追奏 子守唄 CONFESAR LOS PECADOS
私には親がいない。
それどころか、この世での第一声は何処だったのかさえ分からないのだ。
はっきりしているのはただひとつ。
駅から少し外れた神社のそば。
小さなペットショップのゴミ捨て場。
そこにビニール袋に入れられて置かれていたことだけ。
店員はまた子猫か子犬くらいに考えて拾い上げた。中をのぞいたら人間の赤子がいた。ハダカでね。
そうやって私の人生のスタートボタンは押されたわけだ。乳児院へと預けられた。仲良くなった子供達が大人と一緒にいなくなるのを何度か目にした。次は自分の番か、いつかは順番がまわる日もくるかもと待っていたがソレはとうとうこず、売れ残りの自分はそのまま児童養護施設へと引越しをすることとなる。
中学校へとあがるまでは誰にも気にとめられず静かにただただ静かに、歳を重ねていく。
誰にも気にとめられない。
それは空気と同じこと…。
存在しているのに目には入ってない。
あの出来事までは。
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