第60話 お祖母様の呼び出し

『マリーベル。明日の午後のお茶の時間にこちらへいらっしゃい。ルイ殿はジュリアンにでも押し付けて一人でくること。護衛と侍女の同行は当然許します』


 ユニ領の村を一通りルイに案内し、日暮れ時にユニ家に戻ればお祖母様からの呼び出しの手紙が届いていた。

 手紙といっても配達人ではなくて届けてくれたのはドルー家の下男で、しかもわたしの返事を持って帰るために、フォート家とユニ家をつなげる扉の工事を手伝いながら待っているという。

 聞けばわたしとルイが出かけたのとほぼ入れ違いにやってきたそうで。

 慌てて「お伺いします」と返事を書きたいところだったけれど、いまのわたしはユニ家の娘ではなく公爵家に嫁いだ身なので、一応、旦那様であるルイを蔑ろにドルー家に行くことは出来ない。

 

「なんだかよくわからないけれど、お祖母様から呼び出しが」


 よくわからないから説明のしようもなく、客間でお祖母様の手紙をルイに見せれば、孫娘とはいえあなたはいまやトゥール家の養女の公爵夫人なんですけどねえと、テーブルの椅子に腰掛けてルイは可笑しそうに喉を鳴らした。

 しばらく笑っていたので、おそらくなにか彼の笑いの感性に響いてしまったようだ。普段、取り澄ました無表情か微笑みを浮かべた表情でいる公爵様は、一度笑いだすととなかなか収まらない。


「本当に……貴女は母方の性質を濃く受け継いでいますね」

「え?」


 たしかに、わたしは母様と色は同じと言われていたけれど。

 栗色の髪も緑色の瞳も母様からそっくりそのまま受け継いだ色だ。

 それにどうやら魔術適性のなさも同じであるらしいのは、先日、お祖母様の言葉で知った。


「うーん、子供の頃から色だけは母様似って言われてはいますから、そうかもしれません」

「容姿だけでなく、性質のようなものもでしょうか」

「性質?」


 母様は、遠戚とはいえさすが大貴族の一族の女性と評判の淑女だったので、あまり似てないと思うのだけれど。

 どちらかといえば中身については、小さな頃から父様似だと言われている。

 相手としてはほめているつもりのようだけれど、娘にしておくのが勿体ないなんてちょっと苦笑いしか出ないようなことを言われたこともある。


「それで貴女はどうしたいのですか?」

「お伺いしようかと。またしばらくお会いできないでしょうし……」

「……そうですね」


 わたしが渡したお祖母様の手紙に目を落としながら、ルイはぼそりと同意した。

 夏になれば、社交のために王都の邸宅にしばらく滞在することになる。

 貴族社会における実質的なわたしのお披露目も兼ねていて、名目上の養女としてわたしを受け入れてくださったトゥール家の養父母ともあらためて交流することになるだろう。

 養父様は王妃様の叔父上にあたる方で、そのお屋敷で過ごしたのはたった三日だったけれど、彼の妻である養母様と共に温厚なお人柄であるのは伝わった。

 結婚後にすぐ東部のフォート家の屋敷へ移ることになったから、婚儀の場で挨拶を済ませたきりである。

 養母様とはお手紙を何度か交わしているけれど、名目上でも養女としてきちんと交流する必要がある。

 そうなるとユニ家やドルー家との付き合いは、表立っては控えるべきだろう。

 でなければ、身分差解消のために養女となった意味がない。

 父様をフォート家の法務顧問に雇ったのは、モンフォール家との確執を解決するためだけれど、表向き主従の関係でもわたしが父様や実家との繋がりを保つことをルイが配慮してくれたからでもあると思う。


