第4話ヒロインは綺麗とは限らない

「笑一!どうしたんだその格好は!」

太郎は朝から笑一に駆け寄り問い詰めた


「ん?どうしましたヵ?鈴木君?」

笑一は丸眼鏡に七三に分けた髪型姿で座って片手には本を持っていた!


「お前頭でも打ったのか!大丈夫か!病院で検査入院した方が良いぞ!」

太郎は笑一の変わり様に驚きつつ、近づく


「?笑一ちょっと立てよ」


「なんですか?鈴木君?僕は今読書で忙しいんですが?」


「少しで良いからちょっと立ってよ」


「ふー自分勝手な君にはいつも困りますね」

笑一が立ち上がった姿に太郎は何も言わずに後に回り込んでジャーマン・スープレックスを決めた


「なんだ!その格好は!」

笑一は眼鏡をクイッと人差し指で動かし、

本をバタンと閉じた


「なんですか!さっきから鈴木君!僕の格好の何処が可笑しいんですか!」


「鏡で見て変じゃないって言える様な格好じゃないだろうが!」

太郎に見えてる笑一の姿は七三に丸眼鏡、

椅子に座ると分かりにくいが、机から見えている上の部分は制服を着ている様に見えるが、その下は制服を切られていて露出している状態だった

白いロング靴下に上履きは良いのだが、その上に目線を移すとボクサーパンツが待ち構えている!


「お前にとって真面目ってなんだ?」

太郎は問いかけた、笑一は眼鏡をクイッとすると答えた


「これが答えですよ!私を見て誰でも真面目に学業をしてる好青年に見えますからね」

笑一は両手を大きく広げ、足を並べて優雅に立っていた


「それにお前!その本なんだよ!」

笑一の持っている本が気になってしょうがない


「これは俺を変えてくれた大切な本なんだよ!【本当の自分をさらけ出そう】」

笑一は昨日帰る時に駅前の本屋にぶらりと寄って本に一目惚れして買ったらしい


「お前なぁ本に影響されたからってそんな格好してたら捕まるぞ」


「影響?なんの話だ?」

笑一は目を点しながら聞き直した


「その本を読んで影響されたからそんな格好してるんだろ?」


「いや?この本はペラペラする感じが気持ちいいから買ったんだぞ?」

太郎は忘れていた笑一は誰かに影響される様な人間では無い事を


「じゃあお前のその格好はイケてるって思ってやったのか?」


「太郎違うぜ?俺が流行なんだよ」

笑一は真顔で太郎に答えた


「照美ぃぃぃお前なんだその格好はぁぁぁ近隣の住民からウチの制服を着た半裸男が居るって通報が入ってたのはお前の仕業かぁぁ」

担任の寒天先生が怒鳴りながら教室に入ってきた


「先生?早く退いて下さる?」

寒天先生の後から女性の声がした、黒く艶のある長い髪を靡かせながら教室に入って来た女性からは心が落ち着くそんな香水の香りが教室を包んだ


「皆さんおはようございます、匂井 沙瑠美(においするよ)です皆さん宜しくお願い致します」

女性は転校生の様で美しい趣深さを感じさせたる雰囲気だった


「彼女は新しいクラスメイトになるから皆仲良くするようにな」

寒天先生は軽く言うと席を何処にするか決めかねていた


「うーん照美の前しか無いのか!誰か照美の前に席を移しても良い奴いないか?」

先生はそう言うが、誰1人返事をしなかった笑一の周囲に行けば確実に平穏な学園生活を送れなくなるのを皆は知っていたからだ


「先生?私は彼の前でも構いませんのよ?」

匂井さんはスタスタと歩き笑一の前の席に着いたすると


「先生すみません?」


「どうした似乙已?」

匂井さんは寒天先生の方に体を向け

 

「先生?露出狂の犯罪者が私の席の後に座ってます!直ぐに通報して下さいます?」


「笑一お前犯罪者って言われてんぞ!良かったな」

太郎は笑いながら笑一言うが笑一は分かっていなかった


「太郎お前が犯罪者って言われてんだよ!自分の異常性に気が付いた方が良いぜ?」

2人が後で騒いでいると匂井さん鋭い眼光で睨み付けてきた


「ゴミが何を喋ってるの?今の時代はゴミでも喋れるのね」

綺麗な顔から発せられる言葉はキレ味鋭いナイフよりも良く切れる言葉

太郎は相当なダメージを受け、顔は青ざめ生気を失いかけていた


「おい!」

笑一はそんな言葉を掛けられ睨みながら何かを言い返そうと口を開いた


「そんなじゃ俺は負けないぜ!」



「ここは何処なの!」

匂井は驚いていた初めて見る光景に、今さっきまで居たはずの教室とは違う世界


「ここは俺の精神世界だ!俺の守りきるぜ俺は大人の世界から【言葉責めはご褒美】を発動する!この効果は相手からの言葉責めは全てご褒美に変わり体力を回復するぜ!」

笑一の大人の夜楽しみ効果を発動させ自分へのダメージを減らした


「なら貴方のくだらない勝負に付き合ってあげるわよ!行くわよ私は仕事で疲れきったOLの寂しい夜を使うわ!【私だって甘えたい時ぐらいあるんだよ?】さぁーくらいない!」


匂井の攻撃で笑一は大ダメージを受けた、いつもは強がってる女の子が急に弱くなって甘えて来た時の破壊力は凄まじいものである


「なら俺はこの攻撃に全てを託すぜ!お前には俺の攻撃で負けてもらうぜ!俺は学園青春物語【純粋な気持ち】と【これって告白?】を合体!さぁー来い俺の最強コンボ!【やっぱりお前と居ると俺楽しいなぁ・・今のは無しな!忘れてくれ!何でだろうなぁお前とはもっと一緒に居たいって思うんだよな】をくらうがいぃぃぃ!

くらえぇぇぇぇぇぇぇぇ!


その瞬間匂井さんは膝から崩れ負けた

「貴方やるじゃない、私好みのヤキモキする純愛な感じ素敵だったわよ」


2人は教室に戻ってくると強い握手をした

握ってた手を離した時に匂井は笑一の残りわずかになった上の方だけの制服を破り捨てた  


「貴方の事は認めてあげるわよ!」


「あぁぁぁ俺のパリコレに出る為の制服がぁぁぁ」


「先生私今日は早退させて頂きますわ」

匂井は教室を後にしたが、笑一は1人制服を泣きながら生徒指導室で作り直していた

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