#06. Morning Event

 ピピピーッピピピーッ。



 俺はスマホのアラーム音で目が覚めた。今の時刻は朝の6:30だ。俺は毎朝ジョギングすることを習慣付けている。今日も俺はベッドから起き上がり、寝間着を脱ぎ、私服に着替えてジャージを羽織ると、玄関でランニングシューズを履いた。そして俺は腕時計を左手首にはめ、ペットボトルの水を手にした。加えて、玄関の扉を静かに閉めていつものコースを走り出した。


 

 「おはよう、小野おのおばあちゃん」


 俺は走り途中に、門周りを掃除している小野おばあちゃんに元気よく挨拶した。


 「おはよう。たっくん、今日もランニングかい?毎日偉いね」

 「いや、毎日習慣付けているから。じゃあね」


 俺は幼い頃からお世話になっている小野おばあちゃんに手を振って家を通り過ぎると、近くの公園へと向かった。


 公園に着くと俺は、手に持っていたペットボトルの水を飲みながらベンチで休んでいた。すると、同い年ぐらいの青年が公園にやってきて公園の立形水飲水栓の水を飲もうとしていた。しかし、公園の立形水飲水栓は今壊れていて水が出ない。俺は親切に教えてあげようと思い、ベンチから立ち上がった。そして彼に近づき、一言かけてあげた。


 「あのー、すみません。今その立形水飲水栓が壊れていて水が出ませんよ」

 「あ、そうですか。わざわざ教えてくれてありがとうございます」

 「口付けてしまってますが、もし良ければこの水飲みますか?」

 「良いんですか?」

 「はい」

 「あ、ありがとうございます!」


 この公園の近くには自動販売機が無いので水を買うことができない。だから、俺は自分がさっきまで飲んでいたペットボトルの水を彼の前に差し出した。すると彼はありがたく受け取り、一気に喉を潤していた。

 よっぽど喉が渇いていたんだろう。俺は心の中でそう呟いていた。


 「君もランニングしてたのですか?」


 彼がペットボトルの水を飲んでいる合間に俺は彼に質問すると、直後彼はペットボトルの飲み口から口を慌てて離し、俺の質問に答えてくれた。


 「は、はい。毎日習慣付けてます。今日はいつもと少し違うルートを走ろうかと思い、この公園に来ました」

 「ゆ、ゆっくりで良いですよ。飲水いんすい中に質問してしまってすみません」

 「い、いえ。大丈夫ですよ」


 俺は飲水中の彼に質問してしまったことに申し訳なさを感じていた。まさか、質問した直後に回答してくれるなんて思ってもなかった。


 「それで......君はジョギングを毎朝習慣付けているんですね?」

 「はい」

 「実は自分も同じで、毎朝ジョギングをするようにしています」

 「そうなんですか!?なんだか、気が合いそうですね!?」

 「ですね!?」


 彼は艶然と微笑みながら俺に言ってきた。その微笑みに俺も一緒になって艶やかに笑いながら、自分の左手首に付けている腕時計を一瞬見ると、時刻は朝7:00を回っていた。


 「あ、すみません。この後学校があるのでここで失礼します。それとその残りの水、良ければあげます」

 「そうですか。分かりました。今日はありがとうございました。また会える日をお待ちしております」

 「こちらこそ、楽しみにしてます」


 俺はそう彼に言い残して、帰り道を走り出した。



 家に着くと、俺は軽くシャワーを浴び、お母さんが作ってくれた和食のご飯を口にして制服に着替えた。そして忘れ物が無いかカバンの中を再度確認し、カバンとスマホを持って家を出た。

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