第62話 恋をした奥様
麗かな春の日差しは、萌ゆる草の緑を柔らかく照らし。
風はそよそよと花の香りを運んでくる。
ひらひらと二匹の白い蝶が、戯れるように互いに追い越しあってはくっつき合って、わたしの視界を横切っていった。
よく晴れた青い空の上から、小鳥の遊ぶ声が聞こえる。
「春だわ……」
少し古びて、張ってある布も色褪せた
黄色と白の水仙に、赤から濃い紫色のチューリップの花を寄せ植えた、濃く鮮やかな色に彩られながらも白い花の色が優しい印象を添える花壇は、まるでこのお屋敷の女主人であるお祖母様のようだ。
四角く刈り込まれた背の低い木の黄緑色と、ところどころに目印のようににょっきりと立っている、三角帽子のように刈り込まれた木の濃い緑、庭園としてそれほど広くないお庭にその色の濃淡と高低差は視覚的な奥行きを持たせている。
――パンテエーヴルの血を引く女たるもの、殿方に流され通しでどうするのです! 伝えるべき気持ちがあるのなら、きちんと伝えなさい!
はああ……と、お祖母様の言葉が頭の中で響いて、再びため息が出た。
呼び出された午後からそのままドルー家に泊まって、いまはその翌日のお昼前。
傍目には東屋の
はあっ、とまたため息が出てしまう。
「大丈夫でしょうか」
「なにがでございますか?」
「お庭にいらしてから、これでもう二十八度目です」
「あらまあ、数えていらしたの?」
「はい」
小さな東屋の外に控える、オドレイさんとオルガの話す声が聞こえる。
柱と屋根だけの開いた東屋なので、外にいるといってもこの通り二人がひそひそ話す声も聞こえるし、こちらの様子も丸わかりだった。
「春ですもの」
「春ですか」
「ええ、すっかり」
どことなくうきうきと楽し気なオルガの声に、たしかにすっかり西部は春だなと思った。
東部はまだもう少し冬の名残があった。
けれどもう、トゥルーズを出てから数えても十日以上が過ぎている。
フォート家を出て大体半月だ、こことは比べようもなく広い庭園はいまどんな様子だろう。
庭師のエンゾさんを、リュシーは花作りの天才だとまるで自分のことのように自慢する。
「そういえば、トゥルーズの商会でマルテと使う布を相談しながら注文した、彼女のお祝いの品はどうなったかしら?」
春の祝いに間に合うよう、特急料金を上乗せして注文したからそろそろ仕上がる頃だ。料金はルイではなくわたしの支払いで頼んだ。
だってわたしからリュシーに贈るものですもの。
王宮のお給金は西部のご奉公と比べたらずっとよい。
わたしは王妃様付きの第一侍女だったので、たった三年の王宮勤めの間で若い平民の娘にしては結構まとまった額のお金が貯まっていた。
なにしろ忙し過ぎて使う暇が全然ない。
夜会やお茶会の際に必要な衣装など調える必要はあったけれど、恐れ多くも王妃様がお若い頃に着ていたドレスを何着か下賜くださったので、ほとんど間に合った。
それにユニ領にいた頃から父様が、わたしが父様のお仕事を手伝う度に報酬までとはいかないけれどお小遣いをわたしの財産として積み立ててくれてもいた。
これまた田舎では使い途もあまりなく、細かな額でも数年こつこつと貯めていくとそれなりの額にはなる。
加えて結婚時には、もともとわたしの結婚支度金として父様が用意していたものの一部をわたしの財産として移し替えてもくれている。
離婚してもすぐ困ることにはならない程度の蓄え。
色々なことの整理がついたら、王都の西側の落ち着いた区画に小さな部屋の権利でも買って仕事を探そうなんて考えていたのだ。
