第477話 サーヤ、暴走?

「おに~にょぱんちゅは♪いいぱんちゅ~♪」

サーヤが腕をふりふり、おいちゃんに抱っこされながらご機嫌に何か歌ってます。


『あらあらまあまあ⋯』

『サーヤ⋯』

おばあちゃんとおいちゃんが困った顔をしてます。


〖『いや~ん、新曲(ですわ)~』〗

ジーニ様とアイナ様はこういう時はシンクロです。


「さーやにょぱんちゅも♪いいぱんちゅ~♪」

さっきとちょっと違います。しかもリズムが微妙です。


『あらあらまあまあ⋯』はあ⋯

『サーヤ⋯』ふう⋯

おばあちゃんとおいちゃん、今度はため息ついてます。


〖『『いや~ん♪かわいい(ですわ)』』~〗

〖うふふ、今日も録画はバッチリよ~♪〗

『ジーニ様おさすがですわ!ぜひ鑑賞会はご一緒させてくださいませ!』

『私も是非!』

〖もちろんよ!存分にサーヤの可愛い姿を愛でましょう!〗

『『はいですわ!』』

うん。安定のジーニ様たちです。リノ様も加わってるから更に賑やかに。

聖域ではお馴染みの光景も、今日が初めてのドワーフさんたちだけが


『『『ア、アイナ様?』』』

『『『どうしちまったんだい?』』』

ドン引きしてます⋯


『サーヤ?それなぁに~?』

ぴゅいきゅい『『おうた?』』

不思議な歌でご機嫌なサーヤに、反対にため息ついてるおばあちゃんとおいちゃんを不思議に思ったハクたちが聞きます。


「あい。ぱんちゅにょ、うちゃ?」

『『パンツのうた~?』』

ありゃ?違う?


『ん~、本当は海外の有名な山の歌なんだけどな』

『日本人が替え歌にしちゃったのよね。それより、サーヤ?』にこっ


「う、うにゅ?」

あ、あれ?なんか怒ってる?

『新しいパンツが嬉しいのは分かるけどね?女の子なんだからパンツパンツ言うのはやめなさい』にこにこ


「あ、あい。ごめしゃい」

もう歌いません。


『まあ、絹さんとおかみさんたちの盛り上がり方は確かに凄かったからな』

『そうね。新しいの作るだけじゃなくて、今あるのも改造するって張り切ってたものねぇ』

『『はあ~っ』』

おいちゃんとおばあちゃんが盛大なため息をついてます。


『な、なあ、そのおかみさんてのは、俺の母親だよな?』


『『え?』』

あっ、そう言えばおいちゃん達はまだ知らなかったね~。


ドワーフさんの一人がおいちゃんたちに話しかけました。それを皮切りに次々と話し出します。


『親方は羊毛刈りしてんだろ?』

『いったい何を作ってるんだ?』

『それにさ、サーヤちゃんのパンツって』

『さっきの妙な音に関係してんのかい?』

『ハクちゃんから降りて尻もち着いた時変な音したよね?』

一気に畳み掛けるドワーフさんたち


「ふおお?」

『あらあらまあまあ?』

『さ、さすが親方たちの子だな』

すごい迫力です。怖いくらいです。どうしようと思っていた時


ヒヤッ


「ふにゅ?しゃむっ?」

『あらあらまあまあ?本当ね。寒いわ?』

何だか急に寒くなりました。すると、


『ありゃなんだ?』

『あそこだけ天気違うよな?』

『吹雪?』

『い、異常気象かい?』

『やだよぉ。防寒着持ってくりゃ良かったね』

『いやいや、そういう問題かい?』

ドワーフさんたちが自分たちでツッコミ始めちゃいました。そりゃ、訳わかんないよね~


『ありゃあ、やりすぎだろ』

おいちゃんが、状況を察して呟きます。

『あらぁ、親方とめーめーさん達、限界に挑戦でも始めちゃったのかしらねぇ?』

結葉様まで珍しく驚いてます。

『今回は手伝い多くないか?』

『精霊たちが勢揃いしてますね』

そうなのです。ちょっと前に寒くすると冬毛になると分かったもふもふさん達。毛が欲しくなったら氷の精霊の氷花ちゃんと、雪の精霊の牡丹ちゃんがお手伝いしてるんだけど、今日は他のみんなもいます。不思議がっているのはアルコン様とギン様だけではありません。


