ある日のひな祭り日記 3 番外編

本日も二話更新します。よろしくお願いします。

☆。.:*・゜☆。.:*・゜


『おりゃ~っ!』

バッシャーンっ


『海底に届いたかー?』

『大丈夫だ!』

『よし!じゃあ、アルコン様頼む』

『心得た。このまま移動すれば良いのだな?』

『おう!よろしくな!』

バサッ ズズズズズ


こちらは海⋯

ドワーフたちが作ってくれた猟具を、ドワーフたち自ら引いている。使い勝手を確かめないとな!と、言ってついてきたのだ。


『いやぁ、海の真っ只中で、ドラゴンの背から漁をすることになるとはなぁ』

『長く生きてるもんだな』

『俺たちゃエンシェントドラゴン様の背に乗せてもらったドワーフだぜ』

いや、ドラゴンを船替わりにするのもどうかと思うけどな?


『そういや、ドワーフってのは船も作るのか?』

『あたぼうよ!』

『なんだって作ってやるぞ!』

『俺たちゃ誇り高きドワーフだからな!』

ドンっと胸を叩いて

『『『ガハハハハ』』』

と、笑うドワーフも、さすがに空の旅は、


『『『ギャーっ落ちるっ』』』

ってな、初めはビビったようだが、そこは黙っといてやろう。


『ゲン、そろそろか?』

そんなことを思っていたらアルコン様が声をかけてきた。

『おう!そうだな。引き上げてみるか!』

『『『おうよ!どっこいせ!こ~らよ!っと』』』

『おっ見えてきたぞ』

『『『おらーっ!』』』


ずざーっ


『おお!すげぇな』

あみの中には貝がいっぱい。ちゃんと鑑定でも食用可と出ている。鑑定便利だな。


『お、これこれ。これが探してた貝だな。前の世界のものより一回りデカイな』

『これ、美味いのか?』

『おう!ひなまつりじゃあ、お吸い物っていう、汁もんにするんだけどな?浜焼きにしたって美味いぞ!』

『そうか。楽しみだな!』

『おう!期待してくれ!』

あとは、魚とかエビだな。


『アルコン様は前回どうやってエビとか魚とかとったんだ?』

『ん?簡単だぞ?こうやってな?』


カッ!ズアアアッ


『は?』

ブレス?

『まじか』

『海が割れたぞ』

『なんてこった』


『水だけを飛ばしたからな。あとは落ちたのを拾っただけだ。今日はお前たちもいるからな。前回より多く集められるぞ。我はでかいものを拾ってこよう。ああ、じきに海は元に戻るぞ』

『は?』

『『『じきに戻る?』』』


『⋯⋯』

『『『⋯⋯』』』


『い、急げ!!』

『うおーっこの壁いつまでもつんだよ?』

『知るかよ!とにかく急げ!』

『ゲン!とりあえず食えるやつは入れとくぞ!』

『ああ!岩陰も頼む!美味いもんの宝庫だぞ!』

『『『なんだと!?』』』

『うおっ?これ石じゃねぇのか!』

『貝だ!まさかドワーフの採掘道具が海底で生きるとは!』

『人生まだまだだな!』

まさに破竹の勢いでかっぴらいた海底を漁る俺たち!もちろんサーヤの好物、エビもしっかりとったぞ!


『おい。そろそろだ。我の背に乗れ』

『おお?親方たち!行くぞ!』

『『『おうよ!』』』

みんなで慌ててアルコン様の背に飛び乗る

『では、行くぞ』

一気に海面へ飛ぶアルコン様。その背では

『『『ギャーっ落ちるーっ』』』

まあ、仕方ないよな。アルコン様が海面へ出ると


ざざー


海は何事も無かったかのように元に戻った。

『よ、良かった』

『俺たち』

『生きてるな』

ドワーフたちも無事のようだ。

『じゃあ、帰るか。アルコン様、頼むな』

『ああ。分かった。行くぞ』

帰りは更にスピードを増したアルコン様により、あっという間についた。が⋯


『よ、良かった』

『生きてる』

『地面って素晴らしい』

地べたには伸びたドワーフたち。伝説のドワーフ三人衆も形無しだなぁ


『む。そんなに速かったか?そんなに出してなかったのだが。すまんな』

『は?ハハハ』

それは、俺もやばいから勘弁してくれ。



そして、

きゅるる『凛さん、ここは?』

『それはね、こう⋯』

きゅるる『なるほど。奥深い』

〖ぐえっ。く、苦しい⋯すごいわね、昔の人って〗

『あらあらまあまあ。まだ耐えて。これだけのものが最終的には紐一本で止まるのよ』

〖ええ?そうなの?〗

『そうよ。昔の人の知恵ってすごいわよねぇ』

きゅるる『でもこれ、サーヤには可哀想』

『そうねぇ。見えるところだけ布を重ねて、それっぽく見せましょうか』

『ねえ、凛さん。この頭の飾りも軽くした方がいいね?』

『おかみさん、そうね。できるだけ軽くしてくれるとありがたいわね』

『分かったよ』

〖ちょっと、私を利用してない?〗

きゅるる『違う。ジーニ様には本物の美を追求。サーヤは可愛さを追求』

〖なるほど。分かったわ。本物の美はやっぱり、私のような大人の女じゃないとね〗

きゅるる『その通り(単純で助かった)』

やるわね。絹さん。


そんな感じで、着々と準備は進んでいましたとさ。

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