第524話 おなかへっちゃ

「きゅるきゅる~るる~」

「「ぽんぽん~へっちゃ~」ゆっちぇりゅ」

サーヤのぽんぽんの虫さんは朝から元気です。

「きゅるる~」

元気すぎです。


〖わはは!解説なくても分かるな!んじゃ、食堂行くか!〗

ギシッ

「ふおう?」

急にヴァル様が立ち上がると

「ふおお~っ、ちゃかいちゃかいっ!」

グンッと、景色が変わりました!すっごい高いです!天井が近いです!


『うわ~鍛治神様、おっきいね~』

ぴゅいきゅい『『しゅごいね~』』

『『サーヤのおしりしか』』

『『『みえなくなっちゃった~』』』

ちびっこたちもびっくりして見上げてます。


〖ん?おお、お前たちもヴァルでいいぞ!これからは俺も友達だからな!〗ニカッ


『ヴァル様~?分かったよ~』

ぴゅいきゅい『『ヴァルしゃま、おっきい~』』

『『天井ぶつかっちゃいそうだね』』

『『『すごいね~』』』

みゃあ『ヴァルさま、ココロ、かたにのってみたいにゃ!』

『姫もなのだ!』

きゅるるん『『『ぼくたちも~』』』

きゅるるん『『『『のりた~い』』』』

ちびっこたちが次々にヴァル様に乗りたい!と言い始めました。すると、


〖わはは!いいぞ!ハクだって乗せられるぞ!みんなまとめてかかってこい!〗

『え~ぼくも~?この大きさのままで~?』

〖おう!大したことねぇぞ!俺の相棒はもっとでかいからな!〗


「ふにゅ?」

『相棒~?』

ぴゅいきゅい『『でっかい?』』

でっかい相棒?だれ?どこいるの?


〖おう!呼ぶか?おー⋯〗

『〖ちょっと待った!〗』


「ふおっ?」

なになに?おっきな声?


〖なんだよ。医神にゲンまで〗

おいちゃんとエル様から待ったがかかりました。どうしたんだろね?


『〖なんだよ〗じゃないだろ、鍛治神様。相棒っていったら』

〖あいつしかいねぇだろ?〗

『だろ?』

〖馬鹿ですか、あなたは。あんなデカいのこの部屋で出す気ですか。ああ、脳筋でしたね〗

〖脳筋脳筋言うなって言ってるだろ。まあ、確かに、ここじゃ狭いな。んじゃ、外行くか〗

『『ちょっと待った(ぁ)!』』

「ふお?」

また?今度はおばあちゃんと結葉様?


『ジーニ様とシア様からぁ、何気にサーヤのお世話お願いねってぇ、頼まれちゃったからねぇ』

「しょっか~」

頼まれたのか~


『あらあらまあまあ、鍛治神様、サーヤそのまま連れていくおつもり?』

『だめでしょぉ?着替えなきゃあ。フゥと山桜桃が言えなくておろおろしてるわよぉ』

『『え、えっと』』おろおろ


〖ん?そうか、このグルグルじゃ確かに食えないな。天界樹が飼ってる天蚕がつくる繭みたいだもんな〗

「まゆ?おかいこしゃま?」

〖そうだぞ。でっかい蚕なんだぞ。サーヤの十倍位あるぞ〗

「ふお~おっきい」

〖俺が持ってきた土産のほとんどに使われてるはずだぞ〗

あれ?お蚕様からとれるということは?


きゅるる『え?高級品?』

『あらあらまあまあ?確かにこの手触りは⋯』


〖ん?よく分からんけどな?天界で一番の糸を出すって言ってたぞ。良かったな!〗


「ふ、ふおお」

じゃあ、これは

きゅるる『この世界一の⋯』

『絹ってこと?あらあらまあまあ⋯』

や、やっぱり絹?シルク?さすがに絹さんとおばあちゃんの顔つきも変わっちゃったよ。


〖ああ、あの子ですね。確かに、最上級の糸を出しますが、絹だけではなく、色々な糸を出せたはずですよ。こちらの絹の上位版みたいな感じでしょうか〗

〖そんな感じだな!わはは!〗

言葉が足りないヴァル様の説明をエル様が足してくれました。


「ふおおお。さーや、いみゃ、ちょーこーきゅーいちごくりぇーぷ」ぷるぷる

汚せません!動けません!こわこわ


「おばあちゃん、さーや、きがえにゃきゃ。だいじちにゃいちょ」ぷるぷる

バチあたっちゃうかも。こわこわこわ


『あらあらまあまあ、サーヤ、そうね、大事と思うのはとってもいいことだけど、恐らく着てあげて大丈夫よ。せっかく作ってくれたのだし、たくさんあるし。いかがかしら?エル様』

そ、そうなの?エル様


〖ええ。大丈夫ですよ。例のごとく、汚れも破けもしない魔法がかかってますから、遠慮なく着てください〗にこ

「しょ、しょっか~。よかっちゃ」ほっ

傷つけたら大変だったよ。


〖何だ、そんなこと気にしてたのか?ばんばん使ってやれ。なんかな?絹ってのは、肌だけじゃなく髪にもいいんだろ?だから枕カバーとか、ナイトキャップとか言ったか?それも入ってるから使ってくれって、天界の凛に言われたぞ。パジャマと一緒にみんなの分もあるらしいからな〗


「ふお~おおばんふりゅまい」

すごい~絹のパジャマセットだって!今のおばあちゃんのパジャマとかわりばんこに着なきゃ!


「てんかいにょ、おばあちゃんちょ、てんかいじゅしゃまちょ、えちょ」

〖工芸神と、お針子たちだな〗

「みんにゃ、あいがちょ」

〖おう!戻ったらちゃんと伝えるな!〗

「あい!」

お願いします!

