第311話 いよいよにゃ!

ドワーフさんたち、尻もちついたまま起きれません。そしたら、


『気持ちはわかるんだな。オイラもいまだに自分がここにいるの不思議なんだな』

『おいちゃんたち、立てるだか?手、貸してやるだよ』

『おばちゃんたちも、ちっかり~。うんしょ、うんしょ』


ぽぽちゃん、つくしちゃん、なずなちゃん兄弟と、お友達のもぐらさんがみんなで手を貸してます。みんな優しい~♪


『あ、ああ。ありがとな。ん?お前さんがアイナ様が言ってた、ぽぽか?』

親方がぽぽちゃんの色を見て分かったみたいです。綺麗だもんね!


『え?あ、ああ。そうだあ。オイラ、たんぽぽだ。みんなからは、ぽぽって呼ばれてるだよ。ほら、あそこに咲いてる黄色い花からサーヤちゃんがつけてくれただよ。よろしくなんだな』

ぽぽちゃんがたんぽぽを見せながら自己紹介してます。


『そうかそうか!お前さんが!若けぇのにドワーフロードのことなんざ、よく知ってたな!たいしたもんだ!ワハハハハ』

『うわわっ?』ぐらっ

ばしばし!と背中を叩かれてます。ああっ、よろけてます!親方、優しくしたげてっ


『あああ!にいちゃん!』

『にいちゃん!』

つくしちゃんとなずなちゃんも心配してます。


『だ、大丈夫だよ。お前たち。オイラはちょっと聞いたことがあっただけなんだぁ。それをちょっと話したら、こんただ、大事になっちまってぇ。かえって申し訳ないだ』

ぽぽちゃんが申し訳なさそうに言います。ぽぽちゃんの両脇には心配した、つくしちゃんたちがくっついてます。う~って言ってます。もう一度バシバシしたら噛みつきそうです。お兄ちゃん思いです。


『なぁに言ってんだ!おめぇには感謝してんだ!この歳になってこんなすげぇとこに来れるなんて思わなかったぜ!ワハハハハ』

バシバシ!あっまたっ


『『う~!にいちゃんたたくでね~!』』

『こ、こら!お前たち、オイラは大丈夫だよ』

つくしちゃんたちが!親方に飛びついちゃった!


『おお?わりぃわりぃ。つい嬉しくてな。そうか。お前たちがつくしと、なずなだな?よろしくな!』

親方すごい!ビクともしない!飛びついちゃったつくしちゃん達もびっくりです。その上、頭ぐりぐりされてます。ぐらんぐらん?


『『よ、よろしくなんだな』』

うんうん。みんな仲良しだね!


そんなやり取りを見てたら、アイナ様たちがこそこそって


『サーヤちゃん、そろそろじゃないでしょうか?』

『そうだにゃ~。うずうずしてるにゃね』


あっ!そうか~

「こころ~いく~?」

抱っこしてたココロに聞くと、


『にゃん!(いよいよにゃ!)』

おお!やる気満々です!


「じーにしゃま~」

〖はいはい。下ろすのね?〗

「あい!」

『にゃ~(おねがいにゃ)』

ジーニ様が下ろしてくれたので、アイナ様たちとドワーフさん達のところに行きます。


『皆さん、親方とおかみさんにはお話ししたのですが、この子は村へ帰れなくなりました』

『サーヤちゃんのそばに、いないといけないにゃ』

アイナ様たちがココロの説明してくれます。サーヤじゃうまくお話できないから、仕方ないです。


『ええ?どうしてだい?』

『みんな寂しがるよ』

奥さんたちが聞き返してきます。当たり前だよね。


『まあまあ、私もびっくりしたけど、事情があったんだよ』

『ああ。命に関わることだからな』

これにはドワーフさんたちみんな一瞬固まっちゃいました。


『な、どういうことだい!?』

『アイナ様?』


アイナ様が再び説明します。

『実は、この子がどこでも突然眠ってしまうことをジーニ様とゲンさんにお話ししましたら、生まれつき脳に病気を抱えていたことが分かったのです』

『サーヤちゃんも、なんか突っかかるのを感じたんにゃよね?』

「あい。まりょく、とちゅうで、はねかえりゅ?」

ニャーニャにゃんに聞かれたので、あの時の感じを答えます。


『でもにゃ?サーヤちゃんが魔力を流したら、この子が少し良くなったことにジーニ様が気づいてくれたにゃ』


〖そうね。サーヤとこの子はとても相性がいいの。だから、サーヤに名前をつけてもらったら病気が治るんじゃないかと思ってね。何しろ前例が色々あったからね〗

若返ったり、傷が治ったりね~。不思議だよね?


『それで、皆さんに相談もなく申し訳なかったのですが、その場で名前をつけてもらったのですわ』

ジーニ様も説明に加わってくれて、アイナ様が説明を続けてくれます。


『それで?』

『治ったのかい?』

心配そうなドワーフさんたち。


『はい。治りましたわ。ただ』

一瞬、わっ!って、喜んだドワーフさんたち、続いた『ただ』という言葉でまた静かになりました。


『サーヤちゃんと契約することで治ったので、ですから⋯』

〖私がしばらくはサーヤから引き離さない方がいいと判断したの〗

一番、辛いところをジーニ様が引き受けてくれました。優しいです。でも


『なんだい!『ただ』なんて言うから心配しちまったじゃないか!』

『チビちゃんが助かったならみんなが喜ぶよ!』

『まあ、寂しくないって言ったら嘘になるけどな』

『会おうと思えば会えるしな!』

ドワーフさんたちみんな喜んでくれました。良かったね!


『それで?名前はなんだい?』

いよいよだね~

『それはですね⋯』

アイナ様がこっちを見ます。今だね!


