#17. Circumstance
俺が公共の授業を受けていると、チャイム音が耳に鳴り響いてきた。
時刻は12:20。四時間目の授業が終わる時間。
カフェテリアに行く前に俺、
「ごめん。美穂と李子は先にカフェテリアに行っててくれ。俺と誠一は少し用がある」
「分かった。席とっておくよ」
「ありがとう。助かるよ、美穂」
俺と誠一は取り敢えず1年1組へと向かった。
しかし、そこには清太の姿が無かった。なんなら、西村さんの姿も無かった。二人の姿がないことを確認すると、誠一は教室に入って1組のリーダーみたいな男子一人に尋ねた。
「あのさ、今日清太と愛海は学校に来てないか?」
「あー。
「それで、その二人は今どこにいる?」
「分からないけど、今昼休みだしカフェテリアにでもいるのではないかな?」
「だそうだ、拓也」
「う、うん」
なぜ俺の方を向く。
「ありがとな、君」
誠一は彼に一言お礼を言うと、1組を出て行った。俺は彼に一度お辞儀をし、誠一のあとを追いかけた。
「お、おい。待ってよ。別に走る必要はないでしょ??」
「そう言われてみれば、そうだな。悪ぃ」
俺が誠一に追いつき一言言うと、誠一は段々と速度を落とした。
「でもさ、なんで三時間目の途中に来たのかな?」
「さあ。まあ、一応あとで聞いてみるか。答えてくれるかは分からないけど」
俺と誠一がカフェテリアに着くと、早速周りを見回して美穂たちを探した。美穂たちを見つけると、そこには清太と愛海の姿もあった。
俺と誠一はそれぞれ親子丼とカレーライスを頼み、美穂たちの方へと向かった。
「ごめん。遅れた」
「用はもう済んだの?」
「うん」
俺は席に座りながら美穂の質問に回答した。
今日、美穂はハンバーグ定食を食べている。一方で李子は天丼を。清太は俺と同じ親子丼を。西村さんはパンを
俺が清太に今朝のことについて質問をしようとすると、俺よりも先に清太の口が開いた。
「今朝はごめん、拓也。あのあと一本の電話がかかってきて、急いで家に戻らないといけなくなったんだ」
「そうだったのか」
「うん。でも、明日は大丈夫だから安心して。今朝の缶ジュースの奢りはなしで良いよ。俺が勝手にいなくなったんだし」
「分かった」
これで今朝のことについてはオチがついたと思ったのだが、誠一が一つ余計なことを聞いてしまった。
「でもさ、二人とも三時間目の途中に一緒に遅刻してきたんでしょ?偶然??」
「おい、誠一。別に愛海は関係ないでしょ?」
「あ、ごめん」
誠一は
中学時代からそうだったのだが、やはり変わっていなかったか。
誠一は自分の発言に気づいた様子で、清太に慌てて謝った。
「別に謝らなくて良いよ、誠一くん」
誠一が清太に尋ねた質問に関しては少しばかりか俺も興味がある。
隣には何の話をしているのかが分からない様子の美穂と李子がいた。
「もし良かったら、聞いても良いか、清太?二人一緒に遅刻してきた理由を。嫌だったら別に言わなくて良いよ」
「実はさ」
間を一度挟んで、清太の口元が開く。
「実はさ、俺のおじいちゃんが今朝急に倒れて病院に搬送されたんだよ。それで、俺はお見舞いに病院へと向かったんだ。愛海は幼稚園の頃からの俺の幼馴染だからさ、俺のおじいちゃんともかなり関わりがあるんだよ。おじいちゃんが倒れたことを愛海に報告したら、愛海もついて来ちゃったってわけ」
「セイくんのおじいちゃんが倒れたと聞いたら、私もそりゃ駆けつけるよ。小さい頃、セイくんのおじいちゃんに沢山遊んでもらったんだし」
清太の隣にはうんうんと、頷いている西村さんがいた。
「なんか、悪いこと聞いたな。ごめん、清太。それと西村さん。ほら、誠一も」
「ごめんな、二人とも」
「全然大丈夫だよ」
清太は直ぐ許してくれた。
「じゃあ、罰として私のことを愛海と呼んで。苗字で呼ばれるのあまり好きじゃないから」
「わ、分かったよ、愛海」
俺は愛海から軽い罰を受けた。
「俺はもう呼んでるぜ、愛海」
「キモい」
「えー」
誠一の発言は愛海にドン引きされ、軽い冗談を言われた。今のやりとりを見て、みんな互いに笑い合った。
それから俺たちは昼食を済ませ、各自の教室へと戻った。
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