第367話 ふんふんふ~ん♪

ふんふんふ~ん♪なでなで~。


『ぷぷぷっ』

『あ~羨ましいねぇ』

『モテモテだねぇ』

おかみさんたちが、笑いを堪えながら見ています。


ふへへへへ~♪すりすり~。

『夢中だの』

『そうだのぉ』

じぃじたちは、半分呆れながら見ています。


うへへへへ~♪さらさら~。

『お父さ~ん、サーヤがまた浮気してる~』

『ハク、浮気って⋯』

『ふふふ。サーヤだけじゃないみたいじゃよ』

『そうですね。よっぽど気持ちいいんでしょうね』

フェンリル一族はヤキモキしたり、息子の言葉に戸惑ったり、面白がったり、色々複雑みたいです。


『いや、あのな?サーヤ、そろそろ⋯』

「ふへへへ~。しゃらしゃらね~♪」

サーヤはね?今、椅子に座るドワーフのおっちゃんのお膝に座って、コアラみたいにあんよで抱きついてます。

温泉から戻って、さらさらふわふわになった長いお髭を、指で梳いてあげてます。


『いや、くすぐったいんだけどな』

そんなはずはありません。きれきれしましょうね~


「ふんふんふ~ん♪はやく、おいちゃんに、おくし、ちゅくってもらいまちょうねぇ」

『いや、だからな?』

なんですか?ふんふんふ~ん♪


『さらさらなのだ~♪』

『すごいね~♪』

『きもち~♪』

『かくれんぼできるね~♪』

姫ちゃんや妖精トリオも気に入って、お髭に潜って遊んでます。でも~


「あ~ぐちゃぐちゃにちちゃ、めっなにょ~」

『え~なのだ』

『ひとりじめは』

『だめだよ~』

『みんなでなかよく~』

「しょだね~。ごめしゃい」

でも、せっかく梳かしたのに~。もう一度やり直し~


『いや、サーヤ、だからな?姫たちも⋯』

なんですか?ふんふんふ~ん♪

『『『『ふんふんふ~ん♪』』』』

『なのだ~♪』

楽しいね~♪


『くくくっ諦めな、あんた』

『よっぽど気に入られたんだね~』

『サーヤちゃん、そんなに、その髭気持ちいいかい?』

おかみさんたちが面白そうに話しかけてきました!


「あい♪しゃらしゃら、ふわふわ~♪はやく、おいちゃん、おくし、ちゅくってくりぇにゃいかにゃ~♪」

お櫛の材料の柘植の木もあるし~、椿油の椿もあるし~。あとは、おいちゃんが揃えば~♪⋯あれ?


『ふふふ。そうだったね』

『あの見事な櫛』

『芸術品だったね』

『そうだったな』

あ、あれ?


『あんた、あの櫛の為だ』

『いくらでも、触らせてやんな』

『あれが自分たちで作れるようになるんだよ』

お、おかみさんたち?

『そうだな⋯いやいや、それとこれとは』

おっちゃんも、今、頷きかけたよね?


『サーヤちゃん、こんなんでよければ』にこり

『いくらでも、使ってやっとくれ』にこ

『この人も本望だろ』にっこり

そ、そんな、死んだ人みたいに⋯

『『『ね?』』』にっこり

「あ、あい」

『お、おう』

『『『『ひゃあっ』』』』

おっちゃんに思わず、ぎゅーって抱きついたら、おっちゃんも抱きしめてくれたけど、震えてるよ。

『サーヤもな』

そ、そうかな?

姫ちゃんたちもお髭に隠れちゃったよ。


〖くすくす。その辺にしといてあげて。サーヤたちもね〗

ジーニ様!天の助け!あっ、ホントの女神様だった。

〖まあ、櫛を待ってるのは、私の方が先なんだけどね、ふふふ〗

そ、そうでした!がくぶる⋯


『もう、ジーニ様ったらぁ、本題からずれたら山桜桃たちが可哀想でしょう?』

結葉様!今度こそ天の助け!ん?山桜桃ちゃんたち?


