第484話 工房にお客様ご案内~♪

魅惑のコタツ騒動がありながらも到着しました、ドワーフさん達の工房。その扉の前では


コンコンコン

「こんこんこん。はいっちぇましゅか~?さーやでしゅよ~。おきゃくしゃみゃ、ごあんにゃい~」

お客さんですよ~


『サーヤ、違うだろ⋯』

『あらあらまあまあ⋯これも練習しないといけないわね』

「うにゅ?」

なにか間違ったかな?


『『『ぶふっ』』』

『『『あははは』』』

「うにゅ?」

お客さん、何ですか?


『なるほど。いつもそうやってたのか』

『サーヤは口で言ってただけだったんだな』

『ドア叩いてたのはハクだったのか』

『『『息ぴったりだな』』』

親方たちが感心してます。


「あい!しょだよ~」

『あのね~サーヤだとおてて届かないからね~ぼくがお手伝いしてるんだ~』

「にぇ~♪」

『ね~♪』

ハクはサーヤのやりたいこといつも気づいてくれるんだよ~♪すごいんだよ♪


ぴゅいきゅい『『モモとスイもできるのに~』』

「ん~」

モモとスイは~

『モモとスイはドア壊しちゃうから~』

ぴゅいきゅい『『ぶー。もうこわさないもん!』』

前に木の板で練習したら、強く叩きすぎて粉々になっちゃったんだよ。


『そうかそうか』

『仲良しだもんな』

『ハク偉いな』

親方たちが褒めてくれました。

「『えへへ~♪』」


『モモとスイは次がんばれ』

『次までにドア補強しとくからな』

『専用ノッカーつけてもいいな』

ぴゅいきゅい『『うん!ありがちょ!』』

「ふお~やっちゃにぇ」

『じゃあ~、次はお願いね~』

ぴゅいきゅい『『うん!』』


『すまんな。親方たち』

『ワハハハ!気にすんな!アルコン様!』


そうこうしてると、ギーっとドアが開きました。


『サーヤちゃんにハクちゃんたちもいらっしゃい』

「こんにちゃー。おきゃくしゃみゃでしゅよ~」

『おかみさん、こんにちは~。みんなで来たよ~』

『ん?みんな?』

おかみさんがようやくサーヤたちの後ろを見て、みんながいることに気づきました。そして、息子さんたちを見て一言


『おやまあ!なんだい!あんたら!』

三言だった?


『お、お袋?』

『お、おかみさん?』

『『う~ん⋯』』バタンっ


「うきゃーっ」

『またバタンしたーっ』

ぴゅいきゅい『『ちっかりーっ』』

親方の息子さんがまた倒れました。しかも今度は奥さんも一緒に。


『あん?なんだい?人を化け物みたいに。失礼な息子共だねぇ』

『こいつら、俺たち見た時にも倒れたんだぞ』

『あの時倒れたのは息子共だけだったがな』

『情けねぇよな』

おかみさんが倒れた息子夫婦を見下ろしながら、『あー、情けない』とボヤくと親方たちがさっきのことをバラします。


『なんだい?それじゃ尚更情けないじゃないかい。若返ったのが男衆だけなわけないじゃないか』ふんっ


『『ご、ごもっともです』』

『『も、もう驚きません』』

残ったドワーフさんたち、大丈夫かな?


『まったく、まあ、お入りよ。って、入り切るかね?ジーニ様達まで勢揃いじゃないかい』

おかみさんの目が工房の中とジーニ様を行ったり来たり。

そりゃそうだよね。精霊さんたちまで来ちゃったもんね。


〖任せなさい。拡張してあげるわよ〗バチンっ

ジーニ様がウインクして任せなさいって。そうだよね、お家もジーニ様のおかげで食堂とかとっても広いです!


『ほんとかい?そりゃ、助かるねぇ。何しろみんな張り切りすぎちゃってね?今、すごいことになってるんだよ』

〖え?〗

「ほえ?」

すごいこと?どんなこと?って、思ってたら、


しゅるるる

「ほええ?」

なに?なに?

『え?サーヤ~?』

ハクも何が起きたか分からないみたいです。


ぴゅいきゅい『『わあっ』』

『サーヤが』

『ぐるぐる巻きーっ』

双子とフルー、フライが叫ぶと部屋の中から絹さんが現れて


きゅるる『サーヤ、ちょうどいい。試着、こっち』

しゅるるるんっ

「ふみゃあっ?」

なに?なに?世界が回る~?