「では、お祖母様に返事を書きます」

「護衛にはオドレイを連れていくといいでしょう」


 それはわたしにとってはとても心強い。

 ドルー家はユニ領に近いとはいえ、一応、モンフォール領内にある。


「いいの?」

「ユニ領で倒れるほどの魔術を使う気も、その予定もありませんからね」

「ありがとうございます」


 オドレイさんはルイの従者兼護衛だ。それも万一の時には彼の命綱にもなる。

 ユニ領で危険なことが起きる可能性は低いからといっても、このルイの気遣いはうれしい。

 心からそう思って、きちんとお礼を伝えて微笑んだけれど、わたしの着ている普段着ドレスの袖口のフリルに彼の長い指が触れて、つい反射的に腕を引いてしまった。


「あ、えっと……本当に。大丈夫ってルイは言っていたけれど、お祖母様のところはモンフォール領の外れではあるから、やっぱりちょっとだけ心配で……」

「マリーベル」

「はい」


 なんとなく物言いたげなルイの様子に、彼を見詰めた時、失礼いたしますとオルガがお湯を運んできた。

 

「いえ、なんでもありません。私もジュリアン殿と今後のことを詰めないといけませんし大丈夫ですから、ゆっくりしてくるといい」

「ええ」


 お祖母様の呼び出しに応じる返事を書いて、オルガに渡す。

 そして、結局、寝る時だけ別々の部屋になるのを今晩も継続してしまった。

 流石に明日は父様あたりが心配してなにか言われるかもしれないと思いながら、仰向けからごろりと横臥になる。


「でも、どんな顔して同じ場所に眠ればいいの……」


 よく考えたら、所謂夫婦の営み以外でも、あんなことやこんなこと。

 どうしていままで平然としていられてたの、わたし!

 

「だって、それこそ結婚している以上はとあまり深く考えずにいたし」

 

 でもそれって、わたしは結婚さえしていれば誰でも平気で大丈夫だってこと!? 

 そんなの貞淑っていえる?

 

「そ、そうだ。仮によ、仮に坊っちゃまと結婚し……」


 無理―――!

 そもそも結婚すること自体が、無理!!

 モンフォール家だからとか、彼があの坊っちゃまだからとか関係なく、絶対に無理!


 それに彼が王都でルイに決闘を申し込む直前に、市場で一人でいたわたしを見つけてわたしの腕を掴んだ時、とにかく離して欲しかった。

 わたしの後を追ってやってきたルイがとりなして彼から助けてくれた時、ほっとしたのも事実だ。離してもらってすぐは、少しだけ坊っちゃまに感じた怖さに手が震えてしまっていた。


 わたしが身内とルイを除いて、一番近しい距離で接して慣れ親しんでいた男性は幼馴染みである坊っちゃまだ。

 彼のことは、悪ふざけに困り、いじめられて怒ったり悲しくなったことはあっても、嫌いだと思ったことはない。

 川遊びや木登りなんかの遊びでは、危ないことがないように注意してくれていたし。追いかけっこしていて転んですりむいた時は、お屋敷までおぶって手当てもしてくれた。

 そういえば傷が残ったら結婚するって、その時も言っていたような気もするけど……傷跡にならなくてよかった。

 とにかくちょっと面倒で苦手に思うところもあるものの、よくも悪くも兄のような人ではある。

 もしも。

 わたしがモンフォールの当主さまのことを知らないまま、ルイのように外堀を完全に埋められて坊っちゃまとの結婚が決まったとしたらどうしただろう。

 

「流石に、逃げ出すことはしないし出来るわけもないけれど」


 なんとなく、いまのような、それまでのわたしのままではいられなかった気がする。坊っちゃまは妻を蔑ろにするような性格をしている人ではないと思うけれど、もっと固く冷たいなにかを諦めた気持ちを抱えそうな。

 少なくとも婚儀の場で祭壇と司祭様を前にして、“絶対、穏便に離婚する!”なんて闘志は湧かないと思う。


「いまさらだけど。腹を立てていたとはいえ、なんてことを……」


 きっとルイだからだ。

 ルイだから……悪徳だけど、わたしをちゃんと意志を持った相手として扱ってくれていたルイだったから。わたしが本気で条件を整えたらすんなり応じてくれると何故だかそう思っていた。

