贈り物
「そうだ。そこの小さな箱も開けてごらんなさい」
「うん、次はなんだろう! すごく楽しみ!」
ピノは言われるままに返事をすると、もう一つの箱を開けた。すると中を見て驚いた。
「わ~い、青いお洋服とお揃いだ~! ありがとうローゼフ!」
ピノは無邪気に喜ぶと素直に感謝の言葉を伝えた。
「ねぇ~、これ履いてもいい?」
「ああ、履いてごらんなさい」
「じゃあ履いてみるね!?」
ピノは嬉しそうに笑うと、さっそく青い靴を彼の前で履いてみせた。
「どうだサイズは?」
「うん、ちょうどボクにピッタリだよ!」
ピノはそう言って答えると、彼の前で無邪気にクルリと回ってみせた。その愛くるしさに思わず、表情が緩くなった。
「ゴホン……そうだ、歩くのが慣れたら外の庭を一緒に散歩しよう」
「えっ、お外に出れるの…――!?」
その言葉にピノはびっくりすると、瞳をキラキラと輝かせながら聞き返した。
「ホントにホント……!?」
「ああ、私はお前に嘘はつかない」
ローゼフはそう言って答えた。ピノはその言葉を信じると、嬉しそうに跳び跳ねながら喜んだ。
「わぁっ! 嬉しいなぁ! 早くお庭で遊びたい! 約束だよローゼフ! 一緒にお庭で散歩しようね!?」
ピノは心から喜んでいる様子だった。彼はそこで再び約束を交わした。
「ああ、ピノと私の初めての約束だ。この可愛らしい手に誓うよ…――」
ローゼフは不意に少年の小さな手をとると手の甲に誓いのキスをした。美しい彼の顔を近くで見たピノは頬を赤く染めた。それから2人は、毎日練習をした。彼が自分の部屋で小さな少年と過ごしている事は誰も知らなかった。時おり、彼の部屋から明るい笑い声が聞こえてくると執事のパーカスは首をかしげるくらいだった。
孤独な彼にとって少年との時間は失われた時間や、過去や思い出を埋めるような楽しい一時だった。両親を幼い頃に失った時からずっと、彼は笑わずに生きていた。その凍った心も少年と一緒にいることで、雪解けのように溶けていった。ピノは彼にとって唯一の家族のような存在だった。自分の孤独を紛らすように、彼は少年の傍に寄り添った――。
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