第五章 自宅にご招待02
× × ×
「ただいまー」
「お、お
リビングからとたたと
「はーいおかえりなさい
「「えぇ!?」」
満面の
「おい、ひより!?
「うぅ……お兄……っ」
「身体と、それと頭は
「なめらかにディスるのやめんかこんにゃろう……」
まあまあ強めのボディブローを二発もらった。
「はじめまして……
「あ、
「ふわぁ……名前まで
「「あ、はい」」
妹の
洗面所で手洗いうがいを済ませる。
「
「うん……わかった。その呼び方で
「(お兄、ちょっとこっち来て)」
興味深そうにリビングを見回す
「お兄、とんでもない上玉に目をつけたもんですなぁ」
「世代がふたつみっつ上の言い方だぞそれ……」
「配信ですっごい昔の映画があって、最近クラスで
「中三のクラスで? すごいなそれ」
「ああ、コタローならたしか──」
ひよりがキッチンを
「みゃー」
マンチカンのコタローがとっとこと姿を現した。
目を見開いたまま停止していた。
「
「
「お兄、シリアス顔でアホみたいなこと言わないで!」
「す、すっごく
「
「ぜ、全力……っ?」
「コタローの真価は、立ち上がったときに発揮されるのですよ」
ふっふっふと
「みゃー」
コタローが
「みゃ?」
小首をかしげ、
「みゃ!」
ひょい、と立ち上がった。
「かわ……い……っ」
「
「落ち着けひより。
「お兄も落ち着いて?」
「ご、ごめんなさい……あまりにも
「「気持ちはわかるので
「う、うん……?」
マジの目でシンクロする
× × ×
ソファに座って一息つく。片方のソファに
「コタロウちゃん、ほんとに
つぶらな
「あ、コタローな。コタロウじゃなくて」
「そうです、コタローです」
「ご、ごめんなさい……?」
ぽしょぽしょと「こだわりが強い……」とつぶやいた
「
「みゃー?」
コタローが
いちど手を引っ込めようとしたが、
「みゃー」
お好きにどうぞー、と言わんばかりにコタローが気持ちよさげに目を閉じる。
「し、失礼、します……っ」
「みゃー」
コタローがふやけた声を
「はぁ……や、やわらかくて、丸くて、あったかくて、
「あごの下も
「こ、こう……?」
「ふみゃぁ……」
コタローの声が
「
「そ、そうなの……? よーし……」
片手であごの下を
「ふみゃぁぁ……」
コタローが
「~~~~っ。~~~~~っ!」
声をあげてはびっくりさせると思ったのだろうか、
「
「うん……たぶん、もう
ますます好きになるのはもちろんのこと、生きててよかった──とさえ思った。
ひよりは
× × ×
「あれ?
「……なに?」
「いや、なんか年季が入ってるなーって」
「……うん、大事にしてるから」
「あんまり見ないで。黒くなりそうだから」
「俺の目にそんな
「『ずずず……』って
「それ完全にホラーだから!?」
よほど大事にしているものらしいが、先ほどまでのやわらかな
ひよりはそんなふたりを見て、
「お兄と
「え、なに!? なんですか!? 美人が身構えてるのすっごい
ひよりがソファの
「この期に
「お兄!
「とりあえず、ふたりともいったん落ち着いてくれ……」
「みゃー?」
コタローがこてんと小首をかしげ、三人が
「ふだんは外から見えないようにしてるんだけど……」
「コタローの
「……うん。そんな感じ」
当たっていたらしい。
「
「……バカにされたことがあるから」
「ん、わかった。ごめん」
「え、あ、え……っ?」
ひざに手をついて謝る
「べ、べつに気にしなくていいから……」
「いや、お
コタローを
「みゃー」
にょいんと
「こちらにお
「みゃー? みゃ~~」
コタローは
「あっ、ひゃっ? こっ、こらっ、もう……っ」
てしっ、たゆんっ、てしっ、たゆんっ。
よりによって、胸を前足でてしてしと
(予想外のイベント!)
「(お兄のドスケベ)」
ひよりの口パクが胸に
「
コタローの
「そのストラップはご家族のプレゼントとか?」
年季を感じるストラップに向ける
「これは……小学生のときに、おばあちゃんが作ってくれたの」
「へえ……どうりで味があると思った」
「ずっと持ってるから……なんていうか、お守りみたいな感じ」
「大事にしてるんだな」
「……うん」
「私にとってのお守りはこのストラップだけど……パパラッチにとってのお守りはカメラ?」
「その設定まだ生きてたの?」
「お兄? パパラッチってなに? またやらかしたの?」
「『また』ってなんだよ!? 初犯だから! いや、初犯でもないけど!」
「みゃー?」
(え、何そのお茶目すぎる仕草は?)
それからしばらく
「パパラッチに送ってもらうとか、情報がダダ
「ここまで引っ張るっていっそ
などといったやりとりをして、
「……お兄」
「ん、どうした?」
「
「そんなコテコテの
あたしは大マジなんだけどなー、とつぶやきながら、ひよりがコタローを
「みゃー」
「むおっ」
やわらかなお
× × ×
『いおりんいおりん』
数日後の夜のこと。
リビングでくつろいでいると、
『二回続けて呼ぶとなんかの通知音みたいだな』
『たしかに~』
『(「なんでやねん!」と
『ところでですね
『急にどうしたんだ』
『わたし、うちで
『そうなんだ。うちもだわ』
『知ってる知ってる~』
(あれ、言ったことあるっけ?)
『すっごい
『ふむ。どうぞ』
写真が送られてきた
映っていたのは理知的な
だが問題はそれよりも、その子を
『
ちょっと
(ちょっと待て、これは、これは……っ!)
『ぼくはしにました』
『
『ありがとうございます』
『どういたしまして』
保存していいかを
『あ、そういえば』
『この写真をいおりんに送ってもいいって、
「マジで!?」
思わず声を出してしまった。
『本人的には「トラウマ
『そうですけどなにか?』
『開き直った!』
「お兄~、さっきから何
『ロック画面に設定するもよし、ホーム画面に設定するもよし、両方に設定するもよし!』
『俺が保存するのは確定なんだな……』
『え? もうしたでしょ?』
『しましたけども』
『いおりんの欲求
『
『いおりん@欲求
『アカウント名みたいになってるから』
『いおりん@欲求
『すごい名前のイベントに参加予定の人になってる!』
このあと、ひたすらボケる
(うーん、
理知的なロシアンブルーと
Interlude
ロシアンブルーの
(うーん、
「
「うん……ほんとに」
「まさか
「それは……
「でも、トラウマを
「それは……うん、感謝してる。ほんとに」
入学したての頃
(いおりん、やるなー)
出会った頃はいかにもぎこちないアプローチしかしていなかった彼が、目に見えて成長している。
同い年にも関わらず、
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