第2話 日常
第一節 【過去編】 第一章 兄妹の日常
第一話 日常
兄妹みな神様になりました【過去編】
第1話 日常
鳥たちの鳴き声が聞こえ道路での車が走る音が聞こえる。
朝が来た。
私は目覚まし時計が鳴る前に目が覚めた、体を起こしあくびが出ながらベットから離れた。
私の名前は神月しんづき 栞しおり12人兄妹の次女である。
私はパジャマのまま自分の部屋から出てリビングに向かおうとした。
リビングに行くと4人の男女がいる。
「栞ちゃん、おはよう。」
「栞、おはよう。」
二人の兄妹が私に朝の挨拶をかける。
二人は双子で私の兄さんと姉さんである。
兄の名前は神月しんづき 蒼杜あおと、そして姉の名前は神月しんづき 蒼唯おあい二人の間柄は兄と妹である、私たち双子と一緒だ。
「おはよう、兄さん姉さん。」
私も二人に挨拶を返した。
『おはようございます、栞姉さん』
そしてもう一組の兄妹が私に同時で挨拶してきた。
二人も双子で四男と四女である。
弟の名前は神月しんづき 奏汰かなた、妹の名前は神月しんづき 奏恵かなえこちらは姉と弟の間柄である。
「おはよう、奏汰、奏恵。」
二人にも挨拶をする。
「栞ちゃん、早く顔洗って着替えてきなさい。」
姉さんがエプロン姿でおたまを持って話してきた。
「は~い。」
と私は答えた。
横で奏恵がにんまりと話してきた。
「ゆ~くっり着替えてきていいですよ、栞姉さん!」
私はムッとなり疑問になり聞いた。
「なんで?」
奏恵はすぐに答えた。
「だって~そうすれば私とお兄様の一緒にいられる時間が長くなるからです!」
私は呆れて顔に手を置き「はぁ」とため息をつきそして奏恵の方を向き顔は笑っていないが口を微笑まさせ
「じゃあ世界最速で着替えてくるから待ってなさい。」
と私は速足でリビングから立ち去った。
リビングに出る途中兄さんたちの会話が聞こえてきた。
「お前たちも早く準備して、他の子たちも起こしてきて。」
兄さんが妹と弟に話しかけていた。
「は~い、お兄様!」
「わかりました、兄様」
二人がそう答え二人もリビングから出ていく。
私は部屋に戻り直ぐに学校の制服に着替えた、そして着替えて部屋を出て、私はついでに隣部屋の私の双子の兄である部屋に行き起こそうと思った。
部屋の前に立つと中から目覚まし時計が鳴っているのが聞こえてくる。
私はドアをノックし呼びかけるが応答がないので私はドアを開け部屋の中に入った。
部屋の中に入ると部屋の真ん中でネクタイを締めて着替え終わった姿で兄が立っていた。
「……よぉ!」
と片手をあげ挨拶をしてくる。
「よぉ!、じゃないわよ起きてるならノックした時返事しなさいよ!」
私は少しイラっとした表情で続けて話す。
「って言うか早く目覚まし時計止めなよ、うるさいのよ!」
と私はプリプリした顔で兄を見ながら目覚まし時計を指さした。
「へいへい」
とけだるい返事で目覚まし時計を止めに行った。
兄は次男で名前は神月しんづき 庵いおり私と双子である。
「ほら、みんな下で待ってるんだから早くしなよ!」
私は少し怒り気味で兄に催促する。
「はいはい、なんで朝からそんなに怒ってんだよ。」
庵はやれやれみたいな顔でこちらを見てきてその後自分の顎に手をあて
「……はっはーん、さては今日は女の子の日か?」
次の瞬間「ボコッ!」と鈍い音と共に庵は宙を舞って吹き飛んだ。
私は拳を前に突きだし兄を殴っていた。
私はフゥーと息継ぎし兄に言葉を発した。
「……蹴るよ!」
庵は逆さまの状態で答える。
「殴ってるよね!?ってか追い打ちかける気かよ」
弱々しく答え庵はよろよろしながら立ち上がってきた。
「……大体今の技あたり所悪かったら普通の人死んでるからな!」
庵は人差し指を振りながら私の前までズカズカとやってくる。
「デリカシーのないあんたが悪い、それに神月流の技を普通の人に使う訳ないじゃん。」
私はプイっと顔を横に振る。
私たちがしゃべった一言に「神月流」や「技」と含まれていたがその事を説明しよう。
私が使った技は神月流古武術の一つで代々神月の人間にしか使えない技である。
神月流は昔のご先祖様が作った暗殺用などで体術だけではねく剣や槍など多くの武器にも精通した武術である。
そのため多くの技は相手を致命傷に至らせることができる大変危険な武術なのだ。
