#04. Small Finds
「それじゃ、次はこの事務所をどこに移すか考えないとな」
「そうだね」
今日から高校生になった俺はもうこの中学校に来ることができない。毎回毎回、侵入するわけにはいかないので、拠点を移す必要があった。それも、俺とリナイエが集まりやすい場所に絞らないといけない。
「
「そうだね。それも一つの案だと思うけど、先生たちにバレる可能性は無いの?」
「確かに、先生に勘付かれる可能性はあるかも」
「でしょ??それに、私の
「そうなの?それ、初耳なんだけど‥‥‥」
「それは、だって今初めて教えたんだもん」
「なんかもう3年も一緒にいるけど、まだ俺あまりリナイエのことを知らないかもしれない。リナイエは俺のことについてかなり詳しいし。なんかごめん」
俺は自分の惨めさに腹を立てていた。すると、そんな様子を見ていたリナイエは俺に温かい言葉をかけてくれた。
「そんなことないよ。私もまだ拓也のことをあまり知らないよ。だから、お互い様だよ。人はみんな他人なんだから、その人の全てを知ることはできないよ」
「ありがとう」
俺はリナイエの言葉を有り難く受け止め、リナイエに感謝の気持ちを示した。
「じゃあ、本題に戻ろうか?」
「うん」
本題に戻ると、俺は改めてリナイエに尋ねた。
「俺の高校が無理なら、どこにする?それと、
「発動条件というか、場所の適正かな。特殊能力が使える6人にしか見えないんだけど、空気中に
「そうなんだ。じゃあ、今俺たちがいるところには
「そういうこと」
「その
「うん」
俺はやはり探偵事務所はリナイエが持つ
「俺、明日も学校があるから土曜日に一緒に新しい拠点を探しに行かない?集合場所は後でメールで教える」
「分かった。何か持っていった方がいい物とかある?」
「特に無いな」
「じゃあ、飴玉を沢山持ってくね」
リナイエは微笑みながら俺に言った。俺はその微笑みによって意識を失いそうになったが、なんとか意識を保つことができた。
「じゃあ、今日はここまでにするか」
「そうだね。もう、18時だし帰ろっか」
時計を見ると、時刻は18時になりそうだった。
俺はクッションから立ち上がり、プリントをファイルにしまい、ファイルを棚に戻しながらコップを片付けてくれているリナイエに一つ尋ねた。
「そういえば、
「平気だよ。5日間以内だったら違う場所でも同じ
「そうか。ありがとう」
俺とリナイエは
「じゃあな。気をつけて帰れよ」
「うん。拓也もね」
俺たちは互いに別れを告げ、それぞれの帰り道を歩いて行った。
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