第525話 かわいそうな、ごはん?

ガツガツガツガツっ


「『『『『『⋯⋯⋯』』』』』」ぽかーん


ずずずずずっ

〖おかわりっ〗


「『『『『『⋯⋯⋯』』』』』」

ぽかーん⋯ぽろりっ


ガツガツガツガツっ

〖ぷはーっ!うまいな!おかわりっ〗


「『『『『『⋯⋯⋯』』』』』」

ぽかーん⋯かしゃんっ!


『ハッ!サーヤちゃん、みなさん、しっかり!』

『こぼしてます!落としてます!』

物音がして我に返った山桜桃ちゃんと、春陽くん。めのまえではちびっこたちが中々の惨状⋯


「ふあっ!ごめしゃいっ」

『ごめんなさ~い』

ぴゅいきゅい『『あれれ~?』』

『スプーンない』

『ぼく、フォークない』

『『『ああっおようふくがっ』』』

みゃあ『たまごかけごはんがにゃいにゃっ』

『わあっ姫のお皿になんでご飯があるのだ?』


『うわっ大変大変っ』

『みんな動かないでっ』

『ココロ落ち着くニャ!』

『みなさん、大丈夫ですか?やけどなどしていませんか?』


『わあっ兄ちゃん!なずながっ』

『ええ?わわわっつくしもなんだな』

『わあっにいちゃん、ちいにいちゃん、おむねでごはんたべてるだ!』


『あらあらまあまあ、大変、もふもふが大ピンチだわ』

『みんな触るな!擦るな!』


きゅるるん『『『わああっ』』』ぱしゃぱしゃっ

きゅるるん『『『『おぼれちゃう~』』』』ぱしゃぱしゃっ


きゅるる『子どもたちっ、なんでスープの中に?』しゅるるっ


あっちもこっちも大変。

いつもは大人の方を見ずに上手にご飯を食べるちびっこたち。

だがしかし、今回ばかりは見えないようにしただけではダメだった!



スパーンッ!


〖イテッ!何すんだよ医神!せっかく飯が美味いのによ!〗

〖黙らっしゃい。もっと静かに大人しく食べられないのですか、この脳筋が。見なさい!サーヤたちが貴方のせいで大変なことになっているではないですか!〗

〖ええ?〗



「ふわわわっさーやのおかいこしゃまが~ごはんちゃべた~」

ぷるるん『サーヤ、動かない』


『うわ~ぼく、黄色になっちゃった~』

ぷるる『ちびスラたち出動』


ぷるるるんっ!


ぴゅいきゅい『『おお~』』

『わあ、ありがとう』

『綺麗になってく~』

『『『よかった~』』』

みゃあ『ありがとにゃ』

『ちびスラちゃんたちすごいのだ』


『良かったです』

『今、新しいご飯ご用意しますね』


「ごはん、ごめしゃい」

『落っことして、ごめんなさい』

ぴゅいきゅい『『ごめんなちゃい』』

『『もうこぼさないように』』

『『『きをつけます』』』

みゃあ『ごめんにゃ。でも、チビすらちゃんたちのおかげで、ごはんむだにならくてよかったにゃ』

『ほんとなのだ。ありがとなのだ』


ぷるるん♪


『あらあらまあまあ、そうね。気をつけましょうね』


「あい。ごめしゃい」ぺこ

『『『『『ごめんなさい』』』』』

みんなでごめんなさい。ご飯は大切。無駄にしちゃいけません。気をつけます。



〖ほら、ご覧なさい。貴方が大きな音を立てて、あまりにがっついて食べるからですよ。みんなびっくりしてしまったではないですか〗

〖そうなのか?そりゃ、すまん!〗

〖すまん!で、済むとお思いですか!?〗

スパーンッ!