そして現在は兄の蒼杜兄さんが師範をしており神月流古武術を途絶えないようにしている。
しかしこの武術は一般公開されておらず私たち兄妹以外門下生はいない、私が小さい時にどうして他の門下生はいないのか聞いた時がある。
兄さんはこう答えた。
「この流派は代々神月の人間しか使ってはいけないという決まりがあってね、それに技一つ一つがとても危険だから教えれないんだよ。」
と聞かされた。
だから普通の人に向けての神月流の技は禁止されている。
「まあ、いいや腹が減ったから下に降りようぜ」
ふと庵が声をかけてきた、私は庵の方に向き返し
「はあーーっ……」
と大きくため息をついた。
「じゃあ降りるよ」
と二人して部屋を出た。
階段を降りる途中庵が話しかけてきた。
「所で、なんで怒ってたんだ?」
話をぶり返すように聞いてきた。
私は呆れ顔で
「あんたを起こそうと入ったら起きてたってことかな、あと他にもあるけどね。」
と答えた。
「他?、ああ女の…」
と言い終わる前に私はまるで鬼の形相のごとく庵に向いて睨む。
「オホンッ!」
庵はせき込むようにして口を抑え込み話を切り替えた。
「……まあ起きてたのは誰かが入ってきた時に、起きてんじゃん!ってドッキリをする為かな、どうだった?うん?ビックリした?」
後ろで意気揚々とうした感じでしゃっべってくる庵に対し私はイラっとし
「チっ!!」
と舌打ちをした。
そんな会話をしながら二人はリビングに着いた。
リビングに入ると兄妹全員が揃っており、最初に目に付いたのが、とある二人以外は全員ジト目をしておりそのとある二人を見ていた光景だった。
全員の見ている先を私も見てみた。
見た先で二人の会話が聞こえてくる。
「は~い、お兄様!あ~ん!」
妹の奏恵が箸で朝食を兄さんの口元まで運んでいた。
「奏恵!皆が見てるからやめなさい!」
兄さんは少し気恥ずかしい感じで奏恵を止めようとしていた。
「いや~ん!恥ずかしがってるお兄様も素敵です!」
奏恵は両手拳を口に当て首をブンブンさせてぶりっ子している。
そんな光景を目にした私はさらにイラっとする。
私は口をヒクヒクさせながら奏恵に問いただした。
「か・な・え、朝からあんたは何をやっているのかしら?」
奏恵は私の声が聞こえて来た事に気付き、こちらに振り向き答えた。
「…あら、栞姉さん、お・は・や・いお戻りで!」
口に手を当てクスクスと笑う奏恵は続けて答える。
「何って?それは栞姉さんの戻りが遅いからお兄様と一緒に朝食を食べようとした!だ・けですよ。決して栞姉さんがいないスキをみてお兄様とイチャイチャしようなんて思ってないですよ。」
クスクスと笑い人を小ばかにする口調で奏恵は答え、蒼杜兄さんの腕を自分の胸に抱き寄せた。
私は拳を胸の辺りまで上げワナワナしている、そして足を一歩前に出した。
そんな時後ろから私を兄が両腕を羽交い絞めに抑え込み、続いて二人の兄妹が腰と片足を抑え込んでくる。
腰を抑え込んでいる一人が叫ぶように私に声をかける。
「栞姉!落ち着けぇ!」
私は答えた。
「落ち着け?ええ、落ち着いてますよ私は落ち着いてますともよ、オホホ!」
と強引に体を前に進める。
「わぁっ!?栞姉が変になってる!?」
腰を抑えている一人が叫ぶ。
足を抑え込んでいるもう一人が私に声をかける
「しお姉!いつもの事なんだから抑えて!抑えて!」
続いて後ろで抑え込んでいる庵も私に声をかける
「ばか!お前、朝からやめろって、女の子の日だからっていちいちキレてたr…」
庵がしゃべってる途中にスコーンと聞こえてきそうな音がした。
庵は「おっふぅぉ!?」と言って崩れこみ倒れた。
腰を抑え込んでいた一人が何があったかわからず恐る恐る私の後ろを見た。
見た先では庵が倒れており、栞の抑え込まれてない片足が上がっているのが見えた。
そう私は庵の・・・を蹴ったのだ。
私は声を発した
「蹴るよ!って言ったよね?」
私は静かな声で、ドスを聞かせた声で顔だけ後ろをチラッと見て言った。
腰を抑え込んでいた一人は血の気が引くような顔をし、足を抑え込んでいた一人は倒れている庵の方を向いて
「うわ~、今のはナイわ~」と軽蔑するような顔でつぶやく。
そして抑え込んでいた一人がいなくなった為、体が軽くなり私はまた無理やり体を前に進めた。
「パンッッ!!」
急に部屋全体に風船が割れたような大きい音が鳴り響く。
