第2-17話 冬の夜
さて、結果から言うとルナちゃんに勉強を教わるのは大成功だった。
それに伴って、模試の成績や過去問の解き直した成績が次第に上昇傾向を見せついに1年前の共通テストの模擬テストではそれなりの成績を残すことができた。
「ありがとう、ルナちゃん。おかげで、ようやく
「いえ。勉強を頑張ったのはハルさんですから」
俺は
できないので、彼女のやりたいようにやらせている。
だが、そのせいで俺はコタツの隅の方に隅の方に追いやられて完全に逃げ場を失っており、そこにルナちゃんが身体を重ねてくるものだから俺は完全に積んでいた。これがツムツムってやつですか。
「一ヶ月でE判定からC判定ですか。こんなに成績があがるものなんですね」
「いや、本当に頭が上がらないよ。ありがとう」
ルナちゃんは綺麗に右肩上がりをしている成績結果を見ながら足をもぞもぞと動かした。彼女の柔らかい太ももに俺の足が飲み込まれてしまって完全に吸い込まれた。誰かここから助けてください。
「この調子なら、ハルさんは本当に第一志望に合格できるかも知れませんね」
「いやぁ……。どうだろ。結構ここからが大変らしいし」
「何を言ってるんですか! やる気があれば何だって出来ますよ!」
「んなプロレスラーみたいな……」
「いえいえ、本当です。実際にハルさんの成績が上がったのはハルさんのやる気があったからじゃないですか」
ルナちゃんは金髪を揺らしてそう言ったのだが、一方でコタツの下ではイカの足みたいな感じで足を絡まされているんだけど、この子上半身と下半身で付いている脳みそ違うの?
「でも、そうですね。ハルさんは数週間とは言え、こんなに頑張ったんですからご褒美の一つも無いと駄目ですよね」
「ご褒美? ルナちゃんに?」
「何を言っているんですか。ハルさんにですよ」
「えぇ……。だって、ルナちゃんに勉強を教わってる立場なのに……」
「良いんですよ。ちょっと目を
「ん。分かった」
俺はルナちゃんに言われるがままに目を瞑った。
彼女はするりと俺の足から自らの足を切り離すと、ゆっくりと俺の肩に手を置いた。
「え?」
「駄目です。目をつむっていてください」
「あ、あい」
「何があっても目を瞑っててくださいね」
「えぇ?」
「私が良いよと言ったら目を開けてください」
ルナちゃんにそう言われたまま、俺は目を瞑ると優しく唇が甘噛された。
「……っ!」
「駄目ですよ。目を瞑ったままでいてください」
そのまま彼女は深く唇を重ねてくる。
そして、そのまま俺の太ももに座ると、彼女自身の体重に任せて俺の身体を押し倒した。
「〜〜っ!」
ルナちゃんの全身が俺に押し付けられて、唇すらも動かなくて、俺は呼吸を忘れて彼女に成すがままにされてしまう。だが、それでも彼女は離れない。そして、俺は彼女に言われるがままに目を瞑って、開くことができない。
だから、彼女の全てが伝わってくる。
そんな彼女はゆっくりと唇を話すと、すっと体重を移動させて俺の耳元で囁いた。
「まだ駄目ですよ」
うせやろ? まだ何かされるの……?
俺が戦線恐々していると、彼女は俺の服に手をかけた。
「ちょっとぉ!?」
「どうしたんですか?」
「流石にそれは……」
「んー」
目を開けていないからルナちゃんの声しか分からないが、明らかに不機嫌そうになったのが伝わってきた。
「ハルさん」
「……ん」
「私たちは18になるんですよ? 別に、良いじゃないですか」
「でも、駄目だよ」
「んー!」
ルナちゃんはまだ何か言いたげだったが、それでも納得したのか黙り込んだ。
「分かりました。ハルさんがそう言うなら」
「あ、ありがとう……?」
俺がそう言い終わるよりも先に、ルナちゃんは再びキスをしてきた。
だが、今度は唇だけが重なるものではなくもっと深いものを。
「……もう良いですよ」
「…………」
俺が薄めを開けると、そこには俺に馬乗りになったルナちゃんがいて、
「今日のところは、ここまでにしておきます」
「今日のところはって……」
これ続きがあんの? 怖すぎるんだけど。
「ハルさんが成績があがったら、ご褒美として今日と同じことをします」
「嘘でしょ?」
「下がったら罰として今日の続きをします」
「???????」
この子は何を言っているんだ??
「なんて、冗談ですけど」
「あ、そ、そっか……」
本当に冗談だったか?
結構顔がガチだったぞ??
「ねぇ、ハルさん」
「ん?」
「私とハルさんが結婚するなら、パパがハルさんに仕事をついでもらうって話をしてたじゃないですか」
「……うん」
今でもまだ、その話は覚えている。
いや、むしろあの話があったからこそ俺は自分の進路を見つめ直すきっかけになったのだ。
「でも、パパにハルさんの話をしたんです。ハルさんが自分の夢を持って、自分の目標に向かって頑張ってるって」
「そ、そっか……」
やばい。話が全く見えてこない。
今なんの話をされてるのこれ。
「そしたら、パパも分かってくれたみたいで」
「ん?」
「ハルさんがやりたい仕事につけるなら、それはそれで良いんだって。仕事は私が継ぐからって」
「……なるほど?」
つまり、俺はルナちゃんと結婚しても職業自由の権利を得たというわけか。
いや、その権利を行使するよりも先にやらなきゃいけないことが山積みなんだが。
「できるだけ家庭の時間が取れるようにがんばりますね
「え? あ、なるほど?」
結婚するのは前提なんだ。そうなんだ。
俺が彼女の言葉に心の中でツッコみを入れていると、
「だって、運命ですから」
彼女はとびっきりの笑顔でそう答えた。
……俺、今のを言葉に出してた?
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