『あ~見て~おじいちゃんまでいるよ~』

『親父、何をしているのだ』

ハクが見つけたのは吹雪と白雪です。よく見ると白雪はいつも忘れられがちなワンちゃんたちを抱えて誰かのそばに寄り添ってるみたいです。


〖あら、本当ね。珍しいわね〗

〖控えめな二人はあまりこういうことに参加しないですものね?〗

〖でも、心なしかみんな疲れてるようですね?〗

神様三人もいつもと違う光景に首を傾げてます。


「だけぢょ~、あしょこ」

『あらあらまあまあ、元気ね』

「にぇ~」

とっても元気だよね。

『凛さん、サーヤ、あれを元気の一言で片していいのか?』


みんなが見つめるその先には


『ガハハハハ!おら!いっちょ上がりだ!』

『やっぱり聖域の素材で打ったもんは切れ味が違うな!ガハハハ』

『気持ちいいほど刈れるな!ガハハハハ』

何やら妙なハイテンションで毛を狩りまくる親方たちドワーフ三人衆。対するは⋯


『ね~もうそろそろいいんじゃない?』

『何事もやりすぎは良くないと思う』

氷花ちゃんと牡丹ちゃんがぼやく中


『だめぴょん!まだいけるぴょん!』

『ぼくたちのもふもふはこんなもんじゃないじょ!』

『め~そうだめ~しょうらいゆうぼうなもふもふだめ~』

もえちゃんたち将来有望なもふもふたちが何やら高らかに宣言してます。


『だからって私たちを巻き込まなくてもいいと思うめ~』

『めめ~、親方たちのおかげで倒れなくなったけどめ~』

またまた立つことも出来ない大人のめーめーさん達。

みんなも暴走中の、もえちゃんたちを窘めているみたいだけど


『だめぴょん!』

『『え~』』

『『はぁ』』

氷花ちゃんたちも、めーめーさん達も、もえちゃんたちに負けてます。


『な、なあ、あれなんだ?』

『巨大な毛玉?』

『いや、ちょっと動いてるって言うか』

『喋ってるのはもしかして』

『あの毛玉かい?』

『まさかあれが?』

そう。ドワーフさんたちが言う喋る毛玉もどきは


「めーめーしゃん!だにょ!」

何言ってるの?さっきからめーめーさんって言ってるでしょ?それ以外ないよね?もふもふもふもふ~


『『『いやいや』』』

『『『違うでしょ』』』

ちがわないよ~失礼ですね。

ドワーフさんたちが現実逃避をしていたら、


『う、ううう、お前たち』ぶるぶる

『に、兄ちゃん⋯』ぶるぶる

『にいちゃん、ちいにいちゃん⋯』ぶるぶる

ん?ぽぽちゃんたち?


「ぽぽちゃん?どちたにょ?」

『え?あらあらまあまあ?震えてるのかしら?』

『お、おい、みんな大丈夫か?』

ぽぽちゃんたちが変です!


「ちゃ、ちゃいへん!」

『あらあらまあまあ?ゲンさん下ろしてくださいな』

『あ、ああ』

あわててぽぽちゃんたちに駆け寄ります。すると


『『『たいへんたいへん!』』』

『こっちもなのだフルーとフライが震えてるのだ!』


『『ううう~』』ぶるぶる


みゃあ『フルーにぃに、フライにぃに!』

妖精トリオと姫ちゃんたちが慌ててます。

大変です!もふもふたちに何か起こってます


『え~?何が起こってるの~?』

『さ、さあ?どうしたというのだ?』

あ、あれ?同じもふもふなのにハクとギン様は何ともないの?

みゃあ『ココロもへいきにゃ?』

『ニャーニャもにゃ』

「ふええ?」

ケット・シーも大丈夫ってこと?じゃあ、何が起きてるの?次の瞬間


ぼわんっ!

『『『うわぁあああ?』』』

『『わあっ?』』

ぽぽちゃんたちとフライたちが、ぼわんっ!と


「ふあああああ」キラキラキラキラ


『あらあらまあまあ!』

『こりゃまずい!』

サーヤの状態におばあちゃんとおいちゃんが焦ります。


『う、うわああ?な、なにが起きたんだな?』

『に、兄ちゃん立てないだよ!』

『わたちもうごけないのだ~!』

『なになに?』

『前が見えないよ~』

ぽぽちゃん兄弟とフルーとフライが仰向けに倒れてワタワタしてます。みんなが呆然としている中


「うきゃーっ!もふもふもふもふ~!」

だだだっむぎゅう!


『う、うわぁサーヤちゃん、やめてなんだな!』

「もふもふ!もふもふ!」

最高級もふもふ!うへへへうへへへ

サーヤが転がってワタワタしてるぽぽちゃんに抱きつきます!

『いや、乗ってるだよね?』

なんですか?うへへへ

『わあ!こっちにも来たんだな!』

『わあ!くすぐったいんだな!』

おお!ぽぽちゃんとちょっと違うもふもふ二人まとめて

「うきゃーっもふもふもふもふ~」うへへへへ

『『うわぁたすけてなんだな~』』

つくしちゃんとなずなちゃんもワタワタしてます。

「うへへへ~もふもふもふもふ~」すりすりむにむに

もふもふ天国~


ハッ!『ふ、フゥ、サーヤを引き離すぞ』

ハッ!『そ、そうだった。ほ、ほら、サーヤぽぽちゃんたちを離しなさい!』

「いーやーっ!もふもふもふもふ!もふもふもふもふーっ!」


そうです。めーめーさん達と同じく、寒さに刺激されて、もふもふ達は一気にもふもふの冬毛に!


「もふもふもふもふ~っ」


もふもふ大好き、もふもふ命のサーヤが飛びつかない訳ありません。フライ、フルーは危険を感じてハクの背中に隠れようとしてます。


『ああぁ⋯なんでこうなった?』

『あらあらまあまあ⋯』

おいちゃんとおばあちゃんのつぶやきに、神様たちが


〖ハクとギンは、もともと雪に耐性があったから大丈夫だったのね、きっと〗

〖ニャーニャとココロが大丈夫なのはケット・シーが動物ではなく、精霊種だからでしょうね〗

二人で納得のジーニ様とシア様


『うわぁ~サーヤがたくさんいるみたいだね~』

『あ、ああ。そうだな』

いつもされる側のハクとギン様が複雑な心境でサーヤを見ている。


『な、なんの騒ぎだこりゃ?』

『さ、さあ?』

『何が起こってるんだろな?』

『とりあえずサーヤちゃんが』

『もふもふ好きだってことは』

『十分、伝わったね』

またも立ちすくむドワーフさんたちでした。


「もふもふもふもふもふもふ~っ」

『『『あ~れ~助けてなんだな~』』』


『『サーヤ、離れなさい!』』


もふもふもふもふ~うへへへへ~


☆。.:*・゜☆。.:*・゜

お読みいただきありがとうございます。

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