第4話 君、邪神だったの?

 頭が痛すぎる。

 またまた上司に殴られて、研修期間が延長になってしまった。

 そろそろ頭がへこんでしまうのではないかと、心配になってしまう。


 さあ、気を取り直して、今日も最高神を目指して、お仕事がんばりましょう!


 ちなみに、人間は上司の力で、みんな元通りよ。


 まずは反省会からね。

 私はお金のことが、まだよく分かっていなかったみたいね。

 勉強しましょう。

 それが終わるまでは、お金にかかわるのは止めましょう。

 今回は以上ね。


 さて、何をしましょうか?


 うーん、何も思い付かない。

 それなら、ちょっと人間のことを調べてみましょうか。


 ん?これは?吊り橋効果?

 不安や恐怖を一緒に体験すると、恋愛感情を持ちやすくなる!?

 人間には、そんなものがあるのね。

 これは使えそうね。


 よし!人間の世界に、不安と恐怖をまき散らかしましょう。

 これでみんな恋に落ちて、結婚できるわね。


 とはいっても、具体的に何をしましょうか?

 不安と恐怖ねぇ……


 人間に敵を作れば良いのかな?


 うん、それにしましょう。

 命を狙われてたら、とても怖いでしょうからね。


 さて、肝心の敵はどうしましょうか?

 人間は結構強いみたいだし、強めの生物が良いかな。


 このドラゴンとかいう架空の生物が良さそうね。

 とても大きくて強いという設定みたいだし、適任ね。

 これなら人間の大きな脅威になることでしょう。


 不安と恐怖を、たくさん出してくれそうね。


 これに決定しましょう!!


 数が少ないと、すぐ倒されてしまうでしょうから、多めに用意しましょうか。

 とりあえず、二十億体くらいで良いかな。


 よし!では、実行!!


 神の力発動。

 ドラゴン出てこい!

 人間たちを襲え!!



 数十秒後。

 人間は全滅した。


 世界中に突如として現れた、謎の巨大生物に襲われたためだ。

 ある者は、口から吐き出された炎で焼かれた。

 またある者は、その巨体で踏みつぶされた。

 圧倒的な暴力の前に、人間たちはなす術もなかった。



「さてと、様子を見ることにしましょうって、なんじゃこりゃーー!!」


 人間の世界を見たら、ドラゴンにやられまくっていた。

 そして、またしても、神っぽくないツッコミをしてしまった。


 ちょっと人間たち、もっとがんばって戦いなさいよ!

 さっさとドラゴンを倒しなさい。

 後、吊り橋効果も出しなさい。


 あれ?これって人間、全滅してない?


「神様ー!大変ッス!巨大な生物が、突然現れました!」


 天使たちが大騒ぎしている。


「神様!人間が全滅しました!!」


 えっ!?

 やっぱり全滅してたの!?


「神様!他の生物も次々と殺されています!!」

「神様!どうしますか?」

「神様!なんとかしてください!」


 そうだ、ボンヤリしてないで、ドラゴンを消さないと。


 ……よし、みんな消したわ。



 さて、気が重いけど被害状況を確認をしないと。


「マイケル、被害を報告してちょうだい」


「はいッス。えーと、壊滅ッスね」


 壊滅……

 ハッキリ言ってくれるわね。


 あぁ、この後はきっとアレね。


 予想通り殺気を感じた。

 そして、頭部に強い衝撃を受けた。

 私は意識を手放した。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る