第1〜2部 設定
【魔術関係】
魔術
フォート家の祖先、ヴァンサン王の子が編み出した技法
元は精霊や魔物等と直接交流できずとも力を借りるための交信交渉手段だった
神を法則、精霊を属性とし、魔力を対価に、実現したいこと規定し命令する
現在はエクサ王国独自の技法として、他国に対する抑止力となっている
魔力
生命力や体力、精神力と同様のもの。魔術による人外への命令の対価とされる
人の魔力には限界があるため、昔は大掛りな魔術は不可能だった
やがて媒介や魔術具の発見開発により、魔力の増幅と省力化が実現
中級魔術や高度魔術への道を開いた
汎用魔術
術の組み方が決まった難易度の低い魔術を定型式化したもの
自分で魔術を組む必要がないため、初心者や資質が弱い者にも扱いやすい
それでも公衆衛生や応急処置、防災防犯対策など利用価値は高い
魔術師
初級魔術である汎用魔術以上の魔術を操り、魔術を生業とする者のこと
魔術適性、魔力を操る資質、知識や概念の理解、三つ揃って魔術を扱える
一般的に魔術師と呼べるかどうかは、汎用魔術が問題なく扱えるかで判断
王国の魔術師の八割が、汎用魔術を扱う程度に留まる
中級魔術以上を扱える者は希少人材
宮廷魔術師は、中級魔術以上を操れることが絶対条件
魔術師にとって言葉は物事を規定し、嘘は神や精霊を欺き怒りを買う行為
しかし隠匿や婉曲表現によって相手に解釈を委ねる行為は問題ない
魔術院
王宮深部にある魔術人材養成所
魔術適性と一定の資質ありと認められた者は、強制的に魔術院に入る決まり
貴族は必ず魔術適性を検査し、平民は原則見送られることから貴族が多い
汎用魔術を操る初級魔術から段階的な
ほぼ可能性だけ見て送られるため、大半の者が初級課程も未修了で終わる
魔術院送りの者の大半が早期に未修了で終わり、外聞的によろしくない場所
そのため貴族にとっては口を噤む場所とされ、一般にほとんど知られない
中級課程まで進めば、宮廷魔術師になれる資格が得られる
加護と祝福
加護は、神や精霊の愛し子
加護を与えた神や精霊の力の支援を代償なしに無条件で受けられる
祝福は、神や精霊から一歩的に彼等がよかれと思うものを与えられること
祝福は与えた神や精霊でなければ解除できない
祝福を与えられた者は祝福持ちと呼ばれる
加護も祝福も対象者一代限りのものであり、原則世襲はない
フォート家の“祝福”
ヴァンサン王の子に蔓バラ姫が与えたもの
後継は絶えず、血族が編み出す魔術の知識と力の全てを継承する
本来祝福は一代限りだが、祝福内容が次代にかかるため代々続いている
フォート家の魔術研究は“祝福”の危険回避の歴史で、盟約もその副産物
フォート家の盟約
代を追うごとに強化される魔術に対抗するため編み出された魔力補強の方法
魔術そのものである人外の存在を媒介にして、同時に彼等の魔力を借りる取引
変換効率は絶大で、肉体の限界がなければほぼ無尽蔵に魔力を扱える
規格外の魔力を得たことで、フォート家の魔術は加速度的に洗練高度化
王国の脅威として一部から警戒されることとなった
祝福回避の儀式
フォート家当主の妻(と胎児)に対する祝福の影響を薄める儀式
伝承伝説の検証し導き出された様々な条件を結婚前後に行う
王都の大聖堂での婚儀、王都と東部間を一日で移動等、実行困難な条件が多い
“密談”の魔術
口に出す表の会話とは別に、思念による対話を可能とする魔術
原則、思ったことが相手に筒抜けになるため、“閂”といった技能を必要とする
“密談”機会の多い上位貴族にとって、“閂”は必須技能
長距離転移の魔術
ルイの父が確立させた高度魔術
特定の要件の下、訪れたことのある場所と場所を繋ぎ移動を短縮させる
祝福回避儀式で王都と東部間を一日で移動するために編み出された
命運の女神を法則に四大精霊全てを属性に組込む
空間(世界)に干渉するため、魔力消費が大きい
防衛地区バランの防御壁魔術
共和国との国境沿いに魔術的な防御壁を作り出す、大掛かりな高度魔術
地の精霊と眷属、術者の魔力をベースにし地の力が弱まると術者の負担が増す
現在は年一回、魔術の補強が必要
