207話 朝帰り
朝食はヤクモとコーネリアたっての希望で、カ◯リーメイトと十秒チャージのゼリーになった。簡単に用意できるので、こちらとしても大歓迎だったりする。
そうしてさっくりと朝食を済ませた後は、狩りに行く前にナッシュの様子を見に行くことになった。
◇◇◇
「や、やあ、お二人さん……」
俺たちが部屋に入ると、どこかぎこちない顔つきのナッシュがベッドの上から出迎えてくれた。
「おう、おはようナッシュ」
「おはようございます」
「にゃー」
それぞれが挨拶を返すと、ナッシュが何かを
「コ、コーネリアさん。昨日はこっちに戻ってこなかったみたいですけど……も、もしかして……?」
そう言いながらナッシュは俺をチラッと見た。そういやナッシュからすれば、これはコーネリアが朝帰りしたということになるのかね。
するとそれを知ってか知らずか、コーネリアが照れたように頬をかきながら答える。
「うへへ、昨日の夜はね……最高だったよ。もう無理だって言ってんのにイズミがあたしのに何度も注ぎ込むもんだから、あたしもワケがわからなくなるまで乱れちまってね……。ふふ、あんな経験、初めてだったよ」
「そ、そうですか。おめでとうございます……」
ぎこちない笑みを浮かべるナッシュ。これって俺がコーネリアに何度もビールのおかわりをさせたせいで、酒豪のコーネリアが酔いつぶれたって話だよな? なんか勘違いしてませんかね?
とりあえず変な空気になる前に、さっさと用事を済ませることにしよう。
「えーと、ナッシュさん。昨日と同じ食べ物なんですけど、また持ってきました。朝食代わりにどうですか?」
「あっ、ああ、すまない。もう食欲は戻ってきてると思うんだが、せっかくだから貰えるか?」
俺が皿に入れた十秒チャージを手に持ってベッドに近づくと、ナッシュは俺に顔を寄せて囁いた。
「俺、お前がバジリスクを倒したことより、コーネリアさんがここまでお前に入れ込んだことの方に驚いてるよ……」
どこか遠い目をしながら呟くナッシュ。
昨日コーネリアに少し話を聞いたところによると、ナッシュはまだ若手の頃にコーネリアとパーティを組んで、当時すでに歴戦の猛者だったコーネリアに相当しごかれたみたいだ。
パーティーのリーダーであっても、頭の上がらない相手がコーネリアなのだろう。
「あはは……。それでナッシュさん、体調はどうですか?」
俺は愛想笑いを返すと、ナッシュはバジリスクにやられていた左腕をぐるぐると回した。
「ん……そうだな、おそらく明日には馬にも乗れそうだ。明日、ここを発つことになるだろうな」
その言葉にコーネリアがぐっと身を乗り出す。
「おっ、そうなのかい? それじゃあ明日にはイズミとお別れかねえ……。よしっ、それじゃあ今日は、あたしの知ってる限りのソードフロッグの居場所を教えることにするよ。それでいいかいイズミ?」
「そうしてくれるとありがたいな。よろしく頼むよ」
俺も一緒に帰ってもいいんだろうが、ソードフロッグをまだまだ狩りたいからな。今日一日では満足いくほどは狩ることはできないだろう。
目標の五十匹にはまだまだ足りないし、食ってもうまいんだから余分に狩っておきたい。
「ああ、コーネリアさん、一緒に帰ってくれるんですね。俺、てっきり……」
ナッシュが少し弱々しい笑顔を見せると、コーネリアがやれやれといった風に腰に手をあてた。
「なんだい、あたしがパーティを抜けてイズミに付いていくとでも思ったのかい? あのな、ナッシュ、それはないんだよ。イズミに付いていっちまったらさ、あたしはダメな女になっちまうのが自分でもわかるからね。そんなんじゃあイズミも相手をしてくれなくなるだろうし、たまに会うくらいでちょうどいいのさ……なっ!」
コーネリアが叩き慣れた俺の背中をバシンと叩く。まあ俺としても、少し重いこのお姉さんがずっと付いてくるのはご遠慮したい。
たまに会って酒を
◇◇◇
ナッシュのお見舞いの後は予定通りにシグナ湿地帯へと向かった。
ソードフロッグを大量に狩ることができれば、ナッシュたちと一緒に帰ることも考えようと思ったのだが、やはりそこまでうまくはいかないらしく、本日は少し物足りない結果に終わった。
この調子でいけば、後二~三日は狩ることになりそうだ。
まあ遠くでバジリスクを一匹見つけたので、遠距離からイーグルショットを食らわして今日もゴールドの臨時収入を得ることもできた。ここはすごくいい狩場だと思うし、別に慌てて帰る必要もないだろう。
日が暮れる頃、集落へと戻った。そして俺たちはナッシュの宿泊先の玄関前に、見慣れぬ馬車が停まっているのを見かけたのだった。
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詳しくは近況ノートに書きましたので、ぜひぜひお読みくださいませっ!
https://kakuyomu.jp/users/fukami040/news/16816927860332043938
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