 普通は条件が揃ったところで、そんなことあり得ない。

 相手にだって面子や体面がある。

 貴族の男性ならなおのこと。

 相手に別れる気がなければ揉めに揉めて、きっと誹謗中傷もされ、ひどく傷つけられる。

 いまのいままでどうしてそんな当たり前のこと、欠片も考えずにいたのだろう。


 だってあの坊っちゃまだって、ルイに決闘を申し込んだ際は勝った方がわたしを妻にすると一方的に決めて、街の人々の前で宣言したのだ。

 文字通り、戦利品であるかのように。

 わたしの同意や意志など関係なしに。

 たぶんルイならどんなに頭に血が上っても、憤っても、そんなことはしないと思う。もし同じ事をしたとしても必ずわたしの意志を確認し、同意をとったはず。

 まあ悪徳だから……禍根が残らないようなことも考えてではありそうだけれど。

   

「祝福回避がかかっていた初夜だって、わたしが本気で抗って嫌がって受け入れようとしなかったならきっと途中で……」


 でなきゃその時も、後々まで。

 ひどいけれど仕方がないと思ってもういいですと言ったわたしに、ああも申し訳なさそうにはしない。

 そもそも貴族の結婚なんて、女性はほぼ親のいいなりだ。

 初夜もその後も、嫌もいいもない。

 後継のことを考えたら行わなければいけないことであるし、そこで妻を待つとか強引に進めて申し訳ないとかいった考えを挟む殿方の方がきっと珍しい。


 ――逃げ出されなくて、ほっとしました。

 ――逃げられない状況に人を追い込んでおいて、よくまあそんな事。

 ――本気でその気になれば状況もなにも関係ありませんよ。


「わたし……」


 大聖堂で、司祭様の前に並んで、誰の耳にも入らずひそやかに交わされた二人の会話を思い出しながら呟く。


 ――貴女は様々な事柄を天秤にかけて、私と婚姻の儀を行う事を選択した。そうでしょう?


 その通りだ。

 誰でも平気で大丈夫なわけじゃない。 

 全部許してもいないけれど、ルイじゃなかったらそもそも全部がない。


 この人になら甘えてもいいって思ってしまいそうだなんて、もうずっとどっぷり甘えていたようなものじゃない。

 本当に好きになってしまいそうで困るだなんて、そんなの……。

 

「どうしよう」

 

 だって、わたしが自分の気持ちに気がついても。

 ルイがわたしも気がついていなかった、わたしの気持ちも考えた上で大事に扱ってくれていても。


「きっとルイは……求婚の返事については曖昧にしたままでいようとする」


 いずれわたしが、離婚のことなど考えなくなるまで待てばいいとして。

 それと同時にわたしに、離婚といった選択肢を持たせていたくて。

 わたしが彼への気持ちに気がついたから、伝えてよしとなる話じゃない。 

 これまで散々わたしは離婚のことを口にしてきたし、フォート家の“祝福”はそれだけ深く彼に濃い影を落としている。 

 

 このままでも結局のところは同じことなのだから、いいといえばいいのかもしれないけれど。

 お互い、要件が揃えば別れることを前提に、これからの日々を積み上げていいことなの……?


