第526話 神虎様、登場!

鍛治神様の食事にびっくりし、大きな虎さんにびっくりし、大騒動だった朝ごはん。


「おいち♪」むに

ほっぺ落っこちないかな?持ち上げとこう。

『そうか。良かったな!聖域の最新フルーツ、キゥイだぞ』


何とか落ち着きを取り戻し、デザートのヨーグルトを食べるちびっこたち。


鍛治神様と神虎様は

〖こうなったら奥の手です〗パンッ!

と、エル様が遮音と目隠しの魔法で、サーヤたちから隠されて


〖美味いな!おかわりっ〗ばくばくっ

『俺にも、肉!』はぐはぐっ


『『『はい!ただいまっ』』』


かいがいしく、おかみさんたちに給仕されて、ご飯を貪っています。



『キウイっていうの~?甘酸っぱくておいしいね~』

ぴゅいきゅい『『キレイなみどり~♪』』


『ヨーグルトに合うだろ?体にもいいんだぞ』


『『そうなの?』』

『『『いっぱいたべる~♪』』』


『あらあらまあまあ、気に入った?それならドライフルーツにしても美味しいから、あとで沢山作りましょう。おやつにもいいわよ』ふきふき

「ふにゅ」

おばあちゃんもサーヤのお口の周りをふきふきしながら、言うと


みゃあ『おてつだいするにゃ!』

『姫も手伝うのだ♪』

「さーやみょ!」

『『『『『おてつだ~い♪』』』』』

みんなもやるって!


きゅるるん『『『ほかのくだものも』』』

きゅるるん『『『『おいしい?』』』』

子ぐもちゃんたちが聞くと


『ええ。おいしいわよ。今あるものなら、りんごとか、いちごとか、ベリー類も大丈夫よ。あら、こうなるとフルーツビネガーも作りたいわねぇ』

おばあちゃん、唐突⋯。それでもおいちゃん


『おう、本格的に酢を作るかっ。今までレモン水で代用してたけど、やっぱり欲しいよな。米酢、穀物酢、りんご酢に⋯』

『あらあらまあまあ、黒酢を忘れないで。黒酢が一番体にいいわ。でも、サーヤたちでも大丈夫なようにまろやかなお酢にしないといけないわね』

『そうだな』

ちょっとした発言から着々と計画が進みます。


きゅるるん『『『ぼくたち』』』

きゅるるん『『『『いいしごとしちゃった?』』』』

きゅるる『そうみたい。さすが私の子供たち』

きゅるるん『『『えへへ』』』

きゅるるん『『『『やった~♪』』』』

うんうん。子ぐもちゃんたちのお陰だね!だけど


「どらいふるーちゅ、さき。れんこんみょ」

フルーツもいいけど、ついでにれんこんもお願いします。


『あらあらまあまあ、そうね。できることからしないとね。お野菜チップも作りましょう』

『ついでだから、食事用の野菜も干すか。味だけじゃなくて栄養価も上がるし、保存食にもなるしな』

『いいわねぇ、キノコはだいぶストックあるけど、この機会に切り干し大根とかも作りましょうか』

おお!どんどんおいしいの増えそう!嬉しいなぁ


『大根たくさんいるだか?』

『じゃあ、たくさん収穫しとくだよ』

『ほかにもあるだか?しゅうかくするだよ』

ぽぽちゃんたちも、さっそくお手伝いを買って出てくれてます。働き者です。


『『お手伝いします!』』

『わたしも!』

『おれも!』

美味しくて体にいいともなれば山桜桃ちゃんと春陽くんだけじゃなく、フゥとクゥも参加です。それに


『頭の中に、ジーニ様の〖絶対に作るのよ!〗って声がします!』メラメラ

フゥには今は天界にいるジーニ様の声が聞こえてるようです。

ガッツポーズして、おめめがメラメラです!


『あらあらまあまあ、仕方ないわねぇ』

『ぶれないわねぇ。あ、私たちももちろん参加するわよぉ。楽しそうだものぉ♪』

『はい。お母様。ゲンさんたちが作るものに間違いはありませんもの』

『是非、参加させて頂きますわ。かわいいサーヤちゃんたちと一緒にいられますし』はぁはぁ

『ニャーニャはリノ様見張るにゃ!お触りさせないにゃ』シャーッ

『酷いですわっ』

どんどん増えてます!


きゅるる『ねえ?凛さん、ゲンさん、柔らかいのはないの?』

『ん?』

『え?』

きゅるる『だって、干し椎茸とかカチカチじゃない?戻さないといけないでしょ?そのままでも柔らかいのないの?』


干してあるのに、やわらかいもの?