莫大な魔力が必要で、フォート家当主以外管理できない魔術とされている
契約魔術
双方の合意に基づいた条件の効力を魔術的に保証し縛る魔術
複雑高度なものは条件を精査できる法務の専門家と宮廷魔術師が必要
費用がとても高額で重要案件での使用が一般的
秘匿性を高めるため、書面は破棄し内容をメダル等に焼付けることも出来る
強制解除や強制変更は失敗すると実務を手掛けた者に危険が及ぶ
契約締結より高度な法務と魔術で費用が締結時の数倍〜数十倍に跳ね上がる
魔術具と媒介
魔力の省力化や特定の機能を持たせた魔術を固定化した道具
魔力増幅に利用する神聖な力を宿す物は「媒介」と呼び魔術具と区別する
魔術具は、中級魔術以上を扱える者なら開発可能で宮廷魔術師の仕事の一つ
作る時は魔力が必要だが、使う時は魔力は不要ため魔術師でなくても使える
固形燃料
太陽光の熱と光を集め結晶化した魔術具。多くは夏の間にまとめて作られる
薄い茜色の鉱石で、衝撃を与えると発光発熱しながら小さくなり消える
ルイが作る高純度のものはフォート家専用、低品質のものはその限りではない
通信用“箱”
フォート家専用の魔術具
フォート家と設置した各地の間で手紙と手荷物程度の物を送受信できる魔術具
ユニ家の“扉”
ルイが開発した、フォート家とユニ家を繋ぐ魔術具
個人認証が施されているため、使用許諾されている者しか利用できない
結婚指輪
ルイとマリーベルが婚儀で交わした金の指輪
当初はただの指輪だったが、二人の間で魔術的な意味を持つものになる
精霊博士
精霊他人外と交流でき取引を行える、古の資質を先天的にもつ者のこと
人外との直接的な交流と信頼関係で力の支援を受けられ、魔力は不要
命令で人外の力を使う魔術師とは対極的な存在であり、希少人材
【伝説伝承関係】
古のしきたりに従った婚約期間
昔は離婚が容易ではなく、結婚に関する審議の期間として設けられた
結婚に関し問題があれば白紙撤回でき、不名誉にもならない
祝福回避条件の一つ
建国話
三賢者が七小国を束ね、最も長生きした賢者が最初の王となった
エクサ王国と王家のはじまりの伝説
三賢者は武勇・智略・恩寵を分担し、最も長生きしたのは恩寵の賢者
王の誕生祭は建国話に因む祝典
四季の女神と四大精霊
春夏秋冬のそれぞれを司る女神と、仕える水火風地の精霊
年中行事や王宮行事から、お守りや願掛けなど生活全般に密接に関わる
魔術でも、神は法則、四大精霊は属性を決める基本として関わりが深い
命運の女神と輝きの精霊
四季の女神と四大精霊とは別格の女神と精霊、時や命運、光や闇を司る
光と闇、世界の始まりと終わり、世界そのものを成立させ支配する
時間や命運に関わり、人の寿命も司ると考えられ結婚や葬儀に関わる
輝きの精霊クインテエーヌは命運の女神クラアに仕える精霊
“天上の紡ぎ糸”(クインテエーヌの紡ぎ糸)
輝きの精霊は人の寿命や人生を決める“天上の紡ぎ糸”を紡ぐ
紡がれた糸巻きは命運の女神に捧げられる
人は各々命運の女神から、“天上の紡ぎ糸”を与えられるといった伝承
結婚における“布贈り”の慣習に関わる
“布贈り”の慣習
「“天上の紡ぎ糸”で布を織り上げる」夫婦が生涯を共にする表現に因む
結婚が決まった際、男性は妻となる女性に綺麗な布を贈る
“布贈り”の慣習には末長く一緒にといった意味が込められる
男性から女性へ「糸を捧げる」「糸を機にかけて欲しい」言葉は求婚と同義
奥ゆかしくも明確でかつ相手への愛情も示す求婚の言葉とされている
貴き血
現在では、貴族に都合の良い作り話、一笑に付される迷信とされている
貴族社会でも迷信とされるが、一部の古い貴族で密かに信仰が残っている
特に西部での信仰が根深く、貴き血の力を入れたいと望む貴族が存在する
そのため貴族家の血縁者で“祝福持ち”や先祖返りなどは、誤解されやすい
女児の場合は貴き血を継ぐ存在として、子を産む道具と扱われることもある
【行事関係】
王の誕生祭
エクサ王国で誕生日が祝われるのは王だけ
建国のお話にちなみ王の誕生を祝うとされている
正確には王の誕生ではなく、王に“恩寵が与えられた日”を称える祝典
誕生の祝い事
王国民は、季節生まれごとでまとめて誕生を聖堂で祝う