「あい!がんばりぇ~」

ココロ出番だよ!


『にゃん!(はいにゃ!)』


てててっ!しゅたっ!

みゃ~ん!『ココロにゃ!さーにゃにゃんにつけてもらたにゃん!よろしくにゃん!』


ぴょんっとサーヤから飛び降りたココロが仁王立ちして片手を上げてポーズをとってます!かわいいです!でも、あれ~?


『え?声がしたような?』

『どこだい?』


え~?みんなキョロキョロ?ドワーフさんたち足元だよ!


『あら~?皆さん、現実逃避ですの?』

『ん~。まさか喋ると思ってないから空耳だと思ってるのかにゃ?』


ココロがぴょんぴょんしてるけど気づいてません。仕方ないですね。むんず。むんず。サーヤがお手伝いします。


みゃ?『わ~っ?たすけてにゃ~』

バタバタバタバタ


『さ、サーヤちゃん?その持ち方は、ちょっと⋯』

『あわわ。股が裂けちゃうにゃ!』

『お前、それじゃ、ココロの開きになっちまうだろが!』

アイナ様たちだけじゃなくておいちゃんまで?


「うにゅ?こころ、がんばっちぇ、たっちしゅりゅ」

立てるでしょ?片足ずつ持ってあげたよ?

みゃ?『にゃ?むりにゃ~!』バタバタバタバタ


親方たちにも見えるように立った形のまま持ち上げてあげたのに、ココロぶら~んておじぎ状態です。おててはバタバタしてます。がんばって!それじゃおしりのハートマークしか見えないよ?しかも逆さまだよ?


『わ~!サーヤちゃん!やり直し!やり直しにゃ!』

『そ、そうですわ!ハクくん、ココロを頭に乗せてあげてくださいな』

『わかったよ~』

『ほら!サーヤ!お前の短い手でバンザイして見せたらココロが開いちまうだろ!お前まだ頭に手届かないんだから!』

む~届くもん!届かないのてっぺんだもん!

『そんなもん同じだ!』

おいちゃん、ひどい~


『サ、サーヤちゃん?いい子ですからここに。ね?』

『そうにゃ。ここならサーヤちゃんが持ち上げなくても見えるにゃよ!』

『サーヤ~。置いてあげて~』

ぶー。わかったよ~

ココロをハクに置いてあげます。

みゃ~『た、たすかったにゃ~』

ココロがハクの頭にぺっちょんと広がってます。

ぶー。見えるようにしてあげたのに~


『おバカ!』でこぴーん!

「いちゃっ」

『やり方を考えろ!危ないだろが!ココロを開きにしても仕方ないだろ!アジの開きじゃないんだから食えないだろ!』

「あ、あい。ごめしゃい」

う~開きにするつもりはなかったよ~


『な、なんか違うにゃ?』

『そ、それよりほら!ココロ!もう一回ですわ!さっきのはなかったことにしましょう!ね?』

『そ、そうにゃ!がんばるにゃ!』

ぐったりしたココロをドワーフさんたちから見えないように隠しながら応援するアイナ様たち!


みゃ~『もうばればれにゃ~』

もう無理~って、ココロがえぐえぐしてます。


『そんなことないですわ!』

『そうにゃ!がんばるにゃ!』

『ココロ~がんばれ~!』

ぴゅいきゅい『『いっしょにいてあげる!』』

『『そうだよ!』』

『『『いっしょにやってあげる!』』』

ちびっこ同盟も応援です!

ん?やってあげる?


みゃ~『みんにゃ、ありがとにゃ、がんばるにゃ』

『そうですわ!頑張ってくださいませ!』

『がんばるにゃ!』

それでは。皆様、お待たせしました。


みゃ~ん!『ココロにゃ!さーにゃにゃんにつけてもらたにゃん!よろしくにゃん!』

ハクの頭の上でビシィッとポーズをとるココロ!そしてその後ろでピラミッド型に並んで同じポーズをとるちびっこたち。サーヤも!


〖あ~一歩遅れてる所がかわいいわ~〗

『サタデーナイトフィーバー?』

おいちゃんがぼそっと一言。ドワーフさんたちはと言うと⋯


『喋ってるな』

『喋ってるね』

『立ってるな』

『立ってるね』

『あのポーズはなんだろな?』

『なんだろね?』

ドワーフさんたち、おめめも、お口もポカーンとしてます。


『『……』』

『『……』』

『『……』』

黙っちゃいましたよ?と、思ったら


『喋ったよ!あんた!』バシバシ!

『ああ!喋ったな!ココロだってよ!』バシバシ!

『立ってるよ!あんた~!』 おいおい

『立ってるな!一丁前にな~!』おいおい

『なんかポーズとってるよ!あんた!』ワハハハハ!

『とってるな!しかもちんまいのが沢山いるな!』ワハハハハ

おお!みんなバラバラ!


『な、なんか三者三様だな』

『見事にバラバラにゃ』

『親方と弟さん夫婦は結局、泣いて喜んでますわね~。さすが兄弟ですわ~。あっ抱き合いましたわね』

『幼なじみさん夫婦は大笑いしてるね~』


みゃ~『ば、ばれてなかったのかにゃ?』

「どうだりょね?」


ぴゅいきゅい『『ね~ぇ』』

『『もうこのポーズ』』

『『『やめていい~?』』』

みゃ~『あ~ごめんにゃ~』


ポーズをやめても泣いてる親方たち、笑ってるドワーフさんたち。いつ、止まるかな?


☆。.:*・゜☆。.:*・゜

お読みいただきありがとうございますm(*_ _)mフォロー、応援、感想などありがとうございます。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る