『『「⋯⋯」』』しーん


きゅるる『え?なに?この間』びくびく


「おいちゃん、おばあちゃん⋯」

柔らかくて干したもので、しかも甘くて美味しいの、サーヤ知ってるよ。


『そうだよ。なんで今まで忘れてたんだ?あいつを』

『あらあらまあまあ、本当よね。私たち全員大好きなのに』

そうだよね。なんで忘れてたんだろ?


きゅるる『あるの?しかもその反応は』ごくっ

『『『『『ぜったいおいしいやつ』』』』』ごくんっ

みんなが何かを察したようです。


『あるよ。ちょっと手間かかるけどな。それはな』

きっとあれです。黄金色に輝く⋯


『『干し芋!』』

「ほしいみょ!」

やっぱり~!そのままもいいけど、炙って食べたいな!更に甘くなるよね!じゅるり


『あらあらまあまあ、作りましょう。是非作りましょう!思い出したら無性に食べたいわ。そして、天界に送らないと』

おばあちゃんは、天界のおばあちゃんに食べてもらわないと味わえないもんね。沢山作らないと!

でも、サーヤはもうひとつ思い出しちゃった。干して、甘いの!


「さーや、ほしがきみょ、たべちゃい」

オレンジに輝く干し柿!

でも、まだ柿の木はないのです。


『作ろう』キリッ

『作りましょう!』キッパリ

「やっちゃあ!」バンザーイ!

おいちゃんもおばあちゃんも、干し柿大好きだもんね!


『うわあ、サーヤだけじゃないよ~』

ぴゅいきゅい『『おいちゃんとおばあちゃんも~』』

『おめめ』

『きらきら~』

『『『サーヤはもちろん』』』

みゃあ『おくちもきらきらにゃ!』

『ぜったい美味しいのだ!』


『『『すごそうなのだ』』』ごくり

ちびっこもぽぽちゃんたちも期待にキラキラ!


『絹、ナイスよぉ』

『素晴らしい情報を引き当てたようですわ!』

結葉様とリノ様が絹さんを褒めたたえてます。


きゅるる『それは良かった』

きゅるるん『『『おかあさん』』』

きゅるるん『『『『すご~い』』』』

きゅるる『ありがとう』にこ

絹さん親子、みんなしてファインプレー!


『うふふ。新しいの育てるなら任せてぇ』

『はい!いくらでも協力いたしますわ!』

『ニャーニャもにゃ!』

結葉様一家もやる気満々!


そんな周りの様子にも気づかず

『干し柿、最近じゃすっかり高級品だもんな』

『あらあらまあまあ、干し芋だって、本当に美味しいと思うものはお高いわよ。でも、ここなら』

『『確実に美味しいもの作り放題』』

『ふふふふ』

『うふふふ』


「ふ、ふおお~」

おいちゃんとおばあちゃんが、一番やる気満々!ちょっとこわいです。


『す、すごいわ。今回はサーヤより』

『ゲンさんと凛さんの方がやる気だ』

『サーヤちゃんが引いてます』

『ということは?』


〖〖大人の味か?〗〗

『『『『うわあっ』』』』

山桜桃ちゃんたちと、フゥたちの背後ににゅっ!とエル様とヴァル様登場!


『『『『び、びっくりした⋯』』』』

〖ふっ。もう大丈夫そうだったからな〗ぽんぽん

『『あ⋯』』

〖ふふ。鍛治神、安心しましたか?〗

〖ああ。安心した。まだまだ甘えていいけどな〗ニカッ

〖それは同感です〗


『山桜桃ちゃん、春陽くん 』

『良かったね』

『『はい』』

エル様が、ヴァル様は怯えてる子の背後からは声をかけないって言ってたもんね。


『俺は肉がいいんだけどな』のそっ


「ふわああああっ」もふもふ~っ

『『あっ』』

『『サーヤちゃんがっ』』


のそっとやってきた大きな大きな虎さん。サーヤはもう釘付けっ!

でも、今回は⋯

『サーヤ?』

『あらあらまあまあ?サーヤ?』

神虎様に気づいたおいちゃんとおばあちゃん。サーヤをじろっと⋯


「あ、あい」

とたんに大人しく?