『わーっ』

『サーヤが』

『とんだーっ』

今度は妖精トリオが叫びます。

『あらあらまあまあ、フィギュアスケートのスロージャンプみたいね』

『凛さん⋯確かにそんな感じだけどな?』

「ふにゃあ~」


きゅるる『さあ、サーヤ、来る』

「ほえ~?」

くる?くるくる?おめ目が回る~う

絹さんはサーヤを抱っこして、そのまま中に行っちゃいました


みゃあ『きぬさんにさらわれたのにゃ!』

『サーヤを助けるのだ!』

『『『『『うん!』』』』』

と、サーヤを心配して部屋に飛び込もうとするちびっこたちを


〖まあまあ、みんな落ち着いて?ココロも姫も。とりあえず、中に入りましょう〗

ジーニ様が落ち着かせてから、先に中に入りました。すると、中から


〖きゃーっ〗

そのジーニ様の悲鳴がっ


『な、なんだなんだ?』

『あらあらまあまあ?』

『サーヤ~?』

ぴゅいきゅい『『じーにしゃま?』』


それまで大人しくしてたおいちゃん、おばあちゃん、ハクたちもさすがにジーニ様の悲鳴に驚いて中に飛び込みます。すると


〖きゃーっ!いや~ん!可愛い~♪〗


ずべっと、コケる一同


『な、なんだよ。ジーニ様紛らわしいな』

〖お母様、まずお母様が落ち着いてください〗

いつもなら一緒に可愛いと騒ぐシア様まで今回は引いてます。


『あらあらまあまあ、でもこれは、たしかに』

『『『『『すご~い』』』』』

『本当ですわね』

『すごいにゃ』


辺り一面、洋服だらけ!しかも全てサーヤの!

中でも目を引くのが


『あ~ぼくだ~』

ぴゅいきゅい『『スイとモモの!』』

『『ぼくたちもある~』』

『『『すご~い』』』

みゃあ『みんないるのにゃ!』

『姫パンツなのだ!』

そう!一枚一枚ハンガーに吊るされこちらに特大笑顔を向けているのはサーヤのパンツ!見せパンたちだ!どどん!!


『お、オイラたちまで』

『兄ちゃん、おいら、つくし持って笑ってるだ』

『わたちは、なずなもってわらってるだよ』

もちろん、ぽぽちゃんぱんつは、たんぽぽを持ってます。


見事なかぼちゃパンツたち。


『毎日日替わりで履けるな⋯』

『あらあらまあまあ、それ以前に全部着る頃にはサーヤが大きくなってるんじゃないかしら?』

『たしかにな』

部屋中、パンツ以外にも洋服や、なぜか着ぐるみまで。


そして、サーヤが今着せられてるのは


〖あ~ん♪私とお揃い~♪可愛い可愛い可愛い~♪♪〗

そう、ジーニ様の壊れ具合がいつも以上なのは


「ほえ~?さーや、まじょしゃん?」

そう。あれよあれよと全身ひん剥かれ、あっという間に着せられた洋服は、ジーニ様ミニチュア仕様。


今日のジーニ様と同じ、黒い大きなつばのお帽子。

尖った襟が大きめに開いた真っ黒なワンピース、肩口にはレースのエンジェルスリープ。違うのはスカート。ジーニ様はタイトなスカートに深いスリットが入った女の敵!なドレス。サーヤのスカートは膝丈のフレアスカートに黒いかぼちゃパン『ドロワーズと言っとくれ!』⋯ドロワーズ。

靴もジーニ様みたいな女王様な靴は履かせられないので、

可愛いレースの折り返しのショートブーツ。

そして、なぜか黒猫のぬいぐるみをいつものサーヤの白いポシェットにくっつけてある。

「くりょい、ねこちゃん?」

きゅるる『だって、魔女と言ったら、黒猫って、凛さん言ってた』

「にゃりゅほぢょ~」

可愛いから大丈夫~♪

きゅるる『ぬいぐるみだけじゃない』

「う?」

そう言うなり、サーヤのスカートを絹さんが急にペロッとめくると、

きゅるる『おなか側にはポケットになった黒猫』

「ふおお」

にっこりにゃんこ!銀色の縁どりです!

