兄妹みな神様になりました

戒入 三佑

第1話 プロローグ

プロローグ



外は雨が降っている。


私は外を眺めながらため息をついた。



「ハア…」



コンコン…


不意に部屋のドアがノックされ部屋のドアが開き後ろから私たちを呼ぶ声が聞こえてきた。



「イオリ様、シオリ様、準備が整いました。」


神官の一人が報告に来た。



「…そう、わかったわ。」


と私は答えた。


すると私のすぐ隣にいる男が神官に命じた。



「報告ごくろう、今は神官と兵士は一時的に休むように伝えろ!」



「はっ!」


神官は男の命令に答え一礼し部屋から退室した。



私の名前はシオリそして


男の名前はイオリ、私の双子の兄である。



「とうとう始まるのね…」


私はイオリにつぶやいた。



「仕方がないことだ、国民の争い事の責任は我々にあるのだからな。」


イオリが目を閉じて答えた。



「…フフッ。」


っと私はふいに笑ってしまう。



「何が、そんなにおかしい?」


私が笑い出した事にイオリが不思議そうに聞いてきた。



「別に、ただ兄さんと姉さんがもしこの状況を見たらなんて言うかな?って思って。」


外を眺めながら答えた。



「…フッ…ああ、なるほどね。」


イオリがフッと笑い私の考えを察してくれた。



「兄さんならゲンコツですめばいいけどな。」


イオリが兄さんの事を思い出しながら答える。



「姉さんなら?」


私は姉さんだったらどうするか訊ねる。



「姉さんなら…姉さんなら優しく抱き寄せて、もう止めなさいって言ってくれるのかな?」


私達は兄と姉の事を思い出しながら外を見つめている。



「兄さんと姉さんの話はもう止めよう。」


イオリが目を閉じて答える。



「そうね、二人はもういない…」


私は悲しげな顔で答えた。



二人は沈黙した、静かな時間と雨の音だけが流れる。


沈黙している二人はずっと外を見つめている。



見つめている先には大きい一本の大樹が立っている。



大樹は【世界樹】と呼ばれ兄さんと姉さんが命を賭して世界を星を守るために生んだ樹である。



「雨止まないね。」


私は静かに声を出した。



「ああ、そうだな」


イオリは静かに答えた。



「まるで【世界樹】が兄さんと姉さんが泣いているみたい」


私はまた悲しげな顔で答える。



「なんで、こうなったんだろう?」


私は続けてイオリに話しかける。



「わからない、でもまるでこれが仕組まれた運命にすら感じる。」



「私たちは誰も憎みあっていないよ?」


今の【私達】の関係を考えながら会話を続ける。



「それでも世界が国が人が憎しみあってる。」



「本当にもう止まらないんだね?」



「ああ、俺たち国同士の戦争が始まる。」



「あの子たちも一緒の事考えてるのかな?」



「かもな。」



そこで私たちの会話は終わり私たちはまた沈黙する。



私はまた外を見つめ聞こえない声でつぶやいた。


「兄さん、姉さん…」



私は目をつぶり過去を思い出す。




500年前のことを……





プロローグ 完


兄妹みな神様になりました【過去編】 続く





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