ある日の天界のおばあちゃんからまたお届けもの日記 番外編

あけましておめでとうございます。また『転生美女は元おばあちゃん~』の番外編から引き継いでおります。よろしかったらそちらからどうぞ。

☆。.:*・゜☆。.:*・゜



きらっ


『ん?なんだ?神棚が光った?』


ゲンさんが神棚に近づくと


『あ、凛さんからお届けものか』はらり


綺麗に包まれた風呂敷を解くと⋯


『手紙⋯なになに?「ゲンさん。たくさんは届けられないからサーヤの分だけ届けてもらったの。皆さんの分はゲンさんが作ってあげて。お許しが出たから後ほど、皆さんにはお屠蘇と、お雑煮だけはお届けするわ。イル様とジーニ様とシア様が泣きながらこれだけは⋯って仰るのよ。何故かしらね?でも、やっぱり一杯分ずつだから、足りない分はゲンさんお願いしますね。サーヤに大好きよって伝えてね。凛」⋯』カサカサ


読み終わったゲンさん⋯


『凛さん、今度は何やらかしたんだ?神様たち泣かせるなよ⋯』ふぅ⋯

遠い目で見えない天界を見つめると


〖〖ほんとだよねぇ〗〗しくしく


『うおっ!?その声はイ、イル様か?びっくりした』ばくばく

イル様が急に念話で話しかけてきた


〖〖うん。急にごめんね。実はさ、天界の凛さんにスキル生えちゃったみたいでね。凛さんの作る料理はみんな何かしらの効果がついちゃうみたいなんだ〗〗


『あ~』

さもありなん⋯


〖〖それでね~お雑煮には日本の神様の力も入ってるみたいでね~〗〗

『は?待て待て、何でそうなる?』

何で日本の神様が出てくるんだ?


〖〖お雑煮って、神様にお供えしたものを頂くと、神の力を得られるものなんでしょ?〗〗


『ん?そんな大層な由来だったか?』

過大解釈されてないか?


〖〖とにかくね、ゲンさんもだけど、凛さんも日本の神様に好かれてるでしょ?〗〗


『そうみたいだな』

色々してもらって感謝は絶えないな


〖〖それに無意識に神様に感謝しながら料理とか畑仕事とか、ゲンさんなら鍛治とかしてるでしょ?〗〗


『そうだな。もはや習慣、癖?』

当然のことだったからな


〖〖まあ、それがお供えと同じ効果があるらしくてね?凛さんのお雑煮に日本の神様の加護が付与されたみたいなんだ。だから、聖域の強化のためにもみんなに食べてもらった方がいいと思ってね〗〗


『それでか⋯凛さんも規格外だな。⋯ん?それじゃお屠蘇は?』

嫌な予感が⋯


〖〖⋯驚かないでね?〗〗


『イル様がそんな言い方するなんて、どんだけやらかしたんだ?』ごくっ

凛さん、頼むよ⋯


〖〖邪を屠り、生気を甦らせる⋯だって〗〗すっ


『⋯なんだそりゃ』

凛さん、やらかしすぎだろ⋯それに、イル様今、涙ぬぐわなかったか?


〖〖だからね、聖域のみんなに飲ませて欲しいんだ。トレちゃんやゴラちゃん、イヒカたちにも。清めのお酒として畑とか森とかさ〗〗


『分かった。でも子供達には⋯』


〖〖今、張り切って凛さんがお酒を飛ばしてデザートに出来ないか料理長と相談してるよ。甘酒も作ったみたいだよ〗〗


『なるほど』

恐ろしいな


〖〖それでもうひとつお願い〗〗


『なんだ?』


〖〖イヒカだけじゃなく、森を守ってくれてる種族がいるはずなんだ。ギンにも手伝ってもらって、彼らにもお屠蘇飲ませてくれないかな?それから、今はまだ来てない精霊王たちにも。ゲンさんのインベントリなら保存できるでしょ?〗〗


『分かった。確かに、挨拶に行かなきゃいけないと思ってたしな』

しかし、どれだけ送られてくるんだ?


