ある日の芋名月の日日記① 番外編
中秋の名月⋯というのがこの世界にあるとは思えないが、日本にいた時のお月見と言えば、
静かな夜に、縁側でススキを飾って、三方にお月見団子を盛って、浴衣を着て、月の兎を眺めながら日本酒を⋯
なんて言うのを思い浮かべそうだが⋯
ここは異世界
『そういや、中秋の名月って、別名「芋名月」って言ったよな』
おいちゃんが思い出した!異世界のお月見は正に、花より団子!!
『あらあらまあまあ、そうだったわ。里芋やさつまいも、あとは旬のお野菜や果物なんかをお供えしたり食べたりするのよね。さつまいもやぶどうのツルを飾ったりするんだったかしら?うろ覚えだけれど』
「ふぢょう⋯みぢょりにょ」じゅるり
皮ごと食べられるやつ~
『シャインマスカットか、上手いよな。ぶどう手が出ない高級な奴は沢山あったよな』
『あらあらまあまあ、今なら食べ放題じゃない?』
サーヤ、おいちゃん、おばあちゃんが見つめあってます。そして
にやあ~
にっこり
じゅるり
うわ~三者三様の悪い?顔
『サーヤ、異世界辞書だ!高級品種のぶどう!片っ端から出せ!』
「あい!」びしぃっ!
『あらあらまあまあ、ぶどうだけじゃもったいないわ。秋の旬と言えば、桃でしょ、梨でしょ、洋梨でしょ、キウイフルーツに、無花果に、忘れちゃいけない柿と、栗!』
「あい!おいちい!」じゅるり
『そうだ、芋!いきなり団子ってあったよな。あれは金時芋か?』
『そうよ。昔はおいもに小麦粉の皮で蒸すシンプルなものだったそうだけど、今はあんこと包んだり、皮も白玉粉とか上新粉とかと、小麦粉を混ぜて柔らかくするみたいね』
『凛さんこの間⋯』にや
『ええ。白玉粉、作ったわよ。たくさん。上新粉も』
『『ふふふふ』』
「ふおお?」
あ、凄い、サーヤがついていけてない
『私、旬の果物を贅沢に使ったパフェ憧れだったのよ』にっこり
『俺もだよ。栗とか和風のパフェに白玉は付きもんだよな』にやあ
『そうね。問題はソフトクリームじゃない?』
『材料はアイスクリームとほぼ同じなはず。問題はゼラチンだな』
『ゼラチン⋯寒天は硬すぎるわね。ゼラチンの代用品はアガーだったかしら』
『ああ、海藻からとるやつだな、ぬめりの⋯何とかなりそうじゃないか?』にやあ
『そうねぇ』にこにこ
「ふおお?」
サーヤを置いてけぼりにしてどんどん話が進んでいきます。
しかもめちゃくちゃ大掛かりになる予感⋯
『『お手伝いします!』』
『『参加します!』』
『ぼくたちも~』
ぴゅいきゅい『『やるーっ』』
『『うわっ?』』
「ほええ?」
みんないつの間に?
山桜桃ちゃん、春陽くん、フゥ、クゥがにょきにょき生えたら、ハクたちもいました。
『楽しそうだな』
『俺達も混ぜろ!』
『何でもやるぜ!』
『そうだよ任せな!』
『『腕が鳴るねぇ』』
おお、ドワーフさん達、腕まくり!からの、力こぶ!どどん!
『なんかどんどん食べ物に話がいったけどぉ』
『初めは中秋の名月とか仰ってましたわよね?』
『お月見とかおっしゃってましたわ』
『月の兎とかも言ってたニャ!』
それは、ほぼ初めから⋯
『よんだぴょん?』
『しょーらいゆーぼーなもふもふ』
『『よんだぴょん?』』
『いや、呼んではないけどな』
『あらあらまあまあ、ちびちびちゃんたちまで?』
「ふおお~」
もえちゃんたちの背中からカラフルなちびちびうさちゃんたちが手を振ってます。
『またおどるぴょん?』
『いつでもいけるぴょん♪』
十五夜といえばうさぎさん!もえちゃんたちは踊る気まんまん
きゅる『新作うさぎ作らなきゃ』
きゅるるん『『『いしょうは』』』
きゅるるん『『『『おまかせ!』』』』
わ~みんなやる気満々!
『あらあらまあまあ⋯』
『これはもう、やるしかないな⋯』
「あ、あい」
大変なことになりそうです。
『それじゃあ、サーヤ、種だな』
「あい!いりょいりょ、でりょー」ざばばー
『あらあらまあまあ、だいぶ適当になったわね』
「だっちぇ」
おいちゃんのインベントリ
『自動仕分けが出来るからな』
「あい。べんり」
種の種類ごとに勝手に別れてくれるんだよ、ずるいよね
『うっしゃ!じゃあ、畑行ってくるな!親方!手伝ってくれ!』
『おうよ!』
『『任せろ!』』
ぶどうは棚とかいるしね。
『結葉様も頼んでいいか?』
『うふふ。もちろんよぉ』
『『私達も参りますわ』』
『ニャーニャも行くにゃ』
頑張って~。じゅるり
『あらあらまあまあ、それじゃあ、私たちはアガーを見つけに青葉ちゃんのところに行きましょうか』ふきふき
「あい!」
『お水の中ならぼくだね~』
『私も行こう』
『我も行くぞ』
ぴゅいきゅい『『いくー!』』
『『みんなで行こー』』
『『『さがすのとくい!』』』
みゃあ『たよりにしてるにゃ!』
『早く行くのだー!』
「『『『『『おー!』』』』』」
と、いうことで、いつもの通り、大掛かりに!
☆。.:*・゜☆。.:*・゜
お読みいただきありがとうございます。またもや番外編ですみません。
本編、しばしお待ちください。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます