死神と呼ばれる忌み子でひきこもりの僕が死のない世界に召喚されて救世主になりました、タスケテ……
雛あひる
プロローグ:『死神』はどこかへ連れ去られた
「うーん。今日もかび臭いでござるな、僕の住処は」
薄暗い土蔵の中、唯一の光源は沢山のケーブルに繋がった
ここを訪れるのは、僕の面倒を最低限みるための使用人だけ。基本的には誰ひとりとして足を運ばない。使用人も高齢のお年寄りのみで若い人間が僕の元へ来ることはない。
それもそのはず、僕は僕の側にいる人間を死に至らしめる「死神」と呼ばれている。
それこそ小説の痛い
この村には、昔からの言い伝えで「真っ白い髪と、紫色の瞳の子供が生まれた場合、その子供と触れ合ったり関わった人間は死ぬ」と言い伝えられている。
そう、僕自身がまるで特級呪物もとい貞〇さんの呪いのビデオような存在なのだそうだ。とはいっても、実際に僕が原因で死んだかとかさっぱり分からんのだけれど、村で不審死があれば僕の仕業ということになっているらしい。
そんな呪われた存在なら殺せばいいと思うだろうが、なんでも僕を殺したり粗末に扱うと「シノカミ」の怒りを買ってしまいより人死にが出るらしい。つまり
だから、
まぁ、その話だけ聞いたらすごい僕って可哀そうってなるけれど、今はインターネットの時代だ。村人と接することができなくってもネット環境があれば、ありとあらゆるものにアクセスして知ることができる。
僕は自身が呪われているのを利用して一生この土蔵で
「あーあー、可愛い女の子ばかりのハーレムとかに突然召喚されたりの素敵小説はないでござるかね」
独り言を呟きながら、いつものようにネットサーフィンをしている。大好きなハーレムの異世界召喚チート小説の更新を確認するためだ。
「エルフのお姉さん可愛いな。あ、でも魔女のロリババァも捨てがたいでござるな……」
(いいな、転生系も、召喚された系も沢山の仲間と触れ合えてうらやましい)
僕には遠い世界だけれどそれでも、見て楽しむことは自由だろう。それによく考えたら生まれてこの方、人と接していないコミュ障の権化である僕にそんな高度な世界で生き残る術などない。
僕は所詮、
いつものように腐って自堕落な昼下がりを送っていた時だった。
いきなり僕の体が光った。精神を蝕んでの幻覚とかではなく、それはもうホタルイカか何か、蛍光塗料を被った、または油を注がれし者くらい光り輝いている。
「告死天使は不死者の世界で
そう頭の中で、声がした。あれだ、幻聴だなこれ。
いよいよ僕は
いや、ニートどころか
(終わった、元々終わっていたけどな)
そして、相変わらず意味もなく照り輝く自分にドン引きしていた時、いきなりさっきと同じ声が頭に響いた。
「見つけた」
これはリアル貞〇さん案件の可能性があるなとホラー展開を想像した瞬間……僕はそのまま何かに手を引っ張られてそのショックで意識を失った。
何故って?人に触られたことなんてほぼないから、それだけで僕は死ぬのだ。
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