第508話 バイバイ。またね。


おいしいバーベキューの翌日


「······」ぎゅうう

うりゅうりゅうりゅうりゅ


『サ、サーヤちゃん』


『『『『『······』』』』』むぎゅうう

うるうるうるうる


『ハクたちまで』


『『『『『「······」』』』』』ぎゅうう

うるうるうるうる



「てんがしゃん、あいしゃん、みんにゃ⋯」ぐす

『みんな行っちゃうの~?』

ぴゅいきゅい『『なかよちなれたのに』』

『『寂しくなっちゃうよ』』

『『『いかないで?』』』

うるうるうるうる


眼をうるうるさせた、サーヤたちちびっこ達が、いよいよこれから里に帰る天河さん達のあんよに、ぎゅううと張り付いて、行かせないようにしてます。


『そ、そう言ってくれるのは嬉しいけど、そうは言ってもね?』

『俺たちは帰らなきゃなんねぇんだよ』


うるうるうるうる

そんなぁ~まだあんまりここに居ないよ?


『う、そうなんだけどな?』

『でもほら、また会えるからね』


みゃあ『ほんとにゃ?またあえるにゃ?』

ここまでがまんしてたココロがポロポロ泣いてます。


『ほんとだよ。だからほら、みんな泣き止んどくれよ』

『参ったな⋯』


ちびっこたちのうるうる攻撃に、後ろ髪引かれる思いの天河さんたち。どうしたものかと困っていると


『ほら、サーヤたち、無理言ったらダメだろ。また会いに来てくれるって言ってくれてるんだから』

「うにゅ~」

みゃあ『でも~またって、いつにゃ?』

ほんとにまた来てくれる?おいちゃん、ウソじゃない?


〖サーヤ、みんな、大丈夫ですよ。そうですね、天河たちがちゃんとやっているか、定期的にテストをするというのはどうですか?〗


「てすちょ?」こてんっ


『『『えっ!?』』』ぶるっ

『『『テスト!?』』』ぶるっ


みゃあ『てすとって、なんにゃ?』こてんっ


事態を見守っていたエル様が、突然テストすると言い出しました。訳が分からないサーヤたちはきょとんとしてますが、当事者の天河たちは、なんだか震えています。


〖そう。テストですよ。時期は後ほど考えるとして、定期的にこちらに来ていただいて、実力を確認するのですよ〗にこっ


「ふお~」きらきら

みゃあ『テスト、にゃんかわからないけど、すごいにゃ』きらきら

『『『『『『⋯⋯』』』』』』ぶるぶる


エル様、頭良い~っと、純粋に感動するサーヤに対し、絶対何か裏がある!と、震える天河たち。


〖おや?天河たちは何かご不満でも?かわいいサーヤやココロたちは、大好きなあなた達に会えて嬉しいでしょうし、親方たちもあなた達に会えて親孝行もできますよ。それに何より⋯〗ふっ


『『『⋯⋯』』』がくがく

『『『な、何より?』』』ぶるぶる


〖聖域を離れても、毎日毎日、きっと、鍛錬を続けてくれるでしょう。テストで確認する度に、きっと強く逞しくなってくれるはずですよね?きっと、何倍も。新しい魔法や、鍛治も新しい技法なども習得してくれるのではないですか?きっと。ですよね?〗にいっこり


『『『は、はい』』』がくがく

『『『そ、そうですね』』』ぶるぶる



「ふ、ふおお?」

みゃあ『な、なんにゃ?ちょっとこわいにゃ?』

震え上がる天河さんたちに、にこにこで〖きっと〗を連発するエル様にようやく、何かおかしいと気づいたサーヤとココロに


『しぃ~。サーヤ、ココロ、これはきっと~』

『『気づかなかったことにするのが正解だよ』』

ぴゅいきゅい『『くうきになるの』』

『『『おくち、ちゃっくだよ』』』

『気配を消すのだ』

フゥやジーニ様のおかげで、いち早く空気になることを覚えたハクたちがサーヤとココロに教えている。


「あ、あい」

みゃあ『わかったのにゃ』

二人でお口を両手で隠してチャック!



〖ふふ。楽しみですね〗にいっこり


『『『は、ははは』』』

『『『がんばります⋯』』』


うん。がんばって!