私は我に返り音がしたであろう場所に全員が振り向いた。
音がなった場所はキッチンであり姉さんが手を合掌させた状態で立っていた。
全員が姉さんの方を向くと穏やかな顔で姉さんが口を開いた。
「ほ~らその辺でケンカは止めて朝食を食べましょ。」
皆が顔を見合わせ続けて姉さんが口を開く
「奏恵ちゃん!栞ちゃんの事をからかうのは止めて謝りなさい。」
姉さんは奏恵に向かってニコニコしながらしゃべった。
「わかりました。お姉様…」
姉さんに向かって答えた後、私の方に向き返し、少し沈黙した後
「申し訳ございませんでした、栞姉さん。」
深々と頭を下げて謝罪の言葉を述べた。
私はそんな姿を見て一瞬惚けてしまい
「ああ、うん、その、私の方こそごめん」
と雑な返しをしてしまった。
「パン!」
今度は軽い音で手を叩く音がし続いて姉さんが皆に声をかける。
「……はいっ!じゃあ二人とも仲直りしたということで朝食食べまし
ょ。」
皆の顔を見ながら話す。
「ほら、蒼汰くんも蒼華ちゃんも栞お姉ちゃんの事好きだからって抱き着いていないで席につきなさい。」
私の腰と足を抑え込んで抱き着いている二人が顔を見合わせる。
二人は顔をかぁーっと真っ赤にさせ私から離れ姉さんに向かって
「ち、違う俺が好きなのは…」
「ち、違うもんアタシが好きな人は…」
二人同時にしゃべり途中で言いよどんでしまう。
姉さんが二人に対して
「はいはい分かったから席に付いて」
二人は釈然としない顔で席に付こうとする。
今更だが私を抑え込んでいた二人は私の弟と妹で三男と三女である。
弟の名前は神月しんづき 蒼汰そうた、妹の名前は神月しんづき 蒼華そうか
もちろん二人とも私たちと同じ双子で二人は姉と弟の間柄である。
そして姉さんが続けて床でうずくまっている庵に向ってしゃべりかける。
私もふと後ろを向いてうずくまっている庵を見た。
その瞬間心の中で……
(あ、忘れてた)
と思いだし、ついでに心の中で
(ごめん!)
と謝罪した。
「庵くんもいつまでもそんな所で寝っころがってないで早く席につきなさい。」
庵はヨロヨロと顔を上げ
「ちょ、ちょっと待って、マ、マジで今は無理...」
と弱々しく答える。
それでも姉さんは腰に手を置いて答える。
「言い訳しない!!そんな物、男の子なんだから気合でなんとかしなさい!」
と強い口調で言い放つ。
その瞬間その場で姉さんの言葉を聞いていた全員が
(((((鬼か!!?)))))
と全員が心の中で叫ばざずにはいられなかった。
庵は涙目で観念したかのようにヨロヨロと・・・を抑えながら立ち上がろうとし席に向かおうとしていた。
そんな庵を見て私はまた
(ほんと、ごめん!)
と心の中でつぶやいた。
「栞ちゃんも早く席について。」
ふと姉さんが私に声をかける。
私は慌ただしく席へ向かった。
私が席に付くと姉さんも席に向かってきて椅子へと座った。
席に付いた姉さんが手を合わせ。
「それじゃあ、今日も一日皆が健康でありますよう、いただだきます!。」
と唱和し続いて皆が
「いただきます!。」
と復唱した。
その隣で
「い、いた、だぎま、す...」
と一人弱々しく庵が復唱していた。
(よし、ほうっておこう!)と私は無視した。
朝食を食べながら兄さんが私と兄に話しかけてきた。
「もうすぐお前たちも、18歳だな。」
と話しかけ私は
「そうだね。」
と答える。
兄さんは庭のある外を見て、庭ではない何処か遠くを見ているようだった。
それを見た私は続けて兄さんに話しかける。
「それに、来年で高校も卒業だし、春からは兄さんと姉さんと同じ大学で大学デビューだよ。」
と嬉々として話す。
その向かい側で座っている奏恵が私に言葉を発する。
「そうですね、来年は私と奏汰も同じ大学に通うので同級生ですね。」
と含みのある言葉で私に話しかけてきた。
私は奏恵を見てまた顔をふくれさせた。
少しここで奏恵と奏汰のことについて話そう、そして兄さんと姉さんの事も。
奏恵と奏汰は私の三つ下である普通なら彼女たちは15歳で中学生であり本来なら中学卒業と同時に高校進学するのが一般的普通であろう。
だが彼女たちは大学に通うと言った
つまりは高校へ進学するのではなく、大学へ飛び級で進学すると言った意味だ。
なぜ彼女たちが大学へ飛び級で進学できるのか?