〖あっ、そうだったわね〗

『もぉ~。サーヤ、お夕飯の支度をそろそろ始めたいから、色々教えて欲しいんですってぇ。アルミホイルの使い方とかねぇ?』

あっそうだったね。

「あ~い」


〖ほら、山桜桃も春陽も、いつまでも遠慮してちゃダメよ〗

『『は、はい』』

ジーニ様に言われて、遠巻きに見ていた山桜桃ちゃんと春陽くんが駆け寄ってきました。


『サーヤちゃん』

『よろしくお願いします』ぺこっ

硬いな~。お辞儀まで?


「ちっちっちっ」

指をふりふりダメだしです。


『〖ぷっ〗』

〖かわいいわ~〗

『口と指がズレてるわねぇ~』

なんですか?ジーニ様、結葉様

〖なんでも?〗

『ほら、続けてぇ?』

そうですか?


「ゆすらちゃん、はるひくん、おねがいしましゅ、ちがうにょ」

違うんだよ~、もう、家族なんだから

『『え?でも⋯』』

だからね?

「いっちょ、ちよ!でちょ?」

もう!ダメダメなんだからぁ!ぷんぷん

『『え?えと』』

ワタワタしてもダメですよ?ほら、言ってみて!


〖ふふ。山桜桃、春陽、サーヤは一緒にお料理しましょう、って言って欲しいみたいよ?〗

『お願いしますじゃなくてね?もう家族なんだから、ね?』

「あい!」

ジーニ様と結葉様も優しく山桜桃ちゃん達に言ってくれます。

だからね?ほらほら、さん、はい!


『え、えっと、サーヤちゃん。一緒に』

『お料理、し、してくだ』

チッチッチッ!頑張って!

『『お、お料理、しましょうっ!』』

山桜桃ちゃんと、春陽くんが誘ってくれました!


周りを見たら、ジーニ様と結葉様と、それにドワーフさんたちも優しく笑ってくれてます。だからね

「あい!いっちょ、ちゅくりょう!」

『『あ、ありがとうございます!』』ガバッ

う、う~ん、まだ硬いけど、まっ、今回はいっか~♪


『そんじゃ、よっこらしょ!』

「ほよ?」

おっちゃん?サーヤを抱っこしたまま歩きだしました。


『ほら、飯作るんだろ?行くぞ!』

『そうだよ。まさか、あんた達だけでやる気だったのかい?ん?』


ピシッピシッ

『あっ』

『いたっ』

おかみさんが、山桜桃ちゃんと春陽くんのおでこをデコピンしました!


『あのね?あんた達はもう少し肩の力ぬきな!』

おお!

『そうそう。周りにこれだけ家族がいるんだからさ!』

その通り!

『そうそう!ガキはガキらしく、もっと大人を頼れ!な?ガハハハハ』

いいこと言ってくれたよ!


豪快なドワーフさんたちに、おでこすりすりしながらポカーンとしてた山桜桃ちゃんと、春陽くん。

でもね?ドワーフさんたちの言う通りだよ?ちょっと乱暴な言い方だけど、全部優しいよ!


山桜桃ちゃんと春陽くんのおめめが、だんだんうるうるしてきたけど、二人同時に、ゴシゴシゴシって涙を吹き飛ばしたら、

『『は、はい!ありがとう!』』

って元気に言ってくれました!

『おうよ!』ニッ

『『『いいってことよ!』』』ニカッ

ニカッてかっこいい~

「いいっちぇこちょよ!」ニカッ

まねっこ!かっこいいでしょ?

『ふふ。さーやちゃん、かっこよさはドワーフさんたちの勝ちですね』

ええ~

「ぶー」

『でも、かわいさなら、サーヤちゃんの勝ちです』

そう?ならいっか?

「えへへ~」


〖現金ね~〗

『いいじゃなぁい?実際、かわいいんだからぁ。ねぇ♪』

「にぇ~♪」

いいんだよ!それじゃあ、みんなで


「ごはん、ちゅくりゅじょ~」

『『『『お~!』』』』

『『お~!』』


美味しいの作ろうね!


☆。.:*・゜☆。.:*・゜

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