第2話

「団長殿 お聞きになりましたか?王宮の舞踏会の事」

「なんだそれは?」

「あ やっぱり聞かれてないんですね 来週なんですが 王子様の婚約者を選ぶ舞踏会が開かれるんですよ それでうちの騎士団も護衛の為出ろと言われてます 騎士の格好の者と招待客に紛れて護衛するものに分かれるらしいですよ」

「なんで俺はしらないんだ?」

「団長殿は 一緒に婚約者を選ばないといけないらしくて 仕事は休みらしいです」

「はぁあ?」

「公爵様と奥様 国王陛下も絡んでるらしいですよ」

「まったく 縁談は持ってくるなって 言ってるのに」

「団長殿がさっさと見つけないからですよ いっぱい寄ってくるでしょ?選り好みですか?」

「まだ 俺には早いだろ」

「そんな事はないですよ」

「はぁ しかたないな とりあえず 街の見回りしてくるな」

「いってらっしゃいませ~」








「お義母様 こちらが王宮より届いております」

「あら なにかしら?」

「お母様なに?」

ガサガサ

「まぁ 王子様の婚約者を選ぶ舞踏会が開かれるわ!来週よ!準備が間に合うかしら?」

「キャ―!!!!あたしの出番ね!」

「何言ってるのよ あたしよ!」

「王子様は私の魅了に虜になるわ」

「お姉様 鏡をみておっしゃってくださいませ」

「なんですって――――!」

「お止め!時間がないのだから ドレス イヤリング 靴 今から注文してもダメでしょうね そうなると ドレスだけでも………シンデレラ!シンデレラ!」

「お義母様 私はここに居ります」

「あぁそうね すぐに今あるドレスを何着か作り直して頂戴!あと靴も磨いて汚れ一つない様に!」

「わかりました あのお義母様にお願いがあるのですが」

「お前のお願いなど聞いてる暇はないけれど

言ってみなさい」

「ありがとうございます!舞踏会に私も行きたいのです どうか…」

「却下ね」

「!」

「行けると思ってたの?」

「あの… 国中の貴族の娘にでは ないのですか?

婚約者を選ぶのであれば……」

「そうよ でもお前 ドレス持ってないでしょ?フフフ 靴もイヤリングネックレス しかもその煤だらけで行く気なの?笑われるだけよ!思い上がるのもいい加減にしてちょうだい」

「思い上がってなどはしていないのですが」

「つべこべ言わずに 早く仕事に取りかかりなさい!家にはおまえしかいないのだから」

「………はい」



チュンチュン チュ―

(まただよ)(ソフィアかわいそうに)


それから毎日ソフィアは 姉二人のドレスを作り直しあと少しで完成となった時に


「やっぱり 糸が足りないわ 買いにいかなくっちゃ」

ワン!(どこ行くの?お買い物?)

「お買い物よ どうしてもここの糸が足りないの

このままでも完成なんだけど もう一度しっかり止めないと だから糸を買いに行くのよ」

ワンワン!(僕も行く!)

「あら 付いてきたいのかしら?大人しくしてね」

ワン!(もちろん)

チュンチュン チュ―(護衛頼むな 何かあったら連絡してくれよ)

ワンワン!(もちろんだよ じゃ 行ってくる)

「じゃあ 行きましょうか?ジョン」

ワン!

姉のドレスの糸を買いにソフィアは街に出掛けます





「明後日か 面倒だな 仕事してるほうがらくなんだが」かぽかぽかぽ

「まだ 言ってるんですか?団長殿」

「当たり前だろ まだ婚約者なんておれは要らないんだよ!」


「ジョン お外で待っててね お客さんや歩いてる人に吠えちゃダメですよ?出来る?」

わぁん(小さく返事だよ ふふふソフィア行ってきて)

「じゃあ買ったらすぐ出て来るからね」ニコ


「でも 団長殿が選ぶならどんな 綺麗な人なんでしょうね?」

「選ぶもなにも まだいいって考えてるのに 想像なんて無理だな」


「お待たせ ジョン 大人しくして………キャ―」


ドンとソフィアに体当たりして お金や買い物の入った篭を取って凄い勢いで走っていく 男


「なんだ?今の悲鳴 聞こえたか?」

「はい あ!団長殿 あっちで男が走っていきますよ!女の子が倒れてます ひったくりみたいです!」

「いくぞ!お前は男を捕まえろ!俺はあの女の子を確認してくる」

「了解!」

ぱからぱから


ワンワンワン!(大変だ ソフィア大丈夫?)


「おい 大丈夫か?」


グルル!(誰だお前 ソフィアに触るな!)

「まて!吠えるな お前のご主人か?大丈夫か確認するんだよ」

マシュ―はジョンにそう伝えると ソフィアの顔を覗きこむ

マシュ―の綺麗なブルーアイズがいきなり 視界に入ってきたソフィアは

「……ヒッ!」

「ゴメン おどかしてしまって 怪我はないか?」

「………あ、申し訳ございません!ちょっとビックリしてしまって」

「いや 覗きこんだ俺も悪いから 気にしないで

立てる?」

手をソフィアに差しのべる

その手を掴んで立ち上がろうとするソフィア

「……っ!」

「どうした? 足首を痛めたのか?」

「そうみたいです」

「大変だな ちょっと待ってな 俺の部下が今 ひったくりの男を追っている お!捕まえたみたいだそ すぐに来る!」

「いえ 大丈夫です少し捻ったみたいだけですので、……」

そんなやり取りをしていたら ひったくりの男は連れてこられて…


「よく 俺が見廻りの時にやってくれたな 誰か衛兵!」

「はい!」

「後で取り調べだ 牢に入れとけ 」


そんなやり取りを見ていたソフィア

自分で立ち上がろうとしたが それすら出来ない状態だった


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