「眠れない……」


 ぐるぐるぐるぐる出会ってからこれまでのことが頭の中で巡っては、最終的にルイの意志に帰結して途方に暮れるのを繰り返すことに疲れ果てた頃には、空が白み始めていた。

 少し眠りはしたけれど、起きて身支度に鏡を見ればあきらかに寝不足が祟った血色の悪さで、身支度を手伝いにきたオルガには本を遅くまで読み耽っていたと誤魔化す。

 お湯に浸した布を頼み、それを顔に当ててなんとか見られる顔色にして、わたしは朝食の場へと出向いた。



*****


 お祖母様のところへ出かけるために外へでたら、馬車の脇でオドレイさんとシモンがなにか言い合っていた。

 揉めている雰囲気ではなく、無表情にまっすぐ立っているオドレイさんに、シモンが腕を前に伸ばしたり上げ下ろししながらなにか喚いているようなものだったけれど。

 どうなさったのでしょうかと、わたしの侍女として後ろに控えているオルガの言葉にさあとわたしは首を傾げる。


「……って奥様に言われて、本当ですってっ!」

「だとしても、その有様ではどうにも」


 奥様といった言葉が聞こえたのでどうしたのと声をかければ、オドレイさんは申し訳ありませんと頭を下げた。

 たぶんわたしが屋敷から出てきて馬車の前に控えていなかったお詫びだろうけど、そんなことは構わない。


「別にいいけど。それよりトゥルーズって?」

「奥様も見ましたよね、オレが小広場ですごい風を起こしたの」

「え?」

「ほら、オレってそんな強い風は操れなくて、攻撃っていったら風を鋭い刃みたいにしてせいぜい薄く切り傷つけられるような程度じゃないですか。それが小広場で奥様になるべく広く地面から風を巻き上げるようにって言われてやったらすごいの出たでしょ」

「ああ……」


 正直、もう力が抜けて倒れる直前。目の前が若干暗くもなっていたし、あまり覚えていないのだけれど驚き顔で振り返ったシモンは覚えている。


「シモンが振り返った顔なら……」

「そこじゃないでしょっ!? って……ぐはっ」


 ごく軽い動作でオドレイが握った手の甲でシモンの脇腹を叩き、シモンがお腹の底から吐き出した声に思わず顔が引きつる。

 あらまあとオルガが声を上げた。


「――オドレイ」


 わたしの背後からため息混じりなルイの声がして、振り返れば彼が額を押さえていた。その彼の斜め後ろで、父様が信じられないものを見たといった顔して目を丸くしている。

 二人とも大袈裟にもわたしを見送るために出てきたのだ。


「暴力はよくありません。大丈夫ですか、シモン」

「はあまあ、姐……オドレイさんのは愛の制裁ってやつなんで」

「後輩に妙な趣味を仕込まないように」 

「そのつもりはありませんでしたが、申し訳ありません」

「結構」

「いや、結構じゃないから。それはちょっと違うと思いますからっ」


 ルイというより、至極真面目にルイに詫びるオドレイさんに向かってわたしは言って、それでそのすごい風を起こせたからどうしたのとシモンに尋ねる。


「ほら追い詰められた時に本来の力が発揮できるとかいうじゃないですか、それじゃないかと。オレの力があれくらい強いんなら、オドレイさんの代わりもちょっとは出来るかなと思いまして」


 つまり従者兼護衛の仕事を、自分にも分担できないかということだ。

 シモンはオドレイさんを慕っているから、危ない仕事をなるべくさせたくないのだろう。

 なんだか微笑ましいと思いつつも、実際問題としてはそれは難しいことだろうなと考える。わたしが街中にお出かけする程度ならともかく、ルイのとなれば彼の用事によっては騎士団の騎士に匹敵するくらいの戦闘能力と実戦経験が必要になるだろう。

 それにオドレイさんには、魔術使用の限界がきた時のルイを強制的に眠らせず一時的に保てる竜の血もある。

 竜の血は本来猛毒だけれど、先祖返りのオドレイさんの薄められたそれはかなり強力な強壮薬または気付薬の代わりにもなる。

 

「ですからそれは、再現できないのなら意味はありませんと」

「うーん、判断するのはルイだけど。わたしのちょっとした護衛役ならともかく、どちらにしてもそれだけではルイの従者は難しいのじゃないかしら」

「ですか……」

「その……風だの、力だのとはどういった……いや無理に話すことはないが」


 父様がそろりと尋ね、わたしがルイを見れば彼が頷いたのに、シモンがつむじ風の精霊の“祝福持ち”であることを父様に説明する。

 

