能性を考えて、結婚に踏み切れない人間もいる。


 なるほどね。

 確かにマイケルの言う通りの性格みたいね。


 なんというか、ゴチャゴチャと考えすぎなのかもね。

 当たって砕けろの精神で、ぶつかっちゃえば良いのよ。


 やってみないと分からないものよ!

 私のように、何度も挑戦しないとね!!


 え?


 お前は砕けすぎだろ!

 って、ツッコまれた気がするわ。


 気のせいよね?

 気のせいということにしておきましょう。


 さて、人間たちをどうしてやりましょうか?


 ここは強制的にスキンシップをさせてみましょうか。


 異性に慣れるだろうし、これが切っ掛けになって、仲良くなるかもしれない。

 うん、名案ね。


 さっそく実行よ!


 神の力発動よ。

 異性の人間同士でくっ付きなさい。

 スキンシップをするのよ。



 次の瞬間。

 人間は全滅した。


 オユシイ星の人間たちは、初めて異性に触れた。

 その恥ずかしさで興奮してしまい、鼻血を出してしまった。


 そして、出血多量で亡くなってしまったのだ。



 さあ、人間たちの様子を見てみましょうか。


「な、なんじゃこりゃーーー!!!なんで、こんなに血まみれなの!?」


 あたり一面、血の海になっている!?

 あまりのひどさに、つい叫んでしまったわ!


 なんで、こんなひどいことに!?


 原因は、なんなの!?

 調べてみましょう!


 え!?

 スキンシップをしたら鼻血が大量に出て、この有様なの!?

 なんでそんなことになるの!?


 ちょっと異性に触れただけでしょ!?

 免疫がなさすぎよ!!


 あ、そうだ、人間を元に戻さないと……


 はっ!

 これは殺気!


 いつの間にか私のそばに、いつもの鬼がいた。


 あぁ、神(上司)よ、私のおしおきにも消極的になって欲しいです。

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