第8話 夢に出てやる
頭が痛い。
また上司に殴られた。
研修期間の延長された。
人間を元に戻してもらった。
いつも通りね。
ちくしょうめ!
さあ、元気を出して、今日もがんばろう!
まずは反省会よ。
前回の失敗の原因は、やはり催眠術のようね。
神の力が強すぎたみたいで、余計な効果まで出てしまったみたい。
これからは力加減に気を付けないと。
では、今回の作戦を考えましょう。
前回は失敗したけど、情報を発信して影響を与えるという手段は有効だと思うの。
というわけで、小説ではない、他の手段でやってみましょう。
さて、何にしましょうか?
私の目的は、今の人間には相容れないものだし、考えなしに情報を発信しても無視されると思う。
何か良い方法は……
そうだ、私は神(見習い)なのだ。
今こそ、人間たちに、神託を下すのだ!
夢枕に立って、語りかけてみましょう。
寝ない人間はいないし、無視もできないから完璧ね。
さっそくやってみましょう!
その日の深夜。
そろそろ時間ね。
神の力発動!
夢の中に侵入成功!
さあ、始めましょうか。
あ、そういえば、台詞を考えてなかったなぁ。
まあ、良いか。
アドリブでいきましょう。
「これは警告よ。あなたたちはもうすぐ絶滅する。少子化が原因よ。直ちに子供を生みなさい。結婚相手に高望みをするのは止めなさい。身の程をわきまえなさい。繰り返す……」
こんなところね。
アドリブにしては、なかなか良い出来の神託だったわね。
私の神(見習い)のカリスマで、みんな従うでしょう。
流石私!
これで問題解決よ!
さあ、帰ってお酒を飲もう!!
次の日。
では、人間の様子を見てみましょうか。
どう変わっているのか楽しみね!
……え?
なんの変化もない……
強いていうなら、欠伸をしている人間が、よく目に付くかなっていうくらいね。
どういうことなの?
仕方ない、今夜もう一回やってみましょうか。
その次の日。
やっぱり、ほとんど変化はない。
昨日よりも、欠伸をしている人間が目立つくらいね。
なぜなの?
神(見習い)が夢枕に立ったのよ。
神のお告げじゃ~とか、神託が下ったとか、大騒ぎになるものでしょう?
反応がなさすぎて、悲しくなってくるわ。
せめて議論くらいしなさいよ。
こうなったら、何か反応があるまでやり続けてやるわ。
さらに五日後。
みんな眠そうにしている。
もしかして、よく眠れてないの?
私の行動が安眠妨害になっていたの?
どうやらそのようね。
仕方ない、今日は夢枕に立つのは止めましょうか。
というわけで、飲みに行きましょう!!
「マイケルー!今日の仕事は中止よ。飲みに行きましょう」
「ラジャーッス。みんなに声をかけてきます!」
中止になって、運が良いとか思っているわけではないからね。
次の日。
人間は全滅した。
睡眠不足でストレスがたまっていた人間は、つまらないことでケンカを始めてしまった。
それが徐々に拡大していき、戦争に発展した結果であった。
ちなみにミャリュエルは、コーンカツ星ではまったくの無名の神(見習い)である。
その上、警告時に名乗っていなかった。
その結果、人間には神のお告げと認識されず、変な夢を見たという認識しか持たれていなかったのだ。
「なんで?なんでこんなことになっているのよーー!!」
眠いなら戦争なんかしてないで、家で寝なさいよ。
なんでこんなすぐに全滅するのよ。
私にお酒を飲む時間をちょうだいよ。
仕事が急に中止になったのだから、羽目を外して一日中飲んでいても良いじゃない。
おのれ!人間どもめ!
!
はい。
いつもの殺気が来たようね。
あぁ、私はこれからたっぷりと睡眠が取れそうね。
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