『お?なんだ?急に大人しくなったな?』

さっきは食べられそうだったのにと、意外そうにする虎さん。


『サーヤ、まずは?』

おいちゃんに促されて、

「とらしゃん、はじめまちて。さーやでしゅ。よりょちくおねがいちましゅ」ぺこり

まずはちゃんとごあいさつ。


『おう!俺は神虎。普段は虎(トラ)って呼ばれてるな。よろしくな!愛し⋯違うな、サーヤ!会えて嬉しいぞ!』ガウッ

しっぽもご機嫌に揺れてます。虎さんも、ヴァル様に控えていた時に、サーヤが、愛し子ではなく、「サーヤ」と呼んで欲しいのを聞いていたのだ。虎さんも完全な脳筋ではなかった。


「あい!よりょちく!」きらきら

サーヤの目が安心したのか

またキラキラ!でも

『サーヤ?』

今度はおばあちゃんに釘を刺されて


「あにょ、あにょね?」もじもじ

『ん?なんだ?』

「もふもふ、しゃわっちぇい?」きらきら

もじもじからのキラキラおめ目でお願い!

『うっ!』よろり


おばあちゃんに、もふもふさせて欲しいなら、ちゃんとお願いしてからにしなさいと、真面目に教えられたサーヤ。

『大丈夫。ちゃんとお願いしますしたら触らせてもらえるわ。練習しましょう』

「あい!」

そして、今それは実行された!


『うっ』よろり

顔を赤くしてよろめく神虎様

「ぢゃめ?」うるうる

『おおお、ダメなんかじゃないぞ!いくらでもいいぞ!』

「やっちゃあ!」

『あらあらまあまあ、良かったわね。サーヤ』にっこり

「あい!」

おばあちゃんのおかげです。


『あ、あれはずるいだろ』真っ赤!

〖ワハハ!やられたな!虎!〗

〖かわいいサーヤにお願いされたのです。当然ですよ〗

サーヤはおばあちゃんにオネダリを仕込まれた!


「う?」

何がずるいのかな?

『あらあらまあまあ、いいのよ。サーヤ』

サーヤは気づいてないけど。


『こほん。それじゃ、外行くか?どうせならみんなまとめての方がいいだろ?』

「う?」

どういうこと?


〖サーヤ、こいつはな、これでもまだ体を小さくしてんだよ〗

「ふえ?」

ぴゅいきゅい『『そうなの?』』

『お父さんくらいあるよ~?』

そうです。今でも大っきいです。ギン様より大きいよ。


『おう。俺は神獣の中でも古参だからな。ほら、そこのエンシェントドラゴンだってでかいだろ?フェンリルは俺たちに比べると、まだまだ若い種族なんだよ。だから、でかくなるのはこれからだ』


「ほえ~」

『そうなんだね~』

ぴゅいきゅい『『びっくり』』


『わはは!そうだろ?さあ、そんなわけで、ちびっこども、外行くぞ!俺様の毛皮は最高だぞ?』ニヤリ


「わ~い!」

『ぼくたちもいいの~?』

ぴゅいきゅい『『ほんと~?』』


『おう!天界でも俺は人気なんだぞ!』


『い、いえ、神虎様、そんな』

今まで大人しくしていたギン様が慌てて止めようとすると


〖ギン、大丈夫だぞ!虎も俺と一緒にちびっこの相手してるからな!慣れたもんだぞ!〗

全く問題ないとヴァル様が止めました。

『そ、そうなのですか?』

〖ええ。本当ですよ。最初はおっかなびっくりな子たちも、ひと撫でしたとたんに飛びついてますからね〗

エル様も太鼓判

『そうですか』ほっ


ギン様、神獣様の登場にかなり恐縮してるみたいです。


『んじゃ、行くぞ!』


ふわり

「ふおおおお?」

ふわふわ ぽすんっ

「ふわああああっ」

ぼふんっしゃかしゃかしゃかしゃか

「もふもふもふもふ~♪」

すごいすごいっ!


『わはは、くすぐったいぞ』ゆさゆさ

「ふわわっきゃはははっ」ゆさゆさ


『あらあらまあまあ、さすがね~』


サーヤがふわりと浮かんで、ふわふわと虎さんの背中に!

虎さんの魔法です!

そして、サーヤはとたんに大きな背中をしゃかしゃか埋もれながら泳いでます!

虎さんも慣れたもので、わざと体を揺らして落とす真似をしますが、ぜったいに落としません。サーヤもご機嫌!


そのまま後ろにハクたちちびっこを引き連れて外へ!


『あらあらまあまあ』

『ほんとに慣れてるな』

〖だからそう言っただろ?そうだ、ギン。それからアルコン〗


『は、はい』

『なんだ?』


〖主神から伝言だ。〖虎を鍛治神に同行させるよ。この機会に虎から神気の扱いを学ぶように〗だとよ〗


『⋯っ、かしこまりました』

『了解した』


神虎様の登場で、ギン様とアルコン様の修行も始まるようです。


☆。.:*・゜☆。.:*・゜

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