第6話 回想、食事会前日

母や父と食卓を囲んだ前の日の夜。

何の前触れもなく、突然、彼((浜崎孝(はまざきたかし))は、私と向き直った。


「ーーもう隠せないんだ。。俺の話を聞いてほしい」


「ーー何よ!改まって。。」


私は彼の前に座った。

別れ話か、プロポーズか、どちらかしかないだろう。と私は直感的に思っていた。


「ーー実は俺......お前に隠してた事があるんだ。。」


「ーー何?」


「ーー俺、、オレ、、」


彼が口ごもっている。。


「だから、何?」


「ーーひかないで、聞いてくれるか?」


「ーーうん」


「オレ、実は、、女装趣味があるんだ」


ーーはぁぁぁ?


「ーー何言ってんの?バカじゃないの?」


あははは。。


声を立てて私は笑った。


「真面目に聞いてくれよ!本当なんだって。。」


そんな事を突然言われて、私が信じられる訳がない。

だって、この2年の間ずっと生活を共にしていたのに、そんな姿は見た事がない。

それでどうして、信じられると?

そう思った。。


「じゃ、試しにーー化粧してみて!!」


化粧品一式を彼に差し出す。。

私は彼が鏡を見ながら化粧を始めるのを、じっと見ていた。。


まず乳液やら、何やらを色々と塗ったくってから、彼は化粧を始めた。


女である私よりも化粧に時間をかけている。


そうこうして、30分が経った時。


「何それーー??」


思わず彼の顔を見て、大笑いしていると、彼は怒り始めた。


ーー笑うことないだろう??


「でもさー、まじでこんな事してたの??」


「前からそういう趣味があったんだよ!」


「ちなみにいつから??」


「三年は経たないくらいかなぁ??」


ーーこれ聞いてもいいだろうか?

少し迷いながら、私は聞いた。


「ーー普通にしていればそこそこの男なのになぜ、そんな風になったの??」

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