〖いてっ〗



そうなのです。サーヤたちは、いただきますして、こけこっこーさんの朝取れ美味しい玉子で、たまごかけごはんを食べてたんだけど、


ガツガツガツガツっ

て、すごい音がするから見てみたら、お皿かっこんで、朝から焼き肉サラダを食べ?流し込むヴァル様を見てびっくり。お顔よりおっきい大皿だったよ。

『当たり前だ。あれは取り分けて食うやつだからな。つまりは大人数人分だ』

「ふおおお~」


そしたら、今度は大きなおっきなどんぶりに玉子いっぱい入った、たまごかけごはんを

ずずずずずっ

て、一気に飲んじゃって、サーヤたちまたまたびっくり。

『当たり前だ。ありゃドンブリじゃなくて、釜だ』

「ふおおお~」


そしたらそしたら、

ガツガツガツガツっ

て、おかずのベーコンとか、ローストビーフとか、お野菜とか、ホットケーキとか、フルーツとか、テーブルの上にあったのが一気に無くなっちゃって、サーヤたち、もっとびっくりして

『ありゃ、ホットケーキ派のために準備したヤツひと揃えだからな』

「ふおおお~」


とにかくとにかくびっくりして

「ごめしゃい」

『『『『『ごめんなさい』』』』』

ごはん、こぼしてごめんなさい。


『まあ、今回ばかりは仕方ないな』

『あらあらまあまあ、私だって固まったものね』

きゅるる『子どもたち、しかれない』

『だよな』

『そうよね』

そう。大人たちもびっくりしすぎて固まってしまったのです。



〖なんだ。これ一人分じゃなかったのか?〗

〖当たり前です!私たちの朝ごはんを返しなさい!〗

〖無茶言うなよ。もう腹ん中だぞ。それに、まだ全然足りないぞ〗

〖脳筋の上に、ご飯泥棒ですか!〗

〖大袈裟なやつだな。まだあるだろ?〗

〖貴方という人はっ〗わなわなわなわな


うわぁ、エル様の血管が切れそう⋯


あれ?ドワーフさんたちは?

『さすがいい食いっぷりだな』

『そうだな。やっぱり鍛治の為にも食わないとな!』

『体力つけないとな』

『こうしちゃいられないね』

『そうだね。ごはん追加しないとね』

『あ、山桜桃と春陽はいいよ。私らがやるからね』


『『ええ?』』


おお⋯ドワーフさんたち、めちゃくちゃ元気!尊敬する鍛治神様のお世話を危機として焼いてます。

『あらあらまあまあ、サーヤ、字が違うわよ。嬉々よ』

「ごめしゃい」

きゅるる『あながち間違いじゃないかも』

『そうだな』

サーヤ、合ってた?



『お待たせしました。さーやちゃんたち』

『今度はこぼさずに食べましょうね』

山桜桃ちゃんたちが、サーヤたちのこぼしちゃった、たまごかけごはんとか、落としちゃったスプーンとか持ってきてくれました。


「あいがちょ」

『ありがとう~』

ぴゅいきゅい『『きをちゅけるね』』


みんなでお礼を言って、新しいごはんを食べます。ほかほかです。

「ちゃまごかけごはん、おいち♪」

『おいしいね~』はぐはぐ

ぴゅいきゅい『『おいちいね』』

『『こけこっこーさん、すごい』』

『『『あとでおれいしよ~』』』

みゃ『それいいにゃ!』

『ナイスアイデアなのだ!』

「いこ~♪」

みんなにありがとしないとね。


〖ん?いいな、それ!俺も行くぞ!〗ニカッ

ヴァル様も?もちろん


「いいよ~」

『一緒に行こう~!』

〖おう!〗


『ちょぉっと待ったぁ!』


「ふにゅ?」

『だぁれ~?』

ぴゅいきゅい『『どこ~?』』

ヴァル様の言葉に重なるように、急に聞いたことない声が!でも、誰もいません。気のせいかな?


『やい!鍛治神!何ひとりでいい思いしてんだよ!俺にも寄越せ!』ぬっ!

