第565話 決着?

「ごめしゃいごめしゃいっ」ぺこぺこ


おばあちゃんがジーニ様たちのうらまけしからんお山に狼藉を働いたと知って、天界に向かって土下座して謝るサーヤ⋯

おばあちゃんたら、罪作り⋯


〖狼藉⋯まあ、狼藉なのか?〗

『どうだろな?』

〖だが、サーヤ大丈夫だぞ〗

『そうだな。今んとこ魔神様とシア様だけだしな⋯多分⋯?』

「い、いまんちょこ?ちゃびゅん?」

牙王様、それはどういう?

ヴァル様、ちっとも大丈夫じゃないんじゃない?


〖ん~、天界には魔神たち以外にも天界樹とかもいるしな〗

「ちぇんかいじゅしゃま?」

だぁれ?


『んっとな?天界にも精霊樹みたいなでっかい木があるんだよ。その木の精霊だな。地上の精霊たちの、その頂点。神のようなものだな』

「ふお~」

精霊さんの神様!


〖神に限りなく近い、準神ってやつだ。料理長もそうだな。まあ、料理長は筋肉ムキムキの男だから凛の被害には会わないな。むしろ一緒になって料理しまくってるぞ〗

「ふお?みゅきむき、まっちょにょ、おりょーり!」

なんかすごそう!


『問題は天界樹の精だな。俺らがいた時はなんとか逃げてたけどな』

〖あいつは魔神たちより自己主張しないし、服装もだいぶ違うしな。こう、ヒラヒラした着物っつうのか?魔神とかと違って露出も低いし、(魔神たちよりは)体のラインが出にくい着物だよな?〗

「ふあ~」

ジーニ様はたしかにお色気ドレスが好きだよね。長いスリットとか~、体にピッタリのとか~、うらやまけしからんお山がめだつのとか~


『凛は中国の昔のお姫様みたいだ、とか、天女みたいだとか言ってたよな』

〖そうだな。胸元を見て目を光らせてはいたがな〗

「ふお~てんにょしゃま!」きらきら

見た~い!!絵本の天女様とどっちが綺麗かな?


『まあ、例の料理食べて天界樹の精も若返ってるからな、いつまで逃げられるかだよな』

「ふおお~ちぇんかいじゅしゃま、にげちぇ~」ぷりょぷりゅ

お胸わしづかみされる前に~


〖そうだ!天界樹の庭で差し入れにもあった野菜や果物を作ってくれてるんだぞ〗

「ふおお~、おいちい、もも!ありがちゃや~」

桃とかみかんとかありがとう~


『最近は凛に教わって薬膳とかいうのに目覚めて色々庭で作ってるからな。凛とはかなり仲がいいぞ』

〖ああ、よく一緒にいるな。まあ、だから、襲われるのも多分⋯〗

『時間の問題な気がするよな~』

「ふ、ふおお~ごむちゃいにゃ」ぷりゅぷりゅ

〖『ぶふっ!ご、ご無体なって⋯』〗

「ちゃいへん、おきもにょ、あ~りぇ~しゃりぇちゃう~」くりゅくりゅ~

あ~れ~お代官様~良いではないか~わはははは~

〖『ぶふっ』〗

※ヴァル様たちにはサーヤの頭の中の映像が伝わっています


『やめんかっ』ぴこんっ!

「あいちゃっ!」

なにすんの~

『痛くないだろ?ピコピコハンマーだぞ』

「おいちゃん」ぐすっ

〖『ゲン!』〗

気分的に痛いでしょ?