「祝福持ち……ではマリアンヌのような」

「彼の場合はそこまで強くはありません。つむじ風の精霊は、風の精霊直属の眷属でもなく与えられた祝福も強力なものではない。とはいえ異端と見做されるには十分でしたが」

「異端……」

「先日も申し上げた通り、祝福は精霊が一方的によかれと思って与えるものですから。人の側でどう受け止められるかは周囲次第です」

「ふむ、たしかに非常に厄介なものですねそれは」


 父様の言葉に少しほっとした。

 物事をありのままに受け止め、好き嫌いなどの感情はなるべく排して判断する人だから大丈夫だとは思ったけれど、異大陸の血を引くオドレイさんの外見にまつわる偏見のようなものとはまた別物なので内心大丈夫かなと心配したのだ。


「そういえば小広場に局所的な砂嵐のようなものは、わずかながら見えましたね、あれはシモンでしたか」


 たぶん魔術で取り出したわたしの記憶で確認したのだろう。 

 だとすると興味深いと口の中で呟いたルイに、ああこれは後で彼の魔術研究のためにシモンがきっと気の毒なことになるわと直感した。


「旦那様」

「なんですか、オドレイ」

「たしかに私もその砂を含み渦を巻く壁のようになった風は見ました。それがシモンの風だとしても、あの場限りでその後一度もできないのでは、ないも同じことです」

「できないの?」

「そうなんですよ、奥様。やっぱオドレイさんの言う通りまぐれというか、追い詰められれば兎も空を飛ぶみたいなものだったんですかねえ」

「シモン、休憩はもうそろそろ終わりのはずです。扉の仕上げに戻っては」

「そうですね。そうします」


 オドレイさんに促されて、シモンは使用人用の裏口へと回り彼に任せられているフォート家とユニ家を繋ぐ扉の取り付け作業へと戻っていった。

 

「出発前に申し訳ありませんでした、奥様」 

「ううん、少し早く出てきたし。行きましょうか」

「はい」


 オルガを伴って馬車に乗り込み、馬車の窓から見送りに出てきたルイと父様に声をかける。

 

「それじゃあルイ、父様、いってきます」

「クロディーヌによろしくお伝えください」

「気をつけて」

「はい」


 ユニ家を出発し、わたしの寝不足を知っているオルガにドルー家に着く前に少しお昼寝をしておいてはと提案されて、ありがたく馬車に揺られながらうたた寝する。

 ドルー家は一刻に少し足りないくらいの時間で到着してしまう。

 オルガにお嬢様と肩を揺さぶられて目を覚まし、出迎えてくれたドルー家の使用人と久しぶりに顔を見た挨拶を交わして、応接間に案内される。

 すでにお茶の用意がされていて、お祖母様は長椅子ソファにゆったりと腰掛けていた。


「お茶のお誘いありがとうございます、お祖母様」

 

 お祖母様の指定した時間がお茶の時間となっていたためそう挨拶すれば、お座りなさいと席を勧められる。 

 オルガとオドレイさんは部屋の壁際に控え、ドルー家の使用人がカップを整え、小皿にお菓子を取り分けてくれたところで、オルガとそちらの男装の従者以外は下がりなさいとお祖母様はドルー家の使用人に命じた。

 もしかして、先日のモンフォールに関する話でドルー家の側からはまだなにかあるのかしらと緊張を覚える。

 お祖母様が注いでくれたお茶をいただけば、マリーベルと堅い声で呼びかけられた。


「はい」

「こういったことを遠回しに尋ねても貴女にはあまり通じませんから、単刀直入に尋ねます」

「なんでしょうか」

「貴女とルイ殿、一体どのようになっているのか本当のところを仰い」


 お祖母様からの想定外かつ意外な質問に驚いて目を見開けば、周囲は誤魔化せても私は誤魔化されませんよとお祖母様はきっぱりとそう言った。

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