春生まれは夏、夏生まれは秋、秋生まれは冬、冬生まれは春に祝う
七歳は受洗式、十五歳は成人式もあわせて行う
七歳までは神の子として扱い戸籍には入れない
婚姻の儀
王都の大聖堂で婚儀ができるのは王族か王家と縁の深い者のみ
一般的には、新郎または新婦ゆかりの地の聖堂で婚儀を行う
貴族の場合はより格の高い聖堂を望む場合もある
大聖堂の婚儀は祝福回避儀式の一つ
【王国・その他】
エクサ王国
東西に伸び三国に分かれる大陸の、中央に位置する六角形に近い国
略称は王国、魔術という独自の技法が他国に対する抑止力となっている
王都および王領を有する北部
ルイのロタール公爵領を含む東部
マリーベルが養子縁組を結んだ王妃の一族トゥール家のある南部
モンフォール領とユニ領のある西部に分かれる
各部ごとの貴族の結束は、王宮勢力における派閥の一つ
北部と東部は森林資源に恵まれ、各種手工業が盛ん
南部と西部は農地が多く、古い貴族が多い
特に西部は“王国の穀物庫”と称され、接する連合王国とも縁が深い
ティベリス共和国
王国の東側に、古くから多種多様な民族を従え統治してきた国
略称は共和国
王国領土をたびたび侵し、定期的に争いが起きている敵対国
古代から高度な文明を築き、戦争で領土を広げる拡張路線をとる
二十余年前の戦以降は休戦状態なものの、停戦協定や和睦は結んでいない
ハイラック連合王国
王国の西側に位置する、王国とほぼ同じ大きさの国
略称は連合王国
エクサ王国の王や諸侯と血縁関係の貴族が多い国で、一応友好国
両国間の争いは複数の貴族を巻き込み内政に影響するため互いに益がない
共和国の脅威を手前で防ぐ砦として王国を利用している向きもある
海を渡り別大陸との交易で栄華を誇る
王国の時間 ※( )の時間は目安。
王国の時間は二種類
時計による一刻(約2時間)12区切りの時間
聖堂日課による鐘の時間
時計は高価なため王族や高位貴族、王宮の高官職が使う時間となっている
一般的には聖堂日課に従うことが多い、中聖堂以上は鐘楼を持つ
小聖堂しかない村なども近隣から聞こえる鐘を目安にしていることが多い
各時間毎で鐘の鳴らし方が決まっており、三度繰り返す
(鐘と時刻)
夜明けの鐘 音1回
使用人の起床、農作業の開始(5時頃)
勤めの鐘 音2回
始業・出勤時間、貴族・富裕層の起床(7-8時頃)
休息の鐘 音3回
午前休憩、 お茶の時間(10時頃)
午の鐘 音4回
昼食、昼休憩(12時頃)
昼下がり鐘 音1-2回
午後休憩、お茶の時間、酒場営業(14-15時頃)
夕刻の鐘 音1-3回
昼店の終業、宿屋・歓楽街営業(17時頃)
閉門の鐘 音1-4回
閉門、夕食、外出自粛(19時頃)
※午前は鐘の音は一回ずつ増える
午後は鐘は一回打って間を開けて、続く音が増える
教育・就業等年齢
7歳の受洗式まで神の子と扱い、国民と認められない
12歳以下は就業禁止
ただし、家業の手伝いや将来世話になる職人の下で雑用は許される
貴族の魔術適性は7歳〜13歳の間で検査される
魔術適性は成長して出現する可能性もあり
王宮に上がる者は年齢関係なく検査される
(年齢)
0歳〜6歳
神の子の扱い国民と認められない。
7歳〜12歳
7歳の受洗式後、正式に王国民となる、貴族は教育期間
13歳〜14歳
13歳から見習いで就業可能、貴族は王宮に上がれる年齢
家督が継げる年齢(13歳未満の場合は後見人か王の許可が必要)
15歳〜
15歳で成人。一人前として扱われ、結婚可能
一般的に初婚の適齢期は15〜25歳
ただし、上流階級女性は20歳超えると行き遅れ扱いとなる
統括組織
東部大領地ロタール公爵領を五つの地域に分けてその管理を任せている組織
東のバラン地区
西のラングレ地区
南のソニエ地区
北のトロワ地区
東西南北の地区に囲まれた、中央のフィルト地区に分かれる
東のバラン地区は、共和国との国境に接した王国の要所
そのため防衛地区バラン辺境伯領といった面も持ち、東部騎士団支部がある
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます