第395話 おばあちゃんの、番!

おばあちゃんのお名前~どうしよう?


『いてて、ひでぇ目にあった⋯』

あ~おいちゃんが戻ってきた。ボロボロです。


「おかいり」

『『お、おかえりなさい』』

『おー。ただいま⋯』

かわいそ~。フゥとクゥまで怯えてるよ~。


『あらあらまあまあ。どこまで行ってたのかしら?うふふ』

お、おばあちゃん⋯

『いや、ちょっと、そこら辺まで?』

おいちゃん⋯

『そう。おかえりなさい。うふふふふ』

『お、おう。ただいま。は、はは、ははは』

こ、こわこわこわこわ⋯


〖よかった⋯私たちこれくらいで済んで〗

〖そうですね。まあ、よく見たらかわいいですし。足跡〗

足型かわいいよね!

〖師匠、おいたわしい〗すっ

いつの間にか出したハンカチで涙を拭うエル様。


『ん?ジーニ様たち、どうしたんだ?デコが赤い?』

おいちゃんが、ジーニ様たちの様子に気づきました。

〖〖気にしないで〗〗

〖なんでもございませんので〗

『そ、そうか?』

おいちゃんが不思議そうにしてます。まあ、後でね⋯


『それでなんかいい案あったか?』

「うぎゅっ」

そ、それは~

「わ、わふくにょにあう、びじんしゃん」

『『⋯⋯』』

なんですか?フゥ、クゥその目は?


『和服美人⋯間違いではないんだよな。そういや、キ⋯おばあちゃんは、なんかいい案ないのか?かわいい名前考えなきゃ~とか言ってたよな?』

おいちゃんがおばあちゃんに聞きます。おばあちゃん、そんなこと言ってたの?


『あらあらまあまあ。うふふ。そう思ったんだけどね?せっかくだからサーヤに考えてもらおうと思って♪』

「ふあ?」

そ、そんな、プレッシャーがぁ


『そうか。じゃあ、サーヤ、着物着てるおばあちゃんを想像してみたらどうだ?そこから考えるとか?』

「うにゅ~。おきもにょ、きてりゅ?」

う~ん、お着物着てるおばあちゃんは、まずは


「きりぇい」

『綺麗っと』

おいちゃんが地面にかきかきしてます。

『あらあらまあまあ。いい子ね~』

頭なでなでされます。


「えへ~?えっちょ、しぇすじ、ぴん?きりっ?かっこいい」

『背筋がピンッとキリッと?ん~凛としたって感じかな?』

「お~しょれ~?」

『じゃあ、凛っと』書き書き

『あらあらまあまあ♪』なでなで

おばあちゃんの機嫌が上がってきたみたいです。


「はでじゃないけぢょ、めだちゅ?けばけばじゃない、おじょうひん、でも、めだちゅ?」

う~ん、むずかしい~

『派手じゃないけど目立つ?けばけばしいんじゃなくて、上品で目立つ?』

「しょう」

つい、目がいっちゃう感じ?

『う~ん、つい目がいく⋯艶やかとか、そんな感じか?』

「あぢぇやきゃ?むじゅかちい⋯」

サーヤ、分からない

『まあ、一応。艶やかっと』かきかき

『あらあらまあまあ♪いい子ねぇ』

なでなで


「えへへ~♪あちょは、あるきかちゃとか、うごきかちゃ、きりぇい。えちょ、おどり?」

こんな?あんよ、すいすい。おてても、えいえい

『それは盆踊りか?』

「ちやう!」

ぶ~盆踊りは、どどんがどん!

『なんか、それも違うな』

おいちゃんてば、だめだめ。

『お着物で踊り?盆踊りも踊ったけど、ああ、日本舞踊かしら?』

「しょう!」

おばあちゃん、さすが!

『どう見ても、盆踊りもどきだったけどな⋯そうか、日本舞踊もやってたな。優雅とか、それこそ雅とかかな?』

「お~しょんなかんじ?」

『じゃあ、優雅と雅っと』書き書き

お~結構出たね~

『あらあらまあまあ♪いい子いい子♪』なでで

「えへへ~」


『あとは、麻の着物とか着ると清々しい感じがしたよな~』

「しょだね~」

たしかに~夏物のお着物とか、浴衣とか~

「ん~しゅじゅししょう?」

『涼しげとか、涼やか、かな?』

「しょうともゆう?」

『じゃあ、清々しいと、涼やかっと』書き書き

『あらあらまあまあ♪嬉しい言葉がたくさんね~♪』

えっと、綺麗、凛、艶やか、優雅、雅、清々しい、涼やか


「おばあちゃん、どりぇがいい?」

『ん~そうね。可愛くて、若々しいのがいいわぁ』

『可愛くて若々しい名前?』

ん~?


