第566話 サーヤたちの、番!

ハクたちがゴールしたその頃、天界では⋯


『離してたも!凛!魔神様!』うぐぐぐっ

〖ダメよ!今は行かせないわ!〗ずる~

『ずるいわ!天界樹様!私に付き合って一緒に待ってくれるって約束したじゃないの~』うるうる ずり~

『それはそれ、これはこれじゃ!可愛い愛し子が妾に会いたいと申してくれておるのじゃ!この天女で姫のような妾に!』うぐぐぐっ


『『『おひい様は本物のお姫様でございます!』』』


『ありがとうの。ほれ、皆も妾を姫と言うてくれとるのじゃ!愛し子の元に行くのじゃ!』

〖ダメよ!あなたが今行ったらこれから出番のサーヤたちがそれどころじゃなくなっちゃうじゃないの!(それに私だって行きたいのよっ!)〗ずるずる~

『ひどいわ!実の祖母の私が会えないのに!先に会うなんて~』ぐすぐす ずりずり~

『離してたもぉぉ』うぐぐ


細い体のどこにそんな力があるのか、天界樹様がジーニ様とおばあちゃん二人を腰にぶら下げてずるずると引きずっていた。そして、もう一人


『離せ!武神様!龍!』があっ

〖ダメだぞ!今お前が行ったらパニックになるだろ!〗ガシッ

『凛だって黙ってないぞ!』ぎゅう~

『離せ~!』んがあっ


〖きゅう~〗

〖きゃあ!お父様っ!〗

〖うぅ~ん〗

『しっかりしろよ!主神様!主も!』

主神様と工芸神様、筋骨隆々脳筋な料理長さんに吹き飛ばされて早々に戦線離脱!


『愛し子が俺のこの素晴らしい筋肉を見たいと言ったんだ!行くしかないだろうが!』ぶんぶんっ

〖違うよな?そんな風には言ってなかったよな?(それに筋肉なら俺が上だぞ!)〗がしっ

『マッチョな料理が気になっただけだよな!?』ぎゅう~

『離せーっ!』んがああっ

〖お前がいなくなったら俺たちの飯どうなんだよ!?〗がっちり

『俺たちもチビたちも泣くぞ!』ぎちち

『弟子たちの飯で十分だろっ』

武神様が背後から羽交い締め、龍は足を締め付け、暴れる料理長を抑え込む···


どうなる?天界⋯



そして、聖域では


『サーヤ、頑張るんだぞ』

『ケガしないようにね』

「あい!」びしっ!

元気に敬礼!今度はサーヤたちの番です。

「がんばりゅ!」ふんすっ

でも、おトイレみたいに流されちゃうかもしれないから

「ちょっちょ、こわこわ」ぶるる

サーヤ流れちゃう?あ~れ~?


『ああ、白雪さんとハクが流されたアレな』

『まさかの仕掛けだったわよね。ね?白雪さん、ハクちゃん』

『ええ。みんな気をつけるのよ』

『ぼく、もう流されたくないな~』

ハクがしみじみと⋯


「さーやみょ、あ~りぇ~はちょっちょ~」ぷるぷる

ぴゅいきゅい『『いや~ん』』ぷるぷる


『あれはみんな嫌だと思うんだな』

『『そうなんだな』』

『かにょこもや~でしゅ』

『『『⋯』』』こくこくこく


『『『『『い~や~』』』』』


ほら、みんなもやっぱりヤダって言ってるよ。


〖大丈夫ですよ。水で流すのはありませんから〗ぷしゅー

『ええ。水で流すのは、ないですよ』ぷしゅー

にこにこ


「ふおお?」

頭、なんか、へん?

『エル様、バートさん、どうしたの~?』

ぴゅいきゅい『『おだんご?』』

『『モモ、スイ違うよ』』

『『『あれはタンコブ!』』』

みゃあ『ゆげでてるにゃ?』

『中々立派なタンコブなのだ』

そう。二人の頭から大きなタンコブが生えて、ぷしゅーって湯気出てるんだよ。痛そう~。でも、笑ってるから大丈夫なのかな?


〖ったく、やりすぎなんだよ〗ふりふり

『みんな安心しろ。水に流されることはなくなったぞ』

〖設定を変えさせたからな〗ふっ

どうやらヴァル様がお仕置してくれたみたいです。手をふりふりして、ふって息で払ってます。あれ?でも?


『ただ、無くすことは出来なかったんだよな』はぁっ

〖どう変えたかも教えないしな〗うぐぐ


「ふえ?」

そ、それは

『知らない分かえって~』

ぴゅいきゅい『『こあい~』』ぷるぷる


〖だよな〗

『力及ばず』

〖『すまん』〗ぺっこーっ

ヴァル様たち直角にお辞儀!