〖あ、ばか、虎っ〗


「うきゃーっ」ガシャンっ

『ててて、手が~お父さ~ん』がしゃんっ

ぴゅいきゅい『『おとうしゃーんっ』』どんがらがっしゃんっ

『『空中に』』

『『『おっきなて~っ』』』

みゃあ『ねぇねーったすけてにゃーっ』

『なんなのだなんなのだ!?』


『『にいちゃんっ』』

『だだだ大丈夫なんだなっ』


きゅるるん『『『『『『『おかあさ~んっ』』』』』』』


『『『『ああっまたっ!』』』』

『あらあらまあまあ~』

『やりやがったな⋯』


〖仕方ありませんね〗ぱんっ


急に空中に現れた大きな手!すっごいおっきなにゃんこの手です!


みんなびっくりして、せっかく新しくしてもらったご飯、また落としちゃいました。でも、エル様が、ぱんっ!って、手を鳴らしたら、

「ふお?」

ご飯が元通りに!まったくこぼれてません。


〖ご飯だけ巻き戻したんですよ。時空魔法の一つです〗


「ほえ~あいがちょ」

〖どういたしまして。それより⋯そこの愚虎、出てきなさい〗


『な、なんだよ~、悪かったよ。でも、お前らだって悪いんだぞ。俺様は鼻がいいんだからな。こんな美味そうな匂いチラつかせて、俺をいつまでも呼ばないのが悪いんだぞ』ぬうっ

〖虎、ば、ばかやろう、医神になんてことを⋯〗

ヴァル様の背中にのしかかるように何かが!



「ふわあああっ」きらきらきらきら

『『あっ』』

ぴゅいきゅい『『サーヤのおめめが~』』



そう。空中に現れた大きな手は、

「ふああああっおっきにゃ、にゃんこーっ」キラキラキラキラ

『『ちがうっ!』』

フゥとクゥのツッコミがすかさず入る!

ぴゅいきゅい『『にゃんこじゃないよね?』』

『違うね~』

『『おっきなおっきな』』

『『『トラさんだ~』』』


そう、鍛治神様の相棒


『俺は虎だぞ!』

「ふおおっとらしゃん!もふもふもふもふーっ!」きらきらきらきら

『お、おお?俺、なんか、すげぇ喜ばれてる?』

「もふもふもふもふーっ」きらきらきらきらっ

『あ、あれ?でもなんか、食われそう?なんであんなにキラキラ?』


空中から現れた大きな白い虎、神虎様

〖虎、お前、医神に殴られるぞ〗

『え?やだ⋯』

〖なにが嫌ですか。サーヤたちが驚いた拍子に怪我をしたらどうするのですか〗

『う、す、すまん。でも、なんか⋯』


「もふもふもふもふもふもふもふもふーっ」きらきらきらきら バタババタバタっ

『こら!サーヤ!食事中に暴れるんじゃない!』

『あらあらまあまあ、困った子ね~』


『俺の方が命の危機を感じるのは気のせいか?』

〖そうだな〗

〖⋯まあ、サーヤですから〗


おっきなおっきなもふもふに大興奮の小さな小さなサーヤに、なんだか押されるおっきなおっきな虎さん⋯


『普通、逆だよね~?』

ぴゅいきゅい『『うん』』

『『さすがサーヤ』』

『『『もふもふパワー』』』

みゃあ『さーにゃにゃんだからにゃ』

『仕方ないのだ』

ちびっこも悟りを開く⋯


とにかく、ヴァル様の相棒、虎さん登場です。

「もふもふもふもふーっ」

『こらっサーヤ!』

『あらあらまあまあ、仕方ない子ね』にこにこごごご


『あちゃ~お説教~』

ぴゅいきゅい『『けっていかな?』』

『『『『『ね~』』』』』



☆。.:*・゜☆。.:*・゜

お読みいただきありがとうございますm(_ _)m


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