第375話 子どもたちが寝た後に

姫はとんでもないことをしでかして、私たちみんなを驚かせるだけ驚かせたあげく、


『姫はそうした方がいい気がしただけなのだぁ♪』


〖だからね?そうじゃなくて⋯〗

どうしてそう思ったのか説明を求めてみたけど


『内緒なのだ。もう眠いのだ。おやすみなのだ~ふわぁ~ぁ』

〖ええ?ちょっと姫!?〗

『すや~ぁ』


と、いう具合で何もわからなかった⋯。

とんでもない子が誕生してしまったわね。まあ、サーヤの周りにとんでもないのが集まるのは今更だけども⋯はぁ。

だけど、とりあえず


〖みんなもおどろいちゃったわね、今日はもう休みなさい〗

ひとまず、子供たちは今日はみんな疲れただろうし、寝かさないとね。


「あ~い。おやしゅみ~」

『おやすみなさ~い』

ぴゅいきゅい『『おやすみなしゃい』』

『『おやすみ~』』

『『『おやすみなさい』』』

みゃ『おやすみにゃ』


〖おやすみなさい〗

『また明日ねぇ』

子供たちが布団に入ったのを確認して、明かりを暗くして部屋の外に出る。


『さてと、アイナ。何が見えたか説明してくれるかしらぁ』

『はい。お母様』

〖待ちなさい。とにかく、先に移動しましょう〗

ここではまだ、サーヤたちに聞こえてしまうかもしれない。

『そうねぇ』

『かしこまりましたわ』

みんなでゾロゾロとリビングに移動すると、すでにほかのみんなが揃っていた。


〖みんな、集まってくれてたのね〗

『山桜桃と春陽が知らせてくれましてのぉ』

『お陰でみんな集まれました。ありがとの』

『『い、いえっ』』


その山桜桃と春陽は、今はお茶を入れてくれていた。

〖二人ともありがとう〗

こうなることを想定してみんなを呼んでくれていたのね。


『い、いえ』

『とんでもないです』


〖いいえ。私たちを呼びに来てくれたのもいい判断でした。ありがとう〗

『『い、いえ』』

医神も山桜桃たちに礼を言っている。二人は謙遜しているが、本当によく気がつく。


『さて、じゃあ、今度こそアイナ。何が見えたのぉ?』

結葉がアイナに聞くと


『⋯割れた緑色の石でしたわ。丸みを帯びた、綺麗に磨かれている、明らかに人の手によって加工されたものでしたわ』

アイナが見た、本当の石の姿を教えてくれた。


『そう。ありがとうアイナ。ジーニ様ぁ』

〖ええ〗

緑の石。サーヤを守っている石。これは⋯


〖ゲンが気にしていた、サーヤのおばあちゃんの翡翠の勾玉というものかしら⋯〗

『やっぱりぃ?』

結葉もそう思うのね。


『お母様が途中で念話を送ってくれて助かりましたわ。事前に石のことを聞いておりましたのに、危ないところでしたわ。申し訳ございません』

結葉が真っ先に勾玉の可能性に気がついて、気を利かせてくれて助かったわ。


『アイナは直接話を聞いていた訳では無いからな。仕方ないさ』

〖アルコンの言う通りよ。むしろ、あれだけでとっさに誤魔化してくれて助かったわ。ありがとう〗

本当に、よく対応してくれたわ。


『いいえ。動揺が出てしまいましたわ。サーヤちゃんが気づいてないといいのですが』

『大丈夫だと思いますよ。それより気になるのは⋯』

〖ええ。割れていたということと、何故それがくまのぬいぐるみに入っていたのかということ〗

〖それから、割れたと言うなら残りの石がどこにあるのかということ。ですね〗


ギンの言う通り、サーヤは大丈夫だと思う。気になるのはシアと医神の言ったこと。


〖姫は、くまの中の石が一番サーヤを守っていると言ってたわね。それなら例の石で間違いないと思う。今、ゲンがいないから確認のしようがないけど、アイナ、ゲンが戻って来たら石の特徴を伝えてもらえる?〗

『はい。かしこまりましたわ』

ゲンが、どんな反応するか心配だけれど、確認しない訳にはいかないしね。


〖そう言えば、アイナ〗

『はい。何でしょうか?』

〖サーヤが石に魔力を流している時、変な顔してなかった?〗

『え?あ、あれはですね、確証は無いのですが、石の割れた所から、靄のように魔力がどこかに流れているような気がしたのですが⋯申し訳ございません。気のせいかもしれませんわ』

〖そう⋯ありがとう〗

割れ目から?割れたもう片方にもサーヤの魔力が通ったということかしら?

