呪いの被害者
「私は構いませんけれど、何をお調べになられるのですか?」
戸惑いつつもミランダ嬢は、調査の申し出に同意してくれた。
「ええとですね……」
僕は言葉を選ぶフリをしながら、こっそり汎用スキルの《
結論から言えば、ごく普通の貴族令嬢のステータスだった。
特別鍛えたりしてるわけではないけど、少しSTRとVITが高いのが目立つ点だ。秘密基地を作るくらいだからなあ。その分といってはとても失礼だけど、INTやMPがちょっとだけ低い。
「っ!」
だけど本当の問題はそんなところにはなかった。
「どうかなさいました?」
ミランダ嬢は状態異常に侵されていたのだ。
彼女は
「……いえ」
呪い!?
危うく声に出してしまうところだった。
呪いをかけている本人が呪いにかかっている。
どういうことだ?
現状見えてるステータスを信じるなら、呪われているのはミランダ嬢本人ということか。
「それにしても」
「はい?」
口に出してしまった。僕の声にミランダ嬢が反応する。僕は慌てて手を振った。
「いえ、なんでもないです。ごめんなさい」
それにしても、彼女のステータス、呪いの表示がおかしい。ような気がする。なんか歪んでいるし濃く見える。
もうちょっと詳しく
スキル発動。
《
汎用スキルの《鑑定》よりも深く、精緻に調べることができるスキルだ。たとえば、呪いの中身がどういうものなのか、とかをだ。
ステータスの歪んだ表示の理由もわかった。
呪いが累積しているのだ。
複数の呪いがミランダ嬢にかけられている。
呪いの魔眼を付与する呪い。
呪いの魔眼の強化×3。
呪いの魔眼の発動対象の限定処理。
更に認識阻害の呪い。
無茶苦茶だった。《超解析》によると、六つもの呪いが重ね掛けされている。
ミランダ嬢は無意識に呪いを発動させているんじゃない。呪わているのは彼女自身であって、呪いの効果で他者に――婚約者であろう男性に状態異常の呪いをかけさせられているんだ。
彼女も呪いの被害者というわけだ。
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