「『『『『『えええ~っ』』』』』」

ちびっこたち、全員ムンクの叫び⋯


〖『ふふふふ』〗

不敵な笑いを漏らすエル様とバートさん。


『だからタンコブ作ってんのに笑ってたのか』ひく

『あらあらまあまあ⋯』ぶる

『恐ろしいですね⋯』ふるる

おいちゃんは顔がひきつって、おばあちゃんと白雪さんは震えてます。


「さーやちゃち、ろろろろうにゃっちゃう?」

『フゥ、クゥどうしよう~』

ぴゅいきゅい『『ゆすらちゃん、はるひくん』』

『『どうしよう~』』

『『『『どうしよう~』』』』

みんなでビタビタと、フゥたちに張り付きます。そんでもって必殺


うるうるうる


『『『『うっ!』』』』

『そ、そんなこと言われてもな』

『わたしたちにも分かんないわよぉ』

『それにどうやら僕たちも』

『参加みたいなんです』

『『『『応援側だと思ったのにぃ』』』』しくしく


「うにゃ?」

『そうなの~?』

ぴゅいきゅい『『え~』』

どうしよう?みんなでおめめ合わせて無言で相談⋯


こくり


「がんばりょ」ぽん

『あきらめよ~』ぽん

ぴゅいきゅい『『みんな』』

「『『『『『なかまだよ~』』』』』」きゅっ


『『『『うううっ』』』』

『そうだよな』

『みんな、怖いけど』

『とってもとってもこわいですけど』

『がんばりましょう』

うるうるうる


「あい」

『『『『『うん』』』』』

しくしくしくしく⋯


『あらあらまあまあ⋯』

『なんか、戦いにでもいくみたいだな⋯』

『かわいそうに⋯』

妙な連帯感と哀愁を漂わせるちびっことフゥたちにおいちゃんたちなんとも言えない表情


〖『すまんっ』〗がばっ

ヴァル様たちはまた頭下げてるし。


だがしかし、そんなもので済む訳もなく⋯

〖フゥたちも参加させるなら青葉たちも参加させた方が⋯〗にこにこ

『そうですね。呼びましょうか』にこにこ


『『『『えっ』』』』

『『『『『『せっかく隠れてたのにッ』』』』』』

例のごとく小さくなってじぃじの鬣の中から応援していた青葉ちゃんたち。


『ああ、だめじゃったのぉ』

まぁ、いつもそこにいるからのぉ

『観念して行っておいで』

サーヤ達風に言うと、ばればれ~ではあるの。


『『『『そんなぁ~』』』』

『『『『『『あっ!青葉たちだけでいいんじゃないかな?』』』』』』

水の妖精さんたち、自分たちは沢山いるから、代表で青葉たち泉の精霊がいけばいいと⋯


『『『『そんなのずるいっ』』』』

青葉ちゃんたちは反論するけど


〖ふむ。そうですね〗

『今回はそれでいいのでは?』

〖そうですね。どの道、訓練はしてもらいますしね〗


『『『『『『やった~♪』』』』』』

『『『『ええ~ひどい~』』』』

『『『『『『ふぁいとぉ!』』』』』』

青葉ちゃんたち強制参加決定!


と、言うわけで


『そういえばぁ、薄花、月草、千草はサーヤと同じくらいだったわよねぇ~』

『そうだったにゃ。いつも妖精サイズの小さい姿だから忘れてたにゃ』


「おしょりょい♪」

『だね~♪』

『『『なんかてれるね~』』』

ぽぽちゃんたちはもちろん、薄花ちゃんたちもお揃い♪


『いや~ん♪サーヤちゃん、ハクくん、ポポちゃん兄弟に、子鬼ちゃんたちに、ちびっこ同盟だけでも可愛いのに、お腹ぽんぽこりんのぽってりかぼちゃパンツがたくさん!可愛いすぎですわ~♪』ツー

『お姉様、同感ですわ!』ツー

ぎゅうっと、抱き合って喜び合うリノ様とアイナ様


『同感にゃ。同感だけどにゃ、今からそれじゃ大変にゃ』

『う~ん、アイナちゃん、あんまりリノちゃんに染まっちゃダメよぉ』


『はっ!そうですわね。しっかりしませんと!』きりっ

『どういう意味ですの!?』

『『『そのまんまの意味』』』

『よねぇ?』

『ですわねぇ』

『そうにゃ!』


『ひどいですわ!』

リノ様、今日は簀巻きにされないといいね。


『なんで私まで』

『まあまあ、青葉ちゃん。似合ってるわよ』

『そうそう。おれは仲間が増えて嬉しい』

『『はい!』』

『みんな⋯』うるうる

きっと何かあるから分かち合える仲間は多い方が!!と、フゥたちは思っているけど、純粋な青葉ちゃんは気づかない。


青葉ちゃんはフゥたちとお揃い。体操着だけどさすがにかぼちゃパンツじゃなくて紺の短パン。だけど、みんなのお目目と同じ色のラインが両脇に入ってます。もこもこプロテクターはお揃いだよ!


