第4話 サブキャラの作り方①
「か、片桐に一旦戻るよう電話しますね」
「え、ああいいよそんなことしなくて」
前田先生はタバコを咥えながらそう言った。
おいおいそれはダメだろ、そんな状態の志賀さんを強引に学校に連れて来るなんて、そんなの許されるわけない。
まずなにより、そんなこと経験した人がまともに学校来れるのか?
「なんでですか!心に傷を負ってるんですよ、ただ強引にってだけじゃ良くないでしょ」
「ふふっ、さすがは去年の10月にあの問題を起こした当時者だけのことはあるな、そこら辺よくわかってる」
「……やめてくださいよ、もう終わったことだし、あれは俺が悪いです」
「いや、あの件は確実にお前は悪くない悪いのはお前を嵌めたあいつらだよ」
「そういうのはもういいんです、それよりも志賀さんの方が今は大切ですよ」
あの件はもう終わった話なんだ。
それに今大事なのは志賀さんの心だ。
「まぁいいや、とりあえず一旦戻れ鷲宮、事情を聞いたお前なら何かの力になれるだろうしな」
「え、ええそうしますよ、少なくとも何もしない先生よりかは力になれると思うので!」
そう言って俺はそのまま職員室から出ていった。
まったくなんで先生はこんな大事なことを先に伝えてくれなかったんだろうか、聞いてたらそもそもこんなことしなかったのに……もしかしてそれが狙いか。
はじめに聞いてたら行かないけど、一回会った後にそんな事を聞いたら無視できなくなる。
……前田のやつ、結構やりてなのかもな。
『ピンポーン』
「はぁい、あらさっきのイケメンくんじゃない、さぁ上がってちょうだい」
「失礼します」
志賀さんの家に戻ってきた俺は、志賀さんお母さんから本日2度目のお出迎えをされた。
まずは片桐のやつにさっき教えてもらった事を伝えないとな。
志賀さんの部屋は2階あるため、俺は家に入るなりに階段を上がった。
「おい片桐一旦中止……あれ片桐どこいった?」
2階に上がると志賀さんの部屋の前に片桐の姿はなかった。
おいおいまさか強引に部屋に入ったわけじゃないだろうな。
そう思った俺は急いで志賀さんの部屋に入ろうと扉に手をかけた。
「あっはは、片桐さん面白いですね」
「面白い?いやいやいや私は大真面目なんですよ⁉︎」
なんだ扉の奥から楽しげな声が聞こえるぞ。
いやでもそんなのおかしい、つい30分くらい前はあんなに喧嘩していた二人だぞ。
「む、志賀さん外に怪しい主人公がいるかもしれません、ドア開けますね!」
や、ヤバい片桐のやつ気づきやがった。
ていうかなんだよ主人公ってーー
「えいっ!」
「あっ」
「ほう、盗み聞きとは悪趣味ですね"元"主人公」
「だからその呼び方やめろって、つかお前らなんか仲良くなってないか?」
「ふふ、簡単な事ですよ私はサブキャラで彼女もまたサブキャラだったただそれだけのことですよ」
自信満々に片桐はそう話した。
ごめん、全然意味わかんない、つかサブキャラなの志賀さんって?
「こ、この人は誰ですか会長?」
「我々の倒すべき仇敵にして、今は頼り甲斐のない味方、略して"元"主人公です」
「なんだその紹介の仕方はせめて俺の名を出せ、はじめまして2年の鷲宮健斗です」
「ど、どうも」
寝巻き姿の志賀さんは少し驚いた様子でお辞儀をした。
ていうか片桐、俺のこと頼りないとか思ってたのかよ……ちょっとショックなんだけど。
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