そう、それはいわゆる彼女たちが天才だからである。
去年奏恵は【細胞核永久保存理論】という私にはよくわからない論文を学会に出して提唱していた。
また、奏汰は【テロメアインフィニティ理論】これまた私にはわからない論文を同じく学会に提出していた。
学会はこの二つの論文をみて日夜言い争っていると言われている。
ある者はこの理論は素晴らしいと歓喜する者。
ある者は馬鹿馬鹿しい只の理論上の空想だ実現出来る訳がないと言う者。
またある者はこんなものは生物全てに対する冒涜だと科学から目を背ける者など。
様々な論争が繰り広げられている。
なぜそれほどまでにこの二つの論文が言い争いになるのか?
それはその論文が二つ合わさった時とんでもない理論が完成するからだ。
そのとんでもない理論とは【不老不死】...
【不老不死】誰しも一度は願ったことはないだろうか?
永久に若いまま寿命もなく生きていけたらと。
そのとんでも理論を肯定する大学が是非我が大学に来てくれと彼女たちに推薦状を送ってきた。
最初は二人とも別に大学とかどうでもよく興味なく推薦状を読んでいたが推薦状先の大学の名前に気づく。
すると彼女たちは二つ返事で
「行きます!!」
とすぐに推薦状先へ送り返した。
なぜ彼女たちはやる気がなかったのに急にやる気を出したのか?
それはそう……その大学先は兄さんと姉さんが通っている大学であるからだ。
そうそう、兄さんと姉さんの事も忘れずに話そう。
兄さんと姉さんは私と一つ年上で19歳である。
兄さんと姉さんも奏恵と奏汰と同じく天才なのだ。
奏恵たちと比べてどのぐらい天才かというと天と地の差があるほど兄さんと姉さんは天才なのである。
兄さんたちは小学校に入る前からあらゆる論文を出していたと言われ、目を付けた大学側は兄さんたちを取り合っていたと言われている。
兄さんたちは一つの大学に絞ってそこに通うことを決めた。
当時両親は大学側に猛抗議し
「ウチの子に大学はまだ早いです!」
と反対していた。
だが兄さんたちは
「父さん、母さん僕たちは大学に行くよ。」
と両親に言い、決意した目で訴えた。
両親はそれ以上なにも言えず渋々兄さんたちを大学に行かせることを了承したと聞かせられていた。
だから現在兄さんたちは大学の生徒ではなくそこの大学で教授として働いている。
未成年ではあるが社会人の一員として大学に通っている。
そんなチート級の天才たちに囲まれて育ってきた私だが何か言いたいことがあるのではないだろか?
普通ならそんな天才たちに囲まれたら嫉妬、妬み、劣等感など抱いているのではないか?
