第4話わたしは誹謗中傷の加害者に感謝しています。

 書くかどうかずっと迷ってた