何はともあれ


『始めるぞ~』

『あらあらまあまあ、みんなまとめて?みんな大きさ違うのに大丈夫なの?』

おばあちゃんが心配すると、おいちゃんが


『出だしからサイズ合わせしてるから大丈夫だろ。みんな、初めから走りだからな。飛ぶのは禁止な』


「あ~い」

『『『『『は~い』』』』』


『妖精に飛ぶなと言うのもどうなんだ?』

〖まあ、飛べない状況もあるかもしれないしな〗

『なるほど?』牙王様、その辺で気になってたら多分、この後大変⋯


『さあ、じゃあ、始めるぞ~位置について、用~意』


「ふにゅう~」

『がんばるよ~』

ぴゅいきゅい『『うん!』』


『ドン!』パーン

ついにちびっこたちスタート!


『さあ!いよいよ始まりました!』

『実況は引き続き私たち精霊が努めるわよ』

『みんながんばって~』

氷花ちゃんは完全に応援だね。


「んっちょうんちょっ」ぽてぽてぽて

『ぼく先いくね~』ててて~

『かにょこもでしゅ~』たたた

『『お先に行きます!』』ぴゅんっ

「ほあ~」

風が~

ぴゅいきゅい『『すご~い』』


あっという間に行っちゃったのはハクと鹿の子ちゃんと山桜桃ちゃんと春陽くん。

サーヤたちのゴールは、サーヤの五十メートルを基準に、基本は体の大きさに合わせてゴールの長さが変えてあるけど、走るの得意なハクと山桜桃ちゃん達はなんかゴールが見えないね?


とにかくサーヤたちは

「んっちょよいちょ」ぽてぽて

『『『よいしょよいしょ』』』

『みんながんばるだよ』

「あい」

『『『『『は~い』』』』』

がんばって走る走る。おしりのメーメーさんが揺れる揺れる


『『いや~ん♪かわい~ですわ~♪』』だばー

『ご主人、リノ様、ドレスが赤く染ってるにゃ』

『もう~いやぁねぇ~。エル様、もしもの時はお願いねぇ。原因を計画したのはエル様よねぇ?』

〖⋯ものすごく嫌ですが分かりました〗

『お願いねぇ』

ちゃっかり約束を取り付けた結葉様。


そんな外野を後目にがんばって走って走ってもうすぐ


「ごー」

カチッ

「りゅ?」

なんか踏んだ?


ぱぁぁぁっ

「ほああ?」

光ったよ~ぉ


『『『え?みんなも?』』』

サーヤがなにか踏んだ途端に、みんな光った!実況のランちゃんたちもびっくり!


『『『『『うわあああっ』』』』』

『『『ふぎゃあっ』』』

あ、そこらじゅうから悲鳴が


『『『あっ!ぽぽちゃんたちは!?』』』ぐりっ


『『『きゅう~』』』ばたんっ


『『『きゃあああっ救護班~っ』』』

光に弱いぽぽちゃん兄弟、倒れた!


〖『あっしまった』〗


『エル様』じと

『バートさん』じと

『『『忘れてたでしょ』』』じとー

怖いもの知らずの揚羽ちゃん、牡丹ちゃん、月花ちゃん。


〖『申し訳ありません』〗ぺこ

ひゅるるん

今回救護班のサーヤの護衛ゴーレム戦隊ゴーちゃん、レーちゃん、ムーちゃん。

頭を下げるエル様たちの前に、早く治せとぽぽちゃんたちを運んできた。


〖直ちに治療させていただきましょう〗ほわっ

『『『当然』』』ふんっ

揚羽ちゃんたち、すごい


『『『う~ん⋯』』』

ぽぽちゃんたち、がんばれ!


そして

「ふにゅ~」

おさまった~?


『いらっしゃい』

『よく来たな』


「ふお?」

おかみさんと親方コーナーにどうやら転移したみたいです。何するのかな? 

 


☆。.:*・゜☆。.:*・゜

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