実際周りは、私と兄さんたちを比べられる事は毎日と言っていいほどあった。
それでも私たち兄妹が兄さんたちに対して嫉妬、妬み、劣等感など生まれてこのかた一度も抱いた事など無いと断言できる。
まあ、別の意味での嫉妬はあるが。
そんなこんなで今の私たちが普通?の生活を送っている。
では長々と四人の事を紹介したがまだ描き足りないほどエピソードはあるけど話的に退屈してきたと思うので話を朝食している所に戻そう。
私が顔をふくらませているところに奏恵がさらに追い打ちを掛けるように煽ってくる。
「さぁて来年は誰が主席で入学できるんですかね?」
とニヨニヨした顔でこちらを煽ってくる。
私はイラっとしながら奏恵に聞く。
「あんた、推薦なんでしょ?入試試験とかないんだから関係ないじゃない?」
続けて奏恵は答える。
「ところがドッコイ!!、大学側に私も入試試験受けていいですか?って聞いたら別に構わないよ、って許可が出ましたもんね。」
そりゃそうだ彼女たちは推薦である以上入試を受けようが受けまいか関係なく合格は決まっている。
だから結果に関係なく彼女たちの入試を受けることを大学側は簡単に許可を出したのだ。
奏恵は続けて話しかける。
「ですから~栞姉さん、私と勝負いたしませんか?」
私は疑問に聞き返す。
「勝負?何の勝負よ?」
奏恵は答えた。
「もちろん入試試験でどちらが合計点数が上か?です。」
普通の大学では合格発表に入試試験の点数などは発表されないが、私たちが通うとしている大学は試験番号順とは別に合格者の試験合計点が記されている。
なぜ合計点数が記されているかというと、落ちたものが来年もう一度受けるために最低合格ラインを知るためである。
私たちはそれを知っていた。
私は少し不敵な笑みを浮かべるが頬に汗をかいた。
少しでも弱みを見せては行けないと思い私は答えた。
「へぇ~面白そうね、じゃあ勝った人はどうするの?」
奏恵から笑顔の表情が消え答えた。
「勝負する前から勝った気でいるんですか?ずいぶんと余裕ですね?」
奏恵は私を少し睨み直ぐに笑顔の表情に変え続けてしゃべる。
「そうですね、勝った人はご褒美をもらえるというのはどうでしょう?」
人差し指を立て奏恵が答えた。
私は直ぐに聞き返した。
「ご褒美?ってなによ。」
奏恵は兄さんの方を向いて答えた。
「そりゃあ、もちろん…」
顔を赤らめて奏恵がしゃべっている時
私の横にいる兄のまた横にいる姉さんが口を開いた。
「こ~ら!いつまでケンカしてるの?」
と叱る口調で私たちを叱ってきた。
正直助かった。
もし本当に奏恵と勝負したら知識ではこちらが不利だと分かっているからである。
それは奏恵も分かって勝負を持ち掛けてきたのであろう。
そして姉さんもそれを察し止めに入ってきてくれたのである。
私は奏恵に対し大人な対応で答えようと腕を組み奏恵に答えた。
「そうね、私も子供じゃないんだし下らない勝負に付き合ってられないわ。」
と答えた瞬間、奏恵の後ろから「ガタン!」と大きい音がする。
大きい音の正体は椅子が倒れた音である。
倒れた椅子の前で奏恵がテーブルに手をつき立っている。
私は奏恵の顔を見た。
奏恵はまるで人が変わったように
「フー!、フー!」
と鼻息を荒くし激高した怒りに満ちた表情で私を睨む。
周りの皆が兄さんと姉さんと奏汰以外が驚いて奏恵を見ている。
奏恵は私に対して叫んだ。
「……下らないって何よ!、私は!私は!!…」
と叫んでいる時、奏恵の隣にいた兄さんが奏恵の片を掴み口を開いた。
「…奏恵、もう座りなさい。」
と一言だけ言うと奏恵は息を整えるように深呼吸し沈んだ表情で椅子を取り座りなおした。
奏恵がボソッと口を開いた。
「申し訳ございませんでした、お兄様、栞姉さん。」
兄さんは
「んっ!」と頷き答え
私も少し沈んだ表情で
「私もごめんなさい。」
と答えた。
少しの時間静寂な時間が流れたそんな時、両隣にいる庵と蒼汰が口を揃えてしゃべった。
「「女って怖ぇぇ!?。」」
ふたりは体を震わせつぶやいた。
そんな姿を見ていた蒼華が口を開いた。
「そうよ!女って怖いんだから!気を付けなよ!」
と二ヒヒと笑う。
蒼華の言葉で、兄と蒼汰以外の皆が二人を見て「アハハハハ!」と笑う
私も笑った。
そんなどこにでもたまにあるような日常を私たち兄妹は暮らしている。
私は朝食の後片付けをし学校へ行く準備をしている。
そして玄関に向かい靴を履いている途中壁に掛けてあるカレンダーに目が付く。
今は[西暦2029年 9月4日]その一週間後9月11日の所にケーキマークが入っている。
ケーキマークの上にハッピーバースデー イオリ君シオリちゃんと書かれている。
たぶん姉さんが書いたものだろう。
そうもうすぐ私たちは18歳になる。
そんなことを思いながら私はカレンダーを横目に玄関をでる。
「いってきます。」
兄妹みな神様になりました【過去編】
第一話 日常 完
第二話 まだ日常 続
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