ジーニ様たちが考え込んでいると


『あ、あの』

『お聞きしてもいいですか?』

ん?

〖フゥ、クゥ、遠慮はいらないわ。なんでも言って〗


『あ、ありがとうございます。あの、くまの中の石は異世界の石なんですよね?しかも、割れているということは不完全な石だと思うのですけど』

『その石に魔力を注いでしまって大丈夫だったのでしょうか?それに、最後のうさぎの中に入っていった石もありますし』

『何か起こるなんてことは』

『ありませんか?』


しーん


そ、そうよね。何せ魔力を注いだのはサーヤだし。何かあると思った方がいいわね。


〖フゥ、クゥ悪いけど、今日はサーヤたちの部屋で寝てくれるかしら?何かあったら教えてちょうだい〗

『は、はい』

『分かりました』

『私も行こう。私なら布団も要らない。部屋の隅で充分だ』

『ギン様』

『ありがとうございます』

みんなが何か起こると思ってるわね⋯


〖三人ともありがとう。お願いね〗

『『はい』』

『かしこまりました』

あと、気になるのは


〖魔神、天界には〗

そう、それよね

〖天界にも知らせないといけないわね(あの人に変化があるかもしれないしね)〗

〖(そうですね)念話では危険ですよね〗

〖そうですね。直接お話した方が良いでしょう。仕方ありません。師匠に確認をしてから私が戻りましょう。非常に心残りですが。非常に残念ですが。非常に⋯〗くぅっ

何も本当に涙を貯めなくても⋯


〖はいはい。分かったわよ。感謝するわ。たくさんお土産持って帰ってちょうだい。もちろん作るのはゲンだけどね〗

『ありがとうございます。ふふ』

まったく。抜かりないわね、そういうところは


『では、我々は先にサーヤのところへ行こうか。フゥ、クゥ』

『そうですね』

『いきましょう』


ギンたちに今夜は任せましょう。

〖頼むわね〗

『はい』

『『失礼します』』


何も起こらないといい⋯


バタバタバタバタバタバタッ


わね?


『ジジジ、ジーニ様!』

『たたた、大変です!』

今行ったはずのフゥとクゥがあっという間に戻ってきたわね


〖何があったの?〗

『な、なんでもいいですから』

『は、はやく来て下さい!』

『『大変なんです!』』

〖わ、分かったわ〗

何なのかしら?はやくはやくと急かすフゥとクゥに引っ張られサーヤたちの部屋の前に着くと、


『しーっ、静かに!静かに覗いてみてください』

ドアの前にいたギンに促され、部屋の中を除くと⋯


な、なに?


ぽんぽんぽんぽん


眠るサーヤの脇に横座りして、優しくサーヤのお腹をぽんぽんしているのは⋯


肩に小さなうさぎを乗せた、

くまの、ぬいぐるみ?


〖えええ?〗

しまった!

思わず声を出してしまったわ!慌てて口を塞いだけど、遅かった⋯


くまのぬいぐるみが、

こっちを見て、

一瞬固まったあと


てへっと頭をぽりぽり。


じっとこちらを見て⋯

というより、私の体を上から下まで見て⋯


自分の(くまの)体をみて、胸?を撫で下ろすと、


ガックリ⋯


えええ?こ、この反応って⋯




その頃、天界では


『主神、主神様っ大変です!』

〖なぁに?バートがそんなに慌てるなんて珍しいね、ぇえ!?〗

『いいから来て下さい!』

〖ぐええ、く、首がしまる~〗

そうして、首根っこを掴まれて連れてこられたのは、あの人が眠る部屋


〖バート?〗

『いいから、入りますよ』

一体何が?


コンコンコン ガチャッ


部屋に入ると、ずっと目覚めなかった、あの人が、


〖え?〗


起き上がっていた⋯


☆。.:*・゜☆。.:*・゜

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