そう、離婚……するって、考えていたはずだった。
「ああ……っ」
不意にトゥルーズでルイと離婚しても、フォート家の使用人として雇ってもらって側にいるとかいないとか話をしたことが唐突に思いだされて、
よくあんな話をルイは聞き流してくれたものだ。
しかも、雇うならきちんとした形で雇うとまで……わたしが離婚してもなにかと気に掛かることもあるから離れるつもりはないと言った時に。
「もうやだっ、誰かわたしを花壇に埋めてしまってっ!」
「奥様、生き埋めはかなりの恨みや怒りがある報復の際に多く取られる方法です。あまりおすすめはできません」
入口から一歩東屋に進み出て、恐ろしい言葉でわたしをたしなめたオドレイさんに、ごめんなさい言葉の綾ですと答えた。
「お嬢様、せっかくのいい陽気ですから少しお庭を歩いては?」
「そう、ね……」
オドレイさんを元軍属とでも思っているらしい、オルガの提案に虚ろな返事をする。陽の下に立ったところで、どことなく重い体を動かしとぼとぼと歩くことしか出来なさそうだと思った。
本当は、朝になったらユニ家に戻ろうと思っていたのに、なんとなくこうしてぐずぐずとドルー家に居続けている。
少し頭をもたげ、オルガの控えてる方向から明るい庭を見て、たしかに早くも次にやってくる初夏を思わせる陽気だわと思う。
夏か……フォート家の夜番小間使いのヴェルレーヌにとっては、これから少し辛い季節になる。
透けるように白い肌をした彼女は、日の光に当たると肌が焼けてしまう体質で、日が落ちている間しか自由に行動が出来ない。夜番の小間使いなのはそのためだ。
わたしと同い年で、金髪に青い目をした儚気な、深窓の令嬢といった形容がぴったりな彼女のことを思い出す。
頭の回転が早くて、フェリシアンさんを唯一言葉で困らせることもある使用人でもあるらしい。フェリシアンさんは、きっといま頃大変だろうなと胸の内でひとりごちる。ユニ領やモンフォールの件を、ルイから丸投げされて。
「……フォート家のお屋敷はどうしてるかしら」
ぽつりと呟いて、少し持ち上げた頭を完全に起こして座り直し、明るいドルー家の庭を眺める。
モンフォールのことを家族で話した時に、三日の内にユニ家とフォート家を繋げるとルイは言っていた。
昨日がその三日目だったから、たぶんわたしが出かけた後にシモンが取り付けた扉の具合を確かめて、離れた場所を繋ぐ魔術を施す仕上げを行ったことだろう。
もうきっと、ユニ家とフォート家は繋がっている。
複数の魔術を使って馬車を走らせても十日ばかりかかる距離が、扉一枚の向こう側、一瞬で移動出来る距離に縮んでいるはずと思ったら、急にフォート家のお屋敷が懐かしくなった。
「……帰ろうかしら」
扉がどうなったか知りたいし、扉に施す魔術のことに思い至ったら、倒れるほどの魔術を使う気はないと言っていたルイの言葉が気になってきた。
その場で倒れはしなくても。
うとうと眠ったりする程度には消耗する魔術じゃないの、それ。
だって“箱”と長距離転移の魔術の応用だって言っていた。
長距離転移って王都から一日で東部に移動した時のあれだ、あの時ほとんどルイは馬車の中で眠っていたもの。
「ゆっくりしてこいなんて言っていたの、それをわたしに隠すためでは……?」
言いながら、眉が寄っていくのが自分でもわかった。
それにモンフォールの当主様に“箱”を渡すようなことも言ってなかった?
いつ渡すのそれ?
あれも仕上げには彼が魔術を施す必要があるはずだし、モンフォールから戻ってからはずっとユニ領に彼はいた。
「まさかわたしがいない間に全部済ませるなんてこと……オドレイさん!」
「はいっ」
「ユニ領に戻ります」
「お嬢様、どうなさったんですか急に?」
「ちょっと気がかりなことが出来たの。お祖母様に挨拶してくるからオルガも一緒に来てくれる?」
「ええ、それはもちろん」
「私は馬車の支度をして参ります」
お願いしますとわたしはオドレイさんに言って、オルガを伴いお祖母様にユニ家へ戻るご挨拶をしに向かった。
お祖母様から、もう昼時だからこちらで済ませてから出なさいと言われて一緒に昼食をとって、しっかりおやりなさいと励ましのようなお言葉をもらって、わたしはドルー家からユニ家へと戻った。
戻って二階の東端の執務室にいた父様に挨拶すれば、案の定、ルイは今日はまだ姿を見せていないとのことだった。
昨日はお前が出てから色々と立て込んでいたから、お前もいないしゆっくりしているのだろうと言った父様にそうですかと応えて、三階の客間へ移動する。
オルガには普段の彼女の仕事に戻ってもらった。
オドレイさんは馬車と馬の手入れを馬丁に引き継ぐのに、まだ外にいる。
「マリーベルです、ただいま戻りました」
客間にいるだろうルイにそう部屋の外から声をかければ、扉が開いてシモンが顔を見せた。
「旦那様なら、眠っています」
「……やっぱり」
ちょっとやそっとで起きることはないから、その場でシモンに昨日わたしが出かけてからのことを尋ねる。
父様の執務室のある二階の廊下の端と、主寝室やルイの私室もあるフォート家の三階の廊下を夕食後に繋げたらしい。
予想をちょっと外してモンフォール領へは行っていなかったけれど、父様と日が落ちるまで執務室にいたのだそうな。
おそらく、今後のあれこれや法務顧問として任せたい事など相談していたのだろう。
「オドレイさんが庭で馬の手入れを手伝っているだろうから、シモンも手伝いにいってあげてくれる?」
ユニ家に馬は二頭いるけれど、公爵家の馬車のために六頭も世話しないといけないことになってしまって手が足りていない。
フォート家は本当なら専属の馬丁を雇うところを、近くの村から通いで二人、オドレイさんとシモンで分担して厩舎の様子も見ているから二人は手慣れている。
家の外の仕事や下働きの手は、広大なフォート家の敷地の中にある小集落の住人を通いで抱えることで成り立っていた。
先々代の頃から、フォート家の魔術の家系であることも飲み込んで仕えている集落で、竜が棲む森に手をつけるわけにもいかず仕事に乏しいためフォート家に忠実であるらしい。
辺境の小集落らしい余所者を寄せ付けないところもあって、外部の者が紛れ込む危険も少ない。
「構いませんが、奥様だけで大丈夫ですか?」
「そのうち起きるでしょうし、手が必要ならユニ家の人に頼むわ」
「そうですか。なら、失礼します」
シモンが出ていくと、客間がしんと沈黙に静まったようになった。
起こすことはないだろうとはわかっているけれど、そっと寝台へと近づけばかすかな寝息の音が聞こえたのになんとなくほっとして、椅子を寝台の側に運んで腰掛ける。
――ルイ殿が貴女の答えを聞かないなんて泣いてる暇があったら、絶対聞かせるよう方法を考えなさいっ。
顔を見た瞬間に思い出されたお祖母様の言葉に、ここでもまた小さく息を吐く。
お疲れのようだ、顔を見ればわかる。
額から目元のあたりにかけて、疲労が出やすいのだ。
父様との今後のことを相談するのに、きっと根を詰めたのに違いない。
色々すんなりやっているように見えて下準備が入念だし、労力も惜しまない。
魔術だってその研究は馬鹿がつくほど熱心であるし、世間が見ている彼の姿はほんの上澄みだと思う。
立場や財力や才能に恵まれているのは確かだけれど、それを最大限生かすべく努力を重ねている。
手段は選ばないところがあって、悪徳な面もあるし、なにかと面倒で厄介な人でもあるけれど。
普段の眠りは浅いようだし、こうして深く眠り落ちる時だけが休息かもしれない。
けれどその場所を誤れば死の危険もある。
なんとなく手を伸ばして、額にかかった銀髪を左右に流して額に触れる。
わたしに触れていると、早く回復する気がするなんて言っていたのを思い出したからで、もちろんそんなはずはないから、そんなことをしてしまった自分に苦笑する。
「そういえば治癒は、冬の女神って言ってたっけ」
トゥルーズで、加護の術に消耗したわたし治癒をかけるのをルイが
『重い?』
『ええ、法則とする神からして違います。癒しを施す魔術は、癒しや浄化や芽生えを司る春の女神です。春の女神は、汎用魔術の大半がこの女神を組み込んだものであるほど魔術を扱う者にとっては優しい女神です』
『神様によって難しさが違うの?』
『違いますね。春の次に多いのは秋の女神です。守護や成熟を司るため守護系魔術は勿論ですが、結実を含みあらゆる種類の魔術に応用が効きます。恋愛成就の女神でもあるでしょう?』
ああ、そういえばとその時、わたしは手を打った。
殿方からの贈り物では蔦のモチーフをよく見ていたからだ。
なんだか絡め取りたい意志を感じると、若干怖さを覚えたものだけれど、言われてみたら秋の女神の象徴は蔦だと話せば、ルイは少しばかり顔を顰めた。
『そういったものを、貰ったことがあるのですか?』
『いいえ。ですが、行儀見習いの時に仲良くなったご令嬢に見せてもらったことなら。なるほどあれは恋愛成就を願ってだったのですね。納得です』
『それは結構。汎用魔術の九割方は春と秋の女神で占められますね。残る一割は強化系に限定される夏の女神です』
『冬は?』
『冬の女神は、初級魔術では使いません。まず司るものが、生命と死、受容と忍耐、再生と豊穣と重い。それだけ代償も必要で、操れる魔力量が大きな者でなければ組み込めない』
治癒というのは、再生という死の淵から引き上げるようなもの。
一度、失った力や壊れた組織を元に戻すだけの変化を及ぼす。
『貴女は私の施す魔術と親和性が高い。同じく冬の女神を組み込んでいる加護の術など、他の魔術と影響しあって治癒の過程で苦痛を与えかねない可能性もありましたので』
そんな人体実験めいたことは興味はあっても流石に出来ないと、微妙に引っ掛かりを覚えることも仰っていたわね……そういえばと、わたしは眠るルイを見つめていた目を細めた。
わたしもルイも冬生まれだ。
彼がわたしに施す魔術が安定しやすいのは、そのためもあるかもって言ってたっけ。
「ちょっとは生まれ季節の女神様の護りが及んだりもするのかしら?」
深く眠っているルイは本当に彫像みたいで、色が白いこともあって仮死状態みたいで怖くなる。触れれば温かみもあるし、近づけば呼吸や鼓動も聞こえるから大丈夫だと思えるけれど。
そんなことを考えながら、ふとその薄く赤味の差す口元に目が留まって、額に触れていた手を引っ込めて胸元で両手を重ねて握り込む。
このやや冷たく薄情そうにも見える閉じた口元が、わたしのどこにどう触れたことがあるか、その時の熱も思い出してしまって、頬がにわかに熱くなる。
「わたしが拗らせたものをきちんとさせたいって言ったら、わたしの言葉を聞いてくれる?」
呟いてすぐ、直感的に無理だろうと思った。
きっと即座にわたしを煙に巻くようなことを言って、わたしもなにも言えなくなってしまうだろう。
それでも言おうとしたら、少し落ち着いて休むといいなんて魔術で眠気を誘うかもしれない。
ただの承諾の返事ではだめだ。きっとそうだとこちらの思いを察しても、返事をする前段階で阻止しようとする。
わたしが承諾することは、万一、フォート家の“祝福”が災いとなって降りかかった時にそれを甘んじて受けると望むことも含まれる。
きっとルイはわたしが彼を好きになっても、警戒し続けてほしいはず。
だからわたしに時々確認するようなことを口にする。
離婚したいと言っても、自分のことは拒まないと。
どんな気持ちでいたのだろう……実際に“祝福”のために彼の母親は苦しんでいるし、自分が生まれたために生じた苦しみが両親に影響を及ぼしたまま、まだ子供だった彼を置いて亡くなってしまったと考えていたら。
だって、わたしが彼から魔術の話を聞きたがり、離婚しても気に掛かるから雇ってほしいと言った時、彼はなにか物言いたげに呆れるような困惑するような様子を見せていたし――。
「……どうしたんですか?」
くぐもった声と頬に触れる指先に気がついたのは、ほぼ同時だった。
「泣き出す前みたいに顔をくしゃくしゃにして」
「泣き出しませんし、くしゃくしゃって……く、くしゃみをしそうで堪えていたんです。変な時に起き出さな……」
身を起こし、わたしに乗り出だすようにしてきたルイに口付けられて目を閉じる。
この人じゃなきゃ、嫌だ――。
そんな気持ちと切なさが膨れ上がったことに自分でも驚いて、頬に手を添えるルイのシャツの袖を摘んで軽く引っ張ってしまったのを、わたしのいつもの抵抗と思ったのか触れ合わせているだけだった彼の唇が離れる。
「あ、えっと……お、起きるなりなに!? それに倒れるほどの魔術を使う気も、その予定もなかったはずでは?」
わたしが目を細めて彼の袖を掴んだまま詰め寄れば、倒れてはおらず少々疲れて眠り込んだだけといった予想通りの彼の言い分だった。
「やっぱり。そんなことだろうと思った」
「おや」
「この辺りが明らかにお疲れです」
椅子から腰を浮かせて、彼の顔の前で、その額から目元にかけてを囲むように指でぐるりと楕円を描いてから、うっすら皺の跡の残る眉間に触れるか触れないかといったキスをすれば、彼の両肩が驚いたように揺れる。
それには気づかないふりをして離れ、ただのお返しですと囁く。
「わたしは癒しの魔術なんてできないのですから、ご自愛くだらさないと困ります」
「そうですね。ユニ領も……実質公爵領に組み込まれるわけですから。なにかあれば貴女の故郷も困ると思えば、多少は注意する気にも」
「ユニ領のことがなくても注意してください」
「そうですか……」
「ええ」
「少々眠り過ぎました、湯を使いたいのですが頼んでもらえますか」
「わかりました。もうお昼も過ぎましたから軽食とお茶も運ばせます……わたしは自分の部屋でお祖母様へのお礼の手紙を書いたりしていますから」
なんだかこれまでにないくらい、ルイとの間にぎくしゃくした噛み合わなさを感じながら言葉を交わして客間を出ると、閉じた扉に背を預けて今日で一番深くて重いため息を吐いて、彼が触れて彼に触れた唇を指でなぞる。
ルイじゃなきゃ、嫌だ。
今更、虫がいい話だけれど、でも向こうだっておあいこだ。
――貴女のお母様も、私も、この人と思った殿方を自分で掴んだのですよ。
「そうよ……散々人を振り回しておいて、逃げ道なんて残さないなんて言って、最後の最後で
これまでの自分の振る舞いをあれこれ振り返って恥入ったり、ルイの過去とかその気持ちを考えて悩んでいることがだんだん馬鹿馬鹿しくなってくる。
だって仕方ないじゃない。
それにあなたの思惑通りに、あなたのことを好きになってしまったんだから。
「こっちだって、ただ“魔術師”の婚約者や妻をやってきたわけじゃないのよ」
背筋を伸ばして姿勢を正し、そうよ……うん、と拳を握って振り上げながら、下男にお湯を、執事のファビアンに軽食を用意してもらうべく、わたしは廊下を歩いた。
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