〖〖ありがとう。頼むね〗〗


『ああ。任せてくれ。聖域の守は厚いに越したことないからな』


〖〖ふふ。ありがとう。あ、それから、凛さんと天界樹ちゃんがサーヤたちのお着物作ったんだ。着たらスマホで見せてね♪〗〗


『ふっ、分かったよ。俺も着付け出来るしな』

きっとサーヤたちに似合うだろ


〖〖お願いね。楽しみだな~うふふ〗〗


『ああ、俺も楽しみだ』


それからしばらく雑談をして、会話を終えた俺は⋯


『ギン様、実は⋯』

『ふむ。そういうことなら親父と白雪にも手伝ってもらおう』

『そうだな。そうしてもらうとありがたい。サーヤ連れてくか?』

『⋯一日では回れなくなるのでは?』

『⋯もふもふなのか?』

『ああ。そうじゃないのもいるがな』



「もふもふ~♪かあい~♪」

サーヤがこうなるのが目に浮かぶな⋯



『そうか。後日別に時間を作って行った方がいいか』

『それか、向こうから来てもらうかだな』

『そうだな』


ということで、お屠蘇を土産に方方を手分けして挨拶して周り、お雑煮も食べられるものには食べてもらい、聖域の守はどんどん厚くなり⋯そして



「うきゃ~♪おべんちょばこ、かあい~♪おはにゃ~♪」くるくる

サーヤが赤いお花の器を持ってくるくる。

『お弁当箱か?お重だろ?良かったな。工芸神様が作ってくれたそうだぞ』

「しょにゃにょ?こーげーちんしゃま、あいがちょ~♪」にぱっ

空に向かってサーヤが笑顔を向けると


〖はうっ〗ずきゅん

あ、覗いてたな?なんか撃ち抜かれてたな⋯


これがお蕎麦とえび天を中心にした天ぷら。そして


「うきゃ~♪くましゃ~ん♪」くるくる

またもやサーヤ謎踊り


『工芸神様、余程サーヤに尽くしたいんだな』

クマの形の五段重。中身はおせち。黒豆とほとんどきんとんの栗きんとんで一段埋まってる⋯黒魔の汁は何故漏れないんだ?あ、魔法だ⋯

「こーげーちんしゃま、おばあちゃん」

『あと料理長に、畑提供してくれた天界樹様な』

「りょーりちょーしゃん、てんかいじゅしゃみゃ、あいがちょ~♪」にぱ

またまた天に向かって笑顔を向けるサーヤ。


〖はうっ〗ずきゅんっ

『うぐっ』ずきゅんっ

『あうっ』ずきゅんっ

あ、三連続で撃ち抜かれたな⋯更に


「うきゃ~♪あかいおきもにょ~♪」

凛さんが用意した着物。着付けてやると袖を広げてみんなに見せて回っている。


〖可愛いな!サーヤ!〗

〖ええ。よく似合ってますよ〗

『主神に見せるのは惜しいですね』


〖バートっ意地悪しないでよ!〗

〖そうよ!むさ苦しい鍛治神なんて見たくもないわ!〗

〖早くサーヤをみせてください!〗

スマホから悲痛な叫び声が⋯


『仕方ないですね。もったいないですが』


「あ~♪いりゅしゃま~♪じーにしゃま~♪しあしゃま~♪」にぱぁ


〖〖〖サーヤ~♪〗〗〗

〖うんうん。かわいいね~〗

〖当然でしょ!〗

〖サーヤ、くるって回って〗

「あ~い♪」くるぅり

〖〖〖はうっ〗〗〗ずきゅんっ

あ、また撃ち抜かれたな⋯



こうして、今日も聖域は賑やかだった


ちなみにお屠蘇を使ったデザートは

「おいちいにぇ~♪」ぱく

『うん。おいしいね~』

ぴゅいきゅい『『ちゅめたい~』』

『『甘いね~』』

『『『いいかおり~』』』

みゃあ『ももかにゃ?』

『みかんなのだ』

『『『杏なんだな』』』

『『『りんご⋯』』』

『おばあちゃま、これなんでしゅか?』


『あらあらまあまあ、これはソルベ⋯シャーベット、氷菓子ね』

そう。例の天界のとんでもフルーツを使ったソルベになったのでした。


「おいち♪」

『良かったな』

「あい♪」



☆。.:*・゜☆。.:*・゜

あけましておめでとうございます。

お読み頂きありがとうございます。


新年早々、地震で大変な方もいらっしゃいますが、どうか少しでも暖かく過ごせますように。

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