『この中で、サーヤが読みやすいのはどれですか?』

『そうね。サーヤが言えないとためだもんね。サーヤ、言ってみて?』

『おっそうだな』

『その通りね』

お~今まで黙ってたフゥとクゥがいいこと言った!おばあちゃんたちも感心してます!

『『サーヤ?』』

じとー。

「ふあ?ご、ごめしゃい」

フゥたちのおめ目が~ぁ。と、とにかく読んでみよう。


「えっちょ、きりぇい」

ありゃ?

『綺麗だと名前になりそうなのは麗(れい)のとこだよな?』

『そこが言えてないわね~』

『『却下』』

おいちゃんとおばあちゃんから、ダメだし出ました。次~


「りん」

ありゃ?いいやすい♪

「りんりんりん♪」

鈴みたい~♪

『言いやすいみたいだな』

『あらあらまあまあ。字が凛から鈴に変わってそうだわね』

『『候補』』

お~候補だ。つぎ~


「あぢぇ?あぢぇやきゃ?」

『うん。言えないな。ついでに、艶(つや)だと?』

「ちゅや」

『あらあらまあまあ』

『『却下』』

お~仕方ない。つぎ~


「ゆーが、みにゃび」

『惜しい感じだな~』

『サーヤ、み・や・び、言ってみて?』

「んみ~、ん~や~、び」

『要練習』

『予備候補?』

ありゃ~?びみょー。つぎ~


「しゅがしゅがちい」

『まあ、そもそも名前っぽくないな』

『確かにね~サーヤ、清(せい)とか、清(きよ)は?』

「しぇい、きーよ」

『ん~なんか、違う』

『そうね~。それに、若い感じがない⋯』

ぼそっ

『前の名前なのに⋯』

『あらあらまあまあ、何か言ったかしら?』

『いや、なにも?』

ぶんぶんぶん

『そう?うふふ』

なにかな?まあ、いっか~。つぎ~


「しゅじゅやか」

『ダメだな。じゃあ、涼(りょう)は?』

「りょー」

『う~ん、まあ、言えてる方か?』

『でも、かわいいというより、かっこいいかしら?』

ありゃ?まあ、これで全部かな?

「どりぇがいい?」

『う~ん。ちゃんと言えたの一つだけだったよな?』

『そうね。と、言うことは』


『『凛(りん)』』


『だな』

『そうね~。かわいいし、いいんじゃないかしら♪』

おいちゃんと、おばあちゃんが、こっちを見てニッコリしてます。


「ふお?きまり?」

『そうみたいよ』

『良かったな。サーヤ』

「あい。りんりんりん♪」

言いやすい♪


〖良かったわね。サーヤ。それじゃ、お名前つけないとね〗

「うにゃ?」

ジーニ様、そっかあ


「おばあちゃん、おにゃまえ、りん、いいでしゅか?」

『ええ。サーヤ。ありがとう』

にっこり


ピカーっ


「ふぎゃっ」

ぱしっ

「ほえ?」

『『あっ!とられた』』

フゥとクゥじゃないんだ?

『さすがにな。察しが着いたからな』

おや?初おいちゃんでしたか。

『そろそろかな。サーヤ、いいぞ』

「うにゅ」

目を開けると、そこにはちょうど光がおさまった、おばあちゃんが⋯

自分のおててを見て、お胸を見て、ガックリしてました。


『まあ、くまだし。ぬいぐるみだしなぁ』

「かわりようが、にゃい、かにゃ?」

『そうだな』

『そうね』


ガックリ⋯

『⋯』ぽんぽん

みあちゃんが肩に乗って慰めてます。


お、おばあちゃん⋯しっかり



☆ ☆ ☆ ☆ ☆

お読みいただきありがとうございますm(_ _)m

おばあちゃんの名前、最後まで「翡翠」にするか迷ったのですが、割れた石の名前をつけたら、なんとなく、おばあちゃんの蹴りが飛んできそうな気がしたので、凛になりました。

これからもよろしくお願いします。

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