第7話 伝説の剣、槍、そして槌

「なんでこの城は廃墟になったんすかね〜?」


「…わからない。」


「まあモンスターに襲われたんでしょうけど、あまりに見事に壊れすぎっすよね。」


「たしかに。」


「あ。」


「…どうした?」


「お金…、持ってます?」


「持ってない…。」


「「…。」」


「あ!」


「なんだ?」


「倒したモンスターを持っていけば買い取ってもらえるんじゃないっすか?」


「…木っ端微塵にしてしまった…。」


「そ、そうでしたね…。」


「あ!」


蒼真の大きな声にちょっとびっくりする光。


「ど、どうしたっすか?」


「最初倒したモンスターが無傷だ!」


「おお!

 取りに行きましょう!」



2人は最初いたところまで戻った。



「…また、強そうなのがいるっすね…。」


「…だな。」


2人の向かう先には1つ目の巨人と牛頭の巨人、そしてさっき倒したオーガの3体が仁王立ちしていた。


「3匹か…。

 1匹いけそう?」


「ちょっと【鑑定】してみるっす!」




************


名前:サイクロプス

Lv:69

HP:7300

MP:590

耐久力:730

力:760

素早さ:650

器用さ:650

魔力:600


************




************


名前:ミノタウロス

Lv:73

HP:7600

MP:590

耐久力:740

力:780

素早さ:720

器用さ:730

魔力:620


************




「あ〜、あの中でオーガが1番弱いっす。

 つまり…、無理っす!」


「小石だと爆散しちゃうし、近づくと危ないし…。

 どうしようか。」


「小石じゃなくて、『中指フェイルノート』っすね。」



「「「グゥオオオオ!!」」」



話をしていたらモンスターたちの方が走ってきてしまった。


「とりあえず、小石で…!」


「『中指フェイルノート』、お願いします!」


蒼真はまず先頭にいたオーガに向けて『中指フェイルノート』を放った。



ドッ…パーン!!



いつものように爆散。



それを見て他の2体の動きが止まる。


「もういっちょ!」


すかさず2発目を放ち、サイクロプスも木っ端微塵になった。



「やっぱり…、ヤバすぎっすね…。

 今のでレベルが58になりました。」

 

【鑑定】しかしてないのにここまでレベルが上がったやつもいないだろう。


「ミノタウロスがきたっす!」



すんごく強そうな斧を振りかざし向かってくるミノタウロス。


初めてとなる接近戦を試みる。


移動速度は素早さ10なので動いても無駄。


射程距離になるのを待つ。



「グモオオオオ!!」


ミノタウロスが蒼真に斧を振り下ろした。


(やばっ!

 めっちゃ怖い!)


3mほどある牛頭の巨人がでっかい斧を振り下ろしたら、それは怖い。


しかし、勇気を出して中指で斧を受け止めようとする蒼真。


女神が中指を使うために身体が適応するようにしてくれたため、動体視力も上がった。



ガキ……ーン…



攻撃力が相当強いであろうレアそうな斧が、中指によって…、折れた。



「す、す、す、すげーーーー!!

 まさに聖剣!

 全てのものを切り裂く中指!

 『中指エクスカリバー』!!」


そのまま中指でミノタウロスを突き刺した。


ミノタウロスに風穴が空き、その穴から反対側の景色が見える。


明らかに中指の太さより大きな風穴だ。



「…その指に突き通せないものはないっすね…。

 『中指グングニル』恐るべし…。」


(…なんか勝手に名前が決まっていくな…。)


「このミノタウロスと、あっちに倒れてるキマイラ持っていこう。」


「了解っす!

 ちなみに今のでレベルが60になったっす!」


「…俺も66になった。」


「お、おめでとうございます!


 …これがキマイラ…。

 …どうやって倒したんすか?

 傷が全くないっすけど。」


「中指立てたら、死んだ。」


「え?」


「…だから、中指立てるやつあるだろ?

 FU◯K!みたいな。

 あれやったら死んだんだ。

 MP全部なくなったけどな。」


「あ、ああ、そうなんすね…。

 一応魔法…なんでしょうね。

 確かそのジェスチャーの名前は…『the finger』だったはず…。

 …中指、絶対に俺に向けないでくださいね…。」


流石の光も引いている。


「どうやって持って帰ろうか?

 俺は持てないよ。

 中指以外非力だから。」


「ふっふっふ。

 俺っちにはこれがあるっすよ!

 【アイテムボックス】!」


「あ、そうだったね。

 これも入るの?」


「なんか普通に喋ってくれるようになってきたっすね…!

 嬉しいっす!」


「…いや、別に。」


「照れちゃって!」


ちょっとイラッとしたので、デコピンをしようとする蒼真。


「いや!

 それだけはまじでやめて下さい!

 すいません!!

 シャレにならないっす!!」


(ちょっと試しにやってみるか。)


右側にあった瓦礫にデコピンをする蒼真。



ボッ…ゴォ…ォォン!



「うわ…。」


「いやいやいや!

 あんたこれを俺にしようとしたんすか!?」


「悪い。」


「悪いじゃすまないっすよ!!

 マジで!!

 これじゃまるで雷神の槌…。

 『中指ミョルニル』じゃないっすか!」


「みょ…?」


「『中指ミョルニル』!

 雷神トールの使ってた槌っすよ!」


(そういうの詳しいな。)


2人はキマイラとミノタウロスを【アイテムボックス】に収納し、今度こそ町へ向かった。

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