3話 学校での事件
学校に着き、教室に入ると、クラスメイト達は少しざわついていた。
「ねぇ、あの子たち見て」
「嘘でしょ。もう高校生なのに」
「恥ずかしくないのかな?」
「この歳でおねしょとかありえないでしょ」
「来年は受験生なのにね」
みんな私達の方をちら見しながらヒソヒソと話している。
「ちょっと行ってくる」
「待って、私も行く」
私たちはクラスメート達のところへ向かった。
「あなたたち! いい加減にしなさいよ!!」
夢子が声を荒げて言う。
「だって仕方ないじゃん」
「そうだよ。悪いのはおねしょが治らないそっちの二人なんだからさ」
「そうそう。私達が言ってることは間違っていないと思うけど?」
「でも、こんな風に言われる筋合いはないでしょ?」
「まあまあ夢子落ち着いて、藍菜も震えて涙目だし」
「うぅ〜」
「ごめんなさい。私達、どうしてもおねしょが治らないんです。どうか許してくれませんか?」
私は頭を下げて言った。
「別に謝ることじゃないけど」
「そっちが恥ずかしいだけだしね」
「まあとにかく、これ以上変なこと言わないでね」
夢子はクラスの女子達に釘を打つと自分の席に戻った。
「大丈夫だった? 夢子」
「うん。大丈夫だよお姉ちゃん」
「いいよいいよ。無理しなくて。怖い思いをさせて悪かったね」
「ううん。全然平気。それよりこれからどうする?」
「とりあえず様子見だよね」
「そうだね」
「おいお前ら、何の騒ぎだ?」
先生が来た。
「いえ、何でもありません」
「なら良いが、授業始めるぞ」
授業が始まるが、授業開始から20分ほどして夢子は様子がおかしいことに気づく。
明らかに落ち着きがない。おしっこをガマンしているようだった。
「どうしたの夢子?」
私が小声で隣の夢子に声を掛ける。
だが夢子は体が震えていてガマンの限界のようだった。
「どうしよう。おしっこ……出ちゃう」
「え!?」
「お、お願い。助けて」
「わ、わかった」
私は先生に声を掛けようとするが、夢子はそれを止める。
「クラス中にばれたら恥ずかしい」
「でもそれじゃ……」
「とにかく先生は……あっ」
そう言うと夢子のスカートに染みが広がる。
何と授業中なのにお漏らしをしてしまったのだ。
突然の授業中の女子のお漏らしにクラス中は強くざわつく。
何より先ほどの話題の渦中にいておねしょがまだ治ってない夢子のお漏らしだ。
当然クラスメイトはからかい始める。
「ゆめりんまた失敗したのかよー」
「ホントはおねしょなんじゃないの〜?」
「ほんと笑えるんだけどw」
夢子は顔を真っ赤にして俯いている。すると今度は私の方に視線が集まる。
「ねえ、そっちの子も失敗してない?」
「やっぱりしてるんでしょ」
「マジかよ。この歳でおねしょとかあり得なくね?」
「ヤバすぎでしょ」
私は恐怖で顔を上げることが出来なかった。
その直後、授業中にも関わらず私も恐怖でお漏らしをしてしまう。結局2人ともお漏らしをしてしまい、その日の昼休みには全校生徒の知るところとなってしまった。
「あれだけ大見栄きったのに……」
「まさかあんなことになるなんて」
「そうだね」
「お姉ちゃん、私、恥ずかしくてもう学校に行きたくないよ」
「それはダメ!」
「どうして?」
「このままだと私達ずっとバカにされ続けるんだよ?」
「そんなの嫌だよ」
「それに、私達は絶対におねしょを治すって決めたでしょ?」
「お姉ちゃん……。うん、そうだね」
「よし、じゃあ放課後保健室に行って、相談してみるよ」
「うん、そうだね」
そして私たちは午後の授業を受け、放課後になると保健室に駆け込んだ。
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