第2話 プロローグ②
「…」
「……。」
「………さん。」
「…まさん。」
(…ん…?)
蒼真が再び目を覚ますと、また真っ白な空間。
「古仙蒼真さん。
目が覚めましたね。」
声の方を向くと、そこには綺麗な…いや、綺麗という言葉では表しきれないほどの美女が立っていた。
これを神々しいというのだろう。
呆気に取られてると、女神が少し照れながら話しかけてきた。
「そんなに見つめられると、少し恥ずかしいです…。」
「あ、す、すみません…。
ここが…、異世界?」
生存率0%の厳しい世界とは思えないが。
「いえ、まだ神界です。
私は女神、エテラナといいます。
実は、あなたは予定されていた転移者じゃないみたいなんですが、よかったらここに来た経緯を教えてもらえますか?」
「…はい。」
蒼真は死ぬ前のこと、さっきのクソジジイとのやりとりを女神に話した。
「…あのクソジジイ!」
「え?」
「…あ!
すいません、つい本音が…。」
「あ、大丈夫です…。
俺も同じこと本人に言ったので…。」
「そう、ですよね…。
蒼真さん、本当にすみません。
あのクそ…神は、邪神に近い神でして、素行の悪さから動けないように力を抑えられていたのです。」
「じゃ、邪神!?」
「邪神ではないです!
かなり近いのは近いんですけど…。
それでおそらく、結界として張っていた縄が外されたことで力が戻ってしまったんでしょう。
本来なら一定の周期で該当する者が転移者として選ばれるんですが、神が直接手を下してしまった蒼真さんはイレギュラーとして神界にやってきたようです。」
「マジかよ…。
しかも、転移先は生存率0%って…。」
「…はい…。
しかもですね、あのクソジジイ、蒼真さんが本来得られる力を抑えつけてるみたいなんです…。」
「ど、どういうことですか!?」
「すみません…。
申し上げにくいんですが…、蒼真さんの得られる力は『両腕』だけに限定されてしまっています…。」
「両腕…って、ちょっとわからないんですけど…。」
「ご存知かもしれませんが、転移者は強力な力を得て転移します。
転移先の世界にはステータスがあって、レベルが上がることでそのステータスも大きくなるんですね。
転移者は最初は普通の人と変わらない強さですが、レベルが上がればその世界の中では敵がいなくなるくらいの強さになります。
蒼真さんは、『腕だけ』ステータスの恩恵を得ることができる状態になってるんです…。」
「じゃあ…、その分他の転移者より腕だけは強いとか…?」
「いえ…、それが…、腕に関しても他の転移者と同じ強さなんです…。」
「え?
それって…、転移してもやっぱり死にます?」
「そもそも生存率0%ですし…、それがさらに厳しくなるかと…。」
「ど、どうにかならないんですか!?」
「私もどうにかしたいのはやまやまなんですが…、そこは転移前の世界の神の領分でして、強くすることはできないんです…。」
「強くすることは…、ってことは、他には何かしてもらえることがあるんですか!?」
蒼真は必死だ。
先ほど無念の死を遂げたばかりなのに、またすぐ殺されるのは嫌だ。
当然である。
「制限を増やすことはできますが…、生き残ることは難しいかと…。」
「制限を増やすって具体的にはどういうことですか!?」
「例えば、ステータスの恩恵を受けられるのを両腕から片腕にする、とか。」
「う…、そ、それは…。」
言い淀む蒼真。
しかし、なんとか突破口を見つけたい。
「その場合、やっぱりステータスは強くならないんですか?
半分になる分、2倍の強さになるとか…。」
「ん~、どうかな…。
こんな制限初めてなので…。
やってみないと、なんとも言えないです…。」
「やってください!!」
「やってしまうと、元には戻せませんよ?」
「構いません…!」
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