01.「ようこそ、告死天使様」ってなんぞ??
次に目を覚ました時、そこはよくRPGゲームで見るような王城の謁見の間みたいなところの床だった。
ポイントとして、床の上には魔法陣っぽいものがある。これは異世界召喚された予感がする。しかし、こういう異世界召喚で僕みたいな
もっというと、
1)召喚失敗でこの後、罵られて追い出される
2)誰かの巻き添えで召喚されて、この後、罵られて追い出される
つまり、結論としてどうあがいても罵られて追い出される。
(ああ、最悪だ、しかも僕は単なる忌み子の引きこもりだから外の世界でチート能力発揮とかもなくすぐ死んでしまう。マンボウさんくらい繊細なんだから非常に簡単に死んでしまう)
色々、この先を悲観していると、黒い髪に紫の瞳をした、すごい美形の男の人、多分王子様とかっぽい乙女ゲームの攻略キャラとかに出てきそうな、リア充みしかない人が話しかけた。
「君は死の神のいとし子か?」
「いとし子かは知りませんが、シノカミの申し子ではあると村の人からは言われてましたね」
だって僕は、それだけがアイデンティティーの呪われし忌み子、つまり
その言葉に、城っぽいところに居た人々からのどよめきが起こった。それは大きな歓声となる。すごい祝福されている。何この状況怖すぎる。
(てか、人間が居すぎて酔いそう、気持ち悪い)
「あのお方が、告死天使様か!!」
「あの美しい銀髪に紫の瞳、お顔立ちもとても麗しいし間違いない、告死天使様だ」
「ああ。ついに我らの希望である天使が舞い降りられたぞ」
などの歓声が聞こえてくる。
しかし、考えてみるとそれはまずい。なんせ僕は単なる
(どうしよう、運動もほとんどしてない僕には逃げるのも難しいし……)
そもそも、ずっと暗い土蔵にいたんで地図を見て出歩くとかもしたことがない。つまり逃げられない。
「みんな、静粛に。告死天使様が怯えていらっしゃるだろう、大丈夫、なにひとつ恐ろしいことなどありません。名乗り遅れてしまい申し訳ございません、私はこの国メメントモリの王子でシオン・ハデス・メメントモリと申します」
そう恭しく跪いた。
「いやいやいや、僕、ただの忌み子なんで、そんな風にされたら……」
「いいえ、貴方はこの国に現れた救世主、死のない国に死をもたらすことのできる伝説の告死天使様です、そのお名前を聞かせて頂けませんか?」
これ、性別間違ってるよな。僕が女の子ならキュン死するけど、あいにく男だからチベットスナギツネみたいな顔にしかならない。でも逃げ場もないし、僕の名前恥ずかしいから名乗りたくないけど、名乗ることにした。
「悔いるです、変な名前ですよね。死神設定だけでお腹いっぱいなのに名前もキラキラとか終わってる。なんでハンネは†死神リグレット†と名乗って……」
水を打ったように静まり返る城内。
(やっちまった、これは黒歴史確定イベントだったかもしれない。ああ、やっぱりハンネで無理に名前を英語にするとかダサかったかな??)
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