『そ、そういや、親父たちがやけに静かだよな?』

『そうだね、おかみさんたちも、心なしか、なんか』

『『『『『『くたびれてる?』』』』』』



そう。いつもなら豪快に笑って、バシバシ肩とか、叩いてくる親方たちが、なんだか


「げんきにゃい?」

みゃあ『ないにゃ?』


下向いて、なんか静かです。


『気にすんな』

『そうだな』

『次は俺たちってだけだ』

『そうだよ』

『ここに住んでる私らには』

『期限はないしね』

気にするなと言いながら、ずーんって空気がのしかかってるのが分かります。一体何が?


『あ~、気にするな。私たちも含め、この後、改めて修行が決まっているんだ』

『おとうさんも~?』

ハクが説明してくれているギン様に聞くと

『そうだ。アルコン様もだな』

ぴゅいきゅい『『おとうしゃんも?』』

『ああ。そうだな。どうやら、我らも新しい魔法が覚えられるらしいのだ』

『そうなの~?』キラキラ

ぴゅいきゅい『『すご~い』』キラキラ


『『うっ』』

こちらもキラキラ攻撃!


『これは、頑張らねばなりませんね』

『そうだな。まさか、この年で新しい魔力が生えるなど思いもしなかったしな』

子どもたちのキラキラ攻撃で、子どもたちにかっこ悪いところは見せられなくなったお父さんたち。

頑張ることにしたようだ。


〖ふふ。サーヤたちも、魔法の練習増やすわよ~。今まで天河たち優先になってたからね〗

ジーニ様が楽しそうに言います。


「あい!」

みゃあ『がんばるにゃ!』

魔法楽しいから頑張るよ!


『そうだね~。あ、それなら~天河さん達と競争したらいいんじゃないかな~?』


「うにゅ?」


『『『俺たちと』』』

『『『競争?』』』


ハクからの思わぬ提案にみんなが反応しました。


『そうだよ~。この位がんばったんだよ~って、次に会った時に見せっこするの~。そうしたら、みんな頑張れると思わない~?』にこにこ


「ふおお~」

ハク、すご~い

『ハク』

ギン様はびっくり


〖ハク、あなたほんとに賢い子ね。えらいわ〗むぎゅう~

ジーニ様が感激してハクを抱きしめてます。

『えへへ~そうかな~?』

うん!ハクすごい!


『そうだな。ハクの言う通りだな!』

『そうだね。そうとなりゃ、負ける訳にはいかないね!』

『おう!息子共!見てろよ!』

『まだまだ、あんたらには負ける訳にはいかないからね!』

『お前たちがまだまだだって、思い知らせてやらないとな!』

『そうだね。実力と経験の差ってもんを分からせてやらないとね!』


おお!親方たちが急に元気になった!


『なにおう!?』

『思い知るのはそっちだからな!』

『若い分俺達には伸びしろってもんがあるからな!』

『私らも負けてられないからね!』

『必ず、ギャフンと言わせてるんだから』

『今から覚悟しといとくれ!』


おおおっ!天河さんたちまで元気になった!


『ガハハハ!』

『やれるもんなら』

『やってみな!』


『おう!』

『覚えてろよ!』

『必ず吠え面かかせてやるからな!』


おおおおっ!ガハハハ笑いも戻ってバチバチです。それじゃあ


「さーやみょ!さーやみょがんばりゅ!」はいはい!

みゃあ『ココロもにゃ!』ぴょんぴょんっ

『ぼくだって~』

ぴゅいきゅい『『まけないよ~』』

『『がんばる!』』

『『『しょうぶだ~』』』

『きゃはは!負けないのだ!』

ハクのおかげで、みんなやる気満々!元気になりました。


『ハハハ!そうだな。俺たちも負けないからな!それじゃ、俺たちそろそろ行くよ』

『親父ども、覚悟しとけよ』

『世話になったな』

『エル様たちもありがとうございました』

『アイナ様、ニャーニャ、たまには帰って来なよ』

『サーヤちゃんたち元気でね』

天河さんたちの前にドワーフロードが開きました。しばらくお別れです。


『そっちこそ覚悟しとけよ!』

〖鍛えるのを怠らないように〗

〖まあ、気をつけて、元気でね〗

『また来いよ!』

『里の皆様によろしくお伝えくださいませ』

『留守番よろしくにゃ』


「まちゃにぇ~」

みゃあ『また来てねなのにゃ』

『元気でね~』

『『『『『バイバ~イ』』』』』


みんなで手を振ってバイバイすると、天河さん達も手を振りながら、『またな』って光のトンネルの中に消えちゃいました。


またね!サーヤたちも、練習がんばるからね!


☆。.:*・゜☆。.:*・゜

お読みいただきありがとうございます。

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