〖ゲン、お前あっちにいなくていいのか?〗

『すぐ戻るぞ。なんかサーヤの妄想が暴走してる気がしてな』

『さすがだな⋯』呆れ~

「うにゅ~」

ぼーそーなんかしてないよ~

『んで?サーヤはなんで悪代官なんだ?』

「さーや、ちやう。ちぇんかいにょ、おばあちゃん、だみょん」ぶー

『天界のおばあちゃん?』

〖あ~天界の魔神とシアがな?ちょっと天界の凛にな⋯〗ちら


『『あわわ⋯わし』』まっかっか~

『『づかみ⋯』』じー


『あ~なんとなく分かった⋯』

天界の凛さんは人だからなぁ。クマのぬいぐるみとは違うよな。あ~あ、フゥとクゥと山桜桃と春陽が面白いことになってるな。気の毒に⋯


『でな、天界樹様も時間の問題かもなってサーヤに話したら』

「あ~りぇ~ごむちゃいにゃ~くりゅくりゅ~」ぷりゅぷりゅ

〖『ぶふっ』〗

『なるほど、それで悪代官だったのか。天界樹の精様か、たしかに凛さんとサーヤの言う女の敵的な着物美人だったな⋯』

着物の襟を抜いた感じの着こなしで肩と胸がたしかに⋯

「ちゅーかふーおひめしゃまにょ、ちぇんにょしゃま」きらきら

絶対きれいだよ~会いたいね~

『中華風お姫様の天女⋯たしかに絵本に出てきそうな姿だったな』うんうん


「ふにゅ?」

おいちゃん、天界にいた時にあったことがあるみたいだね?

『会ったぞ。たしかにサーヤが抱きつきそうなお姫様な感じだったな』

「ふお~」きらきら

ますます会いたくなっちゃったよ!

『まあ、とにかく、悪代官は置いといて、そろそろ白雪さんも始めるぞ。やっと凛さんから開放されたみたいだからな』

「ふにゅっ」

そうでした!体力測定の途中でした!あれ?ハクは?



『は~やっと離れてくれたわ』

『大丈夫~?』

『大丈夫よ。さあ、私たちも始めましょう』

『うん!がんばるよ~』


『あ、ハク坊はあとでサーヤたちとやってもらうからここは免除だってさ。見てやり方を覚えておくといいよ』

『おかみさん』

『そうなの~?ざんねん~』

『悪いね。でも後でできるからさ。今は白雪さんの応援しといとくれよ。ね?』

『分かった~おばあちゃん、がんばって~』

『ありがとう。がんばるわね』にこ

実は二回走る羽目になるハクを休ませる目的なんだけどね~


『じゃあ、ここ触って』

『はい。⋯あ、六十回ね』

『中々な数だね。がんばっとくれ』

『はい。よいしょ』かかかかかかっ

『おばあちゃん、はや~い』

『う~ん、おっとりした感じなのに、やっぱりフェンリルなんだね~』

やっぱり白雪も高速懸垂。そして


『あらあらまあまあ、これ反復横跳び?』

『そうだぞ。反復横跳びだ』がちゃ

扉を開けるような感じでおいちゃん瞬間移動⋯



「ふお?」

〖おいおい、凛といい、ゲンといい⋯〗

『随分無駄な魔力使いだな⋯』



『あらあらまあまあ、ゲンさんたら色々考えたわねぇ』

『仕方ないだろ?エル様とバートさんの企画だぞ』

『あらあらまあまあ⋯たしかにね』

『まあ、サーヤ達にはここまでのことはさせないさ。反復横跳びの次は踏み台昇降運動にスクワットだぞ』

『あらあらまあまあ、ハードというか、しごきね』

『仕方ないだろ?ここでできるだけ疲れさせろってお達しなんだから』

『あらあらまあまあ、そういうことね。ギン様たち頑張って』

『ん?他人事みたいだな?凛さんもやるんだろ?』

『それがね?私気づいちゃったんだけどねぇ』

『何をだ?』

『私、乳酸が溜まることもなければ筋肉痛になることもないのよ』

『あ?』

『『『『『『え?』』』』』』

筋肉痛にならない?どういうことだ?

とんでもない発言にみんなの動きが止まった。そして⋯チッチッチッ


『『『『『ああっ』』』』』

『そうかっ』

みんな何かに気づいた!