「きゅるる~」


しーん


「ふお~ぽんぽん」

虫さんが⋯

〖わはは!そうだったな!じゃあ、フゥ、山桜桃、サーヤを着替えさせてやれ!〗

『『は、はい!』』

屈んでサーヤを渡すと


〖よし、廊下に出ろ!ちびっこ!みんなまとめて運んでやるぞ!〗ニカッ


『ほんと~?ぼくも~?』

〖おう!肩車でも抱っこでも大丈夫だぞ!その代わり、飯食う部屋まで案内頼むな!〗ニカッ

『うん!じゃあ~ぼく肩車がいいな~』

〖おう!任せろ!〗

『わ~い!』ぴょんぴょん

ぴゅいきゅい『『いこーいこー!』』

みんながヴァル様に飛びつきます。


『ハ、ハクっ』

『モモ、スイっ』

神にそんなことをと止めようとするギン様とアルコン様、だけど


〖大丈夫ですよ。天界でも日常茶飯事ですから。ああ見えて子ども好きで、天界の子どもたちや、保護した子たちもよくああやって遊んでるんです〗


「ふお~やしゃちい」

『ヴァル様は~優しくて力持ちさんなんだね~』

ぴゅいきゅい『『にんきもの~♪』』

〖ん?そうか?そりゃ嬉しいな!んじゃ行くぞ~〗

『『おー!』』

『『『しゅっぱーつ!』』』

みゃあ『しんこーにゃ!』

『きゃはは♪ハク、肩車というより襟巻きみたいなのだ!』

『そう~?』

たしかに、肩に巻き付くみたいになってるね。すごいな~。


みんなでヴァル様の背中を見てると、春陽くんと山桜桃ちゃんが

『あ、そう言えば、ぼくたちより小さい子たちも』

『遊んでもらってました』

って、思い出してくれました。


〖山桜桃と春陽は、保護した時かなり怯えてましたからね。いきなり触れ合って怖がらせないように、あれでも気を使ってたのですよ。でも声は何度かかけられたでしょう?〗


『『は、はい』』


〖怯えてる子の背後からは決して声はかけませんしね。脳筋ですが、完全な脳筋ではないのですよ〗


『『はい!』』にこっ


なんやかんや言いながら、エル様もヴァル様を認めているようです。そして、この話を聞いて


『『『さすが鍛治神様だな』』』

『『『やっぱり素晴らしいね』』』

いちごサーヤと鍛治神様のギャップに戸惑っていたドワーフさん達が感激して涙していた。


『あらあらまあまあ、子供に好かれる神様なんて素敵ね』

「あい。でみょ、かみしゃま、みんにゃ、やしゃしい」

『そうね。この世界の神様はみんな優しいわね』

『そうですね。神様みんなすてきです』

「あい!」

〖ふふ。ありがとうございます。さあ、サーヤも着替えましょうね〗

「あい」


おばあちゃんとフゥがサーヤを着替えさせてくれてます。

山桜桃ちゃんはヴァル様の分も増えたからって、食堂に先に行ってもらったよ。

今日は天界のお土産に入ってた天蚕ちゃんお洋服。ヴァル様に聞いたばっかりだし、選びました!

天蚕ちゃんは白いイモムシにも見えます。フードにはかわいいおめ目が付いてます。


『天界のお蚕様はずいぶんと丸っこいのね?かわいいわ。日本のお蚕様はちょっと細長いから、こんなにかわいい着ぐるみになるかはちょっと微妙よね』

『そうなんですか?これは、くりくりのおめ目がかわいいですね。段々になったおなかもぽっこりでかわいいです』ぷにぷに

「ぽんぽん、ぷにぷに♪」つんつん

『ほんとね。なんかクセになりそう』ぷにぷに

「にぇ」

フゥと一緒にお腹つんつんぷにぷにしちゃいます。

あれ?

「じーにしゃま?しあしゃま?」きょろ

いつも新しいお洋服の時はかわいい言ってくれるのに、今日はいません。

「いにゃい?」きょろきょろ


『あらあらまあまあ、気づいちゃった?あのね、ジーニ様とシア様は一度天界に戻ったのよ』


「かえっちゃっちゃ?」じわぁ

おばあちゃんが教えてくれました。でも、もう会えない?


『大丈夫よ。何日かで戻って来るわ』

「ほんちょ?」ぐすっ

帰ってくる?


〖ええ。大丈夫ですよ。魔神とシアにはちょっと用事を頼んだんです。それに、そろそろあの二人に会えないことに泣き出しそうなのがいますからね。バートの仕事を増やさないためにも一度帰ってもらったんですよ。それで代わりに暑苦しいのが来たのです。暑苦しすぎて二人分の存在感がありますからね〗ふぅ~

エル様、いくらイル様の看病に行ったのを誤魔化すためとはいえ、すごい言い方⋯


「しょ、しょっか~」

あはは⋯

『あらあらまあまあ、すごい言われようねぇ』

そうだよね。でも、それなら仕方ないね。イル様もジーニ様たちと一緒にいたいもんね。ジーニ様たちいつもサーヤといてくれてるんだから、ちょっと我慢しなきゃ。


「いりゅしゃま、じーにしゃまちょ、しあしゃまちょ、ゆっくりしゅりゅ」

『そうね。たまには家族団欒も必要だものね』

「あい!」

家族みんな仲良し大事!


〖ふふ。それでは、食堂に行きましょうか〗

「あい!」

「きゅるる!」

『あらあらまあまあ、思い出した途端に。ずいぶんゲンキンなお腹の虫ね』

『サーヤですから!』

『あらあらまあまあ、それもそうね』

「ぶー」

フゥとおばあちゃんがひどい~


〖まあまあ、さあ行きますよ〗

「あい!」

「きゅるる!」

ごはんごはん♪



☆。.:*・゜☆。.:*・゜

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