第11話 男役をやめて20年以上経つけど、男が抜けない


 エキストラというのは、過酷である。


 正直、全天候型劇場で、全天候型稽古場で、ぬくぬくと生活し。


 なおかつ、学生映画に3回参加して、学生生活の合間に、サクッと映画を撮るすごいやつら。


 なお、映画研究会でもなんでもなく、1回目は学苑祭、あ、水戸一高だと、学園祭じゃなくて、学「苑」祭です。高校1年生なのに、特殊撮影できる人がいまして、その関係で、クラスの出し物で、特殊撮影の映画撮っていたのを。


 はためで、要するに、傍観者として、先輩が出てる姿を見ていました。


 いや、その。


 子役の先輩が、出てまして。


 確か、コロナ禍で、演劇、配信してたな。


 あ、バレる。


 自分の経歴と、本当の名前とが。


 で、2回目は、

 学苑祭の、確か、一般的には後夜祭、水戸一高だと、あとまつ、あとのまつり。


 実行委員会には、2回目の参加。


 去年参加した先輩が全員いなくなったため、ただのスタッフだった私が、引き継ぎを。


 まぁ、後輩全員、仕事ができたから、気がついたら、出来上がってました。


 自分の声入り、手だけ出演映像。


 手タレか、わたしは。


 しかし、その時。


 その後。


 酒なしの、打ち上げ。


 つまり、水戸一高というのは、荒れた高校で、見た目はエリート、選良だったが、高校の頃から酒に手を出す人間は、いたらしい。


 らしい、というのは。


 知っている範囲だし、思い込みが激しい私だが、私は、かつて、水戸一高にいた先輩から、こう聞いた。


「学苑祭ではしゃぎすぎて、酒飲むなよ」


 学生運動の影響で、制服のない高校だったので、酒を買う生徒がいたらしい。


 教師も水戸一高の出身、つまり、卒業生が大半であり、見た目は美しいが、中身は、荒れた高校、というのが、東大合格者数上位である、この高校の裏側であった。


 舞台六番目の小夜子で、出演者の1人に、ビアホールの宣伝隊長が居るのは、偶然ではない。浴びるように、酒を飲む人間を、酒を飲み慣れている人間は、私は高校時代に見た。


 要するに、貧困家庭であれば、酒を買うのにも不自由し、荒れる程度には限界がある。


 ところが、otherwise、そうでないと、ある程度金があるのである。


 東大へ子供を送り出す、親の平均年収は、確か1000万円である。


 20年前の時点で、年収300万円時代が来ると予想されていたので、おそらく、日本人の平均年収は400万円だったのではないだろうか。


 それに、その約2.5倍である。


 であるなら、高い酒も買えるし、高い薬も買えるし、歯止めが利かないので、依存症の程度が上がる。


 金さえなければ、と言う地獄がそこにはあった。


 今思えば、彼らが私をいじめたのは、ただの現実逃避ではなかったのだろうか。


 映画の撮影に明け暮れたのは、つらい現実を忘れるためであって、彼らにも後ろ暗いところは、あったのではないか。


 と、東映特撮に出た俳優と、これから公開される、とある東映映画に出てる俳優が出演している、同窓会と言う演劇の配信を見て思った。


 そもそも彼らは、私にとっては、観客席にいるただの人間で、舞台に手出しができない傍観者である。


 2.5次元演劇と違って、我々現代演劇の人間は、わかりやすい声援であったり、拍手だったり、皆様、一様にお上品なので、カーテンコールぐらいしか、ファンサする機会はない。


 しかし、妄想というのは恐ろしいもので、ただ私が目があったと言うだけで、あなたのファンですと愛を向けてくる観客が何人かいたのは事実である。


 むしろ迷惑であった。


 当時の私は稽古場で男を積極的に引き受けており、残念ながら、私にはそのけがなかった。


 同性愛者。

 

 要するに中身が男なので、よっぽどのことがない限り、男に惹かれると言う事は無い。


 男たろうと、努力はしている。


 努力をした先、玉砂利は音を立てず歩けるようになったし、少しずつ神の領域へと近づいていき、やがては、信者が山のように集まるようになっていたのだ。


 最近になって、1人の教祖が死んだ。


 教祖を責める声が私のTwitterでは大半である。


 同窓会の配信部屋でも、信者を惑わす教祖が悪いというのが大半である。


 しかし、ヒトラーは単体では存在しない。


 もしもあの場にいる大衆が、彼を支持しなかったら。


 もしもあの場にいる大衆が、彼らを、ナチスドイツを糾弾していたら。


 命をかけて、彼を止めていたら。


 何百万人と言う人間が。


 その中には、知的障害者、発達障害、同性愛者、精神病患者、ドイツ人にふさわしくないとされた女性、ユダヤ人、共産主義者、政治犯、もしもあの時代に、もしもドイツに生まれていたら、私は収容所送りなのではないか。


 ジャンヌダルクを処刑場に送ったのは、大衆の支持があってこそである。


 イエスキリストを処刑場に送ったのは、大衆である。


 大衆は忘れっぽく、その罪を誰かに求める。


 自分たちは悪くないのだと。


 大衆が罪を引き受けていれば、

 ここまで、アジアの人々からの責めを受けることなかったのであろうか。


 ただ、個人的には。


 日本が去った後の朝鮮半島を食い荒らしたのは、米国とソ連とそれに乗っかる勢力であり、強い日本がいなくなったことを、彼らが恨むのは仕方ないのではないだろうか。


 彼らが望むのは強い日本であって、おそらく今の日本では無いのだろう。


 それを有識者がわかっているからこそ、韓国人は日本人は歓待するのではないだろうか。


 とはいえ、歓待するのは一部の韓国人であり、今でも一部の韓国人は日本を嫌っている。


 確かにそうだ。


 私だって、この日本に他の国の人間が来て、異国の言葉で堂々としゃべるのを聞くと、虫唾が走る。


 それにつき従うのを見ると、


 ここは日本だ。


 この耳障りな英語をやめろ。


 大変申し訳ないが、日本から出て行ってくれないだろうか。


 と思う。


 とは言え。


 礼儀正しい黒人もいて、

 きれいな英語で話すので、戸惑う。


 何故かわからないが、黒人と言うのは、日本人に対してどうも幻想を抱いているらしい。


 それはブルースリーの影響であろう。

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