第10話 Bench Time
死にかけモーゼは後頭部に出来た寝癖も気にせずに中庭にある自販機で飲み物を買い、一旦休憩と言って近くにあったベンチに座った。
俺も愛も一緒にそのベンチに座ってモーゼの容態を静かに心配していると、そんな俺たちを見てモーゼは笑った。
結心「そんなに見るなよ。息してるじゃん。」
愛「…でも、唇まだ少し青いです。」
結心「んー?そんなに俺の唇気になっちゃう?」
と、モーゼは愛に顔を近づけたので俺は思わず壁を作る。
愛「気になるけど、そう言った意味じゃなくて…。」
結心「分かってるよ。らぶ子の口紅借りちゃおうかなぁ。」
そんな呑気なことを言うモーゼに愛は心配そうな顔をしながら唇を尖らせると、モーゼは小さいため息をついた。
結心「怖がらせてごめん。お詫びに裏文化祭見せてあげる。」
愛「裏、文化祭…?」
俺たちはそんな話を初めて聞いたので色々思考を巡らせるけど、どんなものがあるか思いつかない。
結心「祭りは蜜壺だから。ままごとの出店なんか回るより面白いよ。」
愛「…そうかな?」
と、愛は俺の目を見て尋ねてきた。
とと「愛はどっちしたいの?」
愛「んー…、どっちも。」
とと「“裏”なんてつくもの危ない事しかないと思うよ?」
愛「でも、どっちもあるなら2つとも楽しみたいよ…。」
結心「…そっか。んじゃ、ままごと周りつつ見るか。」
愛「舞台とかそういうのなんですか?」
結心「鑑賞系ではあるね。」
愛「へー!楽しそうだね、ととくんっ。」
愛はとても嬉しそうに笑いながら俺にそう言った。
こうなってしまったらもう仕方がない。
俺は愛と一緒にいられればそれでいいし、危なそうだったら引き戻せばいい事だ。
モーゼもこの間よりは気が知れてきたし、変なことは今のとこされてないから大丈夫だろう。
俺は少し心配ながらも愛がしたいようにしてもらおうと話に乗ると、モーゼは愛が持ってるいちごミルクをひと吸いして愛の太ももを枕にした。
結心「やっぱだるい。休憩。」
と、モーゼはそのまま寝タバコを始めた。
枕にされている愛は俺に抱きつきながらも顔を赤くさせ、心臓を高鳴らせる。
愛「だ、大丈夫ですか?凛先生呼んできますか…?」
結心「いい。少しだけ横になってれば治る。」
愛「そ、そうですか…。」
そんなことを言って20分。
しっかり愛の膝枕を堪能した
結心「コーラ、ぬるまったかな。」
と、助平は顔がずっと真っ赤な愛にコーラのボトルをつけると、俺にコーラを手渡した。
結心「家で冷やして飲んで。ニーナって冷えてないとキレるから。」
そう言って助平は自販機前に行き、コーラを買いに行った。
とと「スケベ野郎はぶちのめしていいよ?」
愛「あ、あれはたまたまだと思うから…。」
たまたまで脚の付け根近くまで撫であげるかとも思ったけど、愛が怒らないならしょうがない。
とと「自分の身は自分で守らないとだからね。」
愛「…ととくんいるから大丈夫だもん。」
とと「それでも自分で判断しないといけない時はあるよ。」
俺はこれからの愛が心配でどうしようもなくて、愛と目線を合わせて話したいけど愛は俺から目を背けたままで何も答えてくれない。
結心「2人とも行くぞー。」
愛「あ、はーいっ。」
愛は俺との会話がなかったかのように俺を抱き直し、助平の元に駆け寄って一緒に保健室へ戻った。
環流 虹向/桃色幼馴染と煙気王子様
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