『そうなのよねぇ、私、筋肉ないのよ。だって可愛くて愛らしいくまの編みぐるみなんだもの』うふ♪



「ふお?」

〖あ~そりゃそうだ〗

『強いて言うなら、石に貯めた魔力が無くならない限り疲れ知らずってことか』


『あらぁ、それじゃ、これ凛は意味ないんじゃなぁい?だってぇ、凜たらじゃらじゃら予備の石持ってるわよぉ?ねぇ?アイナ』

『はい。お母様。凛さんにお願いされて、空の魔石を度々お渡ししてますわ』

『サーヤちゃんも毎晩欠かさず凛さんに魔力送ってるにゃ』

「あい」

ちゃんとご飯あげてるよ!

『まあ!準備万端ですわね』

リノ様もおばあちゃんの周到さにびっくり!

「ふお~」

なんかずるいかも~?

〖だな。どうするよ、医神〗


〖そうですね、いいんじゃないですか?〗にっこり

『凛がいた方が面白いですしね』にっこり


〖⋯だそうだぞ。凛、継続だ〗

エル様とバートさんの基準は面白いかどうか?ということで、おばあちゃん継続決定!


『あらあらまあまあ、分かったわ。では、反復横跳びいくわね。ほっほっよっほっ♪』

おばあちゃんが反復横跳びに入ると直に


ぱんぱかぱんぱかぱーん♪

『ぐっ、なんだあの動きは』よろ

『フェンリルの姿ではあまりしない動きだな』よろり


腹筋をなんとか終えたギン様と吹雪じぃじも合流。普段しなれない運動イコール使わない筋肉がもう⋯


『わあ、お父さんたちがヨレヨレのぷるぷる~』

『あれが普通なんだよ。凛さんがおかしいんだよ⋯』

『そっか~』

素直に納得。良い子のハク。


『エル様、バートさん、容赦ないな⋯』


ぱんぱかぱーん♪

『くっ、これは、人化した姿でも鍛えなくてはならないという神様方からのご啓示なのですね⋯』よろ


『いや、絶対違うと思うぞ⋯』

『イヒカ様、真面目すぎやしないかい⋯』

イヒカ様、勝手に勘違い。きっとこの姿でも鍛え始めるんだろうな⋯


『ととしゃまーっがんばるでしゅよーっ』

『かのこっ!私の天使、みてておくれ⋯』

『おばあちゃまーっかっこいいでしゅーっ』キャーッ

『あらあらまあまあ、ありがとう』よっほっ

『か、かのこ⋯』がーん


『が、がんばれ、イヒカ様』

『そうだよ、しっかりしとくれ!』

『は、はい』

おばあちゃんも鹿の子ちゃんも罪作り⋯


そんなこんなで、踏み台昇降運動


『ふんふんふんふん♪』


『『はぁはぁはぁはぁ⋯』』


スクワット

『ふっふっふっほっ♪』


『『⋯⋯』』ぜぇぜぇぜぇぜぇ⋯


余裕しゃくしゃくのおばあちゃんに、疲労困憊のギン様たちに、無駄に使命感を感じているイヒカ様に、ある程度加減された白雪、応援してたハク。最後は


『人化のまま百メートルダッシュ⋯気の毒に』


『わざとだね』

『悪意を感じるよな』

『ラストに足にくるもんばっかりのだったもんね』

『鬼だな』

『『間違いない(ね)』』

ドワーフさんたち、核心をつく!


容赦なくラスト、トラックのスタートラインに転移させられ、もちろん


『あらあらまあまあ?私、優勝かしら?』たたたたっ

くまさんの短い足でも、ここまで普段使い慣れない足を酷使されたギン様たちに比べれば


『くっ、足が重い』

『足が前に出ぬ⋯うぐぐ』

『か、鹿の子、父様はゴールに辿り着いてみせるぞ』

よろよろよたよた⋯


『あらあらまあまあ、お気の毒に』たたたたっ


そして、


パンパンパーンッ

『凛さん、ゴール!』

『ピンピンしてます!』

『さあ、次にゴールするのは誰だ?』


「ふお~おばあちゃん、しゅごー」ぱちぱち

『さしゅが、おばあちゃまでしゅ!』ぴょんぴょん


らんちゃんたち、実況もようやく仕事が!


『だってぇ』

『私たちの手に負えないというか?』

『規格外というか?』

そうですね⋯


『凛さん、今のお気持ちは?』ずずいっ

『あらあらまあまあ、何だか申し訳ないわ』

『凛さん、まだ競技中のみんなにかけるお言葉は?』ずずい

『とにかく、頑張っていただきたいわ』

『現場からは以上です』

揚羽ちゃん、牡丹ちゃん、月花ちゃん、リポーターデビューもあっという間⋯


『ふう。終わったわ。坊や、お待たせ。さあ、行きましょうか』

『は~い』

白雪とハクもラスト!


『さあ、白雪とハクも走り出しました!』

『どうなるフェンリル勝負!』

『ハクの追い上げなるか!?』


「はく~」

『『『『『がんばれーっ』』』』』

ちびっこ達も応援!


『ありがとう~』たたたたっ

『ぼうや、私は大丈夫だから行きなさい』たたたたっ

『分かった~』たったかたったかっ


『さあ、ギンたちにハクが迫る!』

『父と祖父の威厳やいかに!?』

『みんなあと少しよ~』

氷花ちゃん、それは実況ではなく、もう応援


『くっ、親父、ハクに負ける訳にはいかんぞ』

『分かっとるわ!ふんぬっ』

だだだだっ


『おお!ギンと吹雪が最後の意地を見せゴール!』

『同着か!』


ばたんっ

『『きゅう⋯』』


『あ~あ、倒れちゃった。生きてるかしら?救護班~』


『⋯仕方ない。ゴーレム、回収して』

『⋯』ざくっ

ゴーレムが土ごとすくい上げてゴールをあけた。


『お姫様抱っこ⋯』

『あらあらまあまあ⋯』

ある意味、屈辱?大ちゃんたら⋯


そして

『ゴール~』

ハクもゴール!


「わ~おめでちょ~」ぱちぱち

『『『『『がんばったね~』』』』』

『ととしゃまもがんばったでしゅ!』

『か、鹿の子、ありがとう』バタンッ

『ととしゃまーっ』

そう、人知れずイヒカ様もゴール!そして大ちゃんのゴーレムが回収


『ふぅ、さすがに疲れたわね』


白雪もゴール!


『これで全員ゴール!』

『優勝は凛さん!』

『ねえ?いつから競走になったの?体力測定でしょ?これ』

『『あら?』』

そういえば、そうだったね。


『『気にしない』』ぬっ

『楽しければいい』ぬっ

『『『わあっ』』』

揚羽ちゃん達も実況席に帰還!


『ふふふ。やはり、人化を試して正解でしたね』

〖そうですね。これから鍛えがいがあるというものです〗

〖『ふふふふ』〗


『『『ゔゔゔっ』』』ぶるる

気絶しててもギン様たちを襲う謎の悪寒⋯


『やっぱり、狙ってたか⋯』

『あらあらまあまあ』

『やっぱ性格悪⋯じゃなくて、いい性格してるよな』

『あんたそれ、言い換えられてるのかい?』

『⋯大丈夫だろ?』


〖どんなトレーニング内容にしましょうかね〗

『ゲンと凛さんにも意見を聞いたらどうですか?』

〖そうですね〗

〖『ふふふふ』〗


『うおっ?』びくぅっ

『あらあらまあまあ?』ぞくぅっ

どうやら、おいちゃん達にも飛び火したようです。


「はく~」

ぴゅいきゅい『『おつかれ~』』

『ありがとう~』


さあ!次はサーヤたちの番!


☆。.:*・゜☆。.:*・゜

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