きゅるる『おしりのクッションにも黒猫』

『ふおっ?』

なんか、ニヤッてしたにゃんことおめ目が合った?

きゅるる『クッションの調整は親方待ちだった』

「ふおお~」

すごい~


『スイちゃんにモモちゃんもサーヤちゃんの肩のベルト掴んでみとくれよ』

ぴゅいきゅい『『らじゃーっ』』

おかみさんが双子に頼むと双子はピシッと敬礼して、パタパタとサーヤの両肩に。


『⋯凛さん、また仕込んだろ』

『あらあらまあまあ?なんのことかしら?』ぷひゅ~


ぴゅいきゅい『『よいちょよいちょ』』ぐぐぐぐっパタパタ

「ふおお」

ちょっと浮きました。

ぴゅいきゅい『『ふい~』』

「ふお~」

戻りました

ぴゅい~『だいじょうぶだけど~』

きゅい~『ちょっといたい~?』

双子が手のひらに着いた赤い線をみんなに見せます。


『なるほど、ひっぱると細くなるから、手に食い込むんだね』

『痛いのはダメだよ。これは何とかしないとね』

『いかにデザインを壊さずにするかだね』

『『『う~ん』』』

と、悩み始めちゃったおかみさんたち。

改善の余地ありってやつみたいです。


きゅるる『それで、親方、どこ?』

ん?どことは?何が?

『ん?ああ、羊毛な。インベントリの中だぞ。しかし、どこに出すよ?足の踏み場もないぞ』

そうなのです。お洋服とか、布とかあっちにもこっちにも。置き場がありません。


〖お母様、サーヤとお揃いで嬉しいのは分かりますが、置き場を作って差し上げないと、サーヤの他の可愛い姿が見られませんわよ?〗

シア様がそう言うと、ジーニ様は


〖ハッ!そうよ!サーヤのより可愛い姿のため!任せなさい!〗パチンっ!


『うわぁ!なんだなんだ!?』

『ちょっとちょっと!』

『やりすぎだよ!』

『こんな広くしてどうすんのさ!?』

きゅるる『異空間?』

「ほえ~?」

親方とおかみさんたちが突然の出来事に驚き、絹さんは見たまんまを口にしてます。

そうさっきまでお洋服で溢れてた部屋の周りに、おっきな真っ白い空間が!はしっこどこ?出口どこ?


〖お母様⋯〗はあ⋯

シア様は眉間を揉みほぐしながらため息

〖魔神、何事にも限度というものがあると言うことをお話しましょうか?〗ニコッ

エル様が笑顔で言うと


〖あ、あら?おほほほ。つい、力が入りすぎちゃったわ~。このくらいでいいかしら?〗パチンっ


お部屋がまた変わりました。


『よ、良かったぜ』ほぅ⋯

『自分たちの工房で遭難したかと思ったよ』

『真っ白な世界って恐ろしいんだね』

『私ゃ天に召されたかと思ったよ』

親方たち、どっとお疲れ⋯


きゅるる『ちゃんと木の部屋。良かった』

「しょだね~」

今度はちゃんと最初の木のお部屋が三倍位かな?広くなりました。こっちの方が落ち着きます。


『良くねぇよ』

『見ろよ、こいつらを』


「ふえ?」

〖〖〖え?〗〗〗

親方の弟さん達、黒曜おいちゃんと、琥珀おいちゃんが見ろと言ったものは


『『うーん⋯』』

『『ううぅ⋯』』

さっき、もう驚かないと言っていたドワーフさんたちが、


「ねんね?」つんつん

『もしかして~またバタンしちゃったの~?』つんつん


ねんねしてました。


『そうなんだよ』

『絹さんで既に驚いてたんだけどな?』

『真っ白な世界がダメ押しだったね』

『まあ、今回ばかりは分からないでもないけどね』


どうやら、アラクネの絹さんを見た時点で結構限界に近かったけど、もう驚かないと言った手前、何とか堪えてたんだって。でも、ジーニ様が真っ白な世界にしちゃったところで、とうとう倒れちゃったんだって。


「しょっか~」

それじゃあ、仕方ないね~。初心者さんだもんね~


『『『まだまだだね』』』

『『『情けないねぇ』』』

親方たち、身内には容赦ないですね。


『『『『『『ううう⋯』』』』』』

かわいそう~


☆。.:*・゜☆。.:*・゜

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