第4話 世界最強になりました

「ん…。」


意識を取り戻すと、その場所は荒れ果てた廃墟だった。


大きな城だったのか、かなりの広範囲に廃墟跡が広がっている。


屋根はなく、青空が眩しく光っていた。



「…ああ、そういうことね…。」


生存率0%。


早速その意味がわかってしまった。



「グルルルルゥ…。」



冒険が始まったばかりとは思えない、ゲームならラスボスのいる城に出てきそうなヤバいモンスターが歩いてきた。


(頭はライオンとヤギ…、尻尾は蛇だね。

 なんか羽根も生えてるけど…、これはあれだ。

 キマイラってやつだな。)



「グゥウオオアアア!!!!」



(最初の町からこんなの出てきたら、そりゃ死ぬわ!!!)



「くそっ!!!

 やるしかない!!!

 きやがれ、クソ野郎!!」


キマイラに向けて、中指を立てるジェスチャーをする。

(「FU◯K Y◯U!!」ってやつ)


すると、蒼真の中指が怪しく光る。


「グゥ!?

 ………オォ……。」




ズ………ン………。




キマイラが…、死んだ?



「マジ?」




『レベルが上がりました。』




************


名前:古仙蒼真

Lv:1→65

HP:100

MP:10

耐久力:10

力:10

素早さ:10

器用さ:10

魔力:10


(中指)

耐久力:2000→34000

力:2000→34000

器用さ:2000→34000

魔力:2000→34000


************




「うおっ!!!

 めっちゃ上がった!!」



そう。


蒼真は女神に相談しポイントを調整させてもらった時、右手の ”中指” だけが成長するように制限をかけたのだ。


その分ステータスが500に爆上がりしたが、いかんせん中指しか上がらないため、まだ不安であった。



この世界のステータスは上限があり、1000まで。


それにバフやら装備やらで補正がかかる。


だが、蒼真の中指はステータス補正は一切効果がないらしく、上限まであげても蒼真は自分が生き残れないと考えた。



そこで、本来もらえるはずのスキルや加護を全てポイントに変えたのだ。


鑑定も。


アイテムボックスも。


経験値2倍も。


スキル習得がものすごく早くなるエテラナの加護も。



それどころか、「スキルを覚えなくていい」と、さらに制限をかけるよう頼んだ。



その結果、中指のステータスはこの世界の上限を突破。


現在に至る。



ちなみにキマイラを倒したのはスキルでなくて、魔法。


MPを全て消費して発動する即死魔法だ。


蒼真は知らないうちに使っていたが、キマイラに効いたのは幸運だった。


即死魔法は相手との魔力差によって成功率が変わるのだが、実は50%くらいの確率だったのだ。



「だけど…、ちょっと、いやかなり…、体がだるい…。」


MPを急激に全部使い切ったため、疲労感がすごい。



だが、休ませてはくれないらしい。


空からまた強そうなのがやってきた。



(鷲と、ライオンと…、馬かな?)



モンスターは蒼真の真上で動きを止める。


なんか嫌な感じがする。



(もしかして、魔法使おうとしてる!?)


中指以外は一般人のステータスしかない蒼真が魔法なんて喰らったら、絶対死ねる!



蒼真は急いで足元に落ちていた小さな石のかけらを拾った。


そして狙いを定めると、中指で弾いた。



ッ…ドッ……パーン!



モンスターが爆散した。




『レベルが上がりました。』




************


名前:古仙蒼真

Lv:65→66

HP:100

MP:10

耐久力:10

力:10

素早さ:10

器用さ:10

魔力:10


(中指)

耐久力:34000→34500

力:34000→34500

器用さ:34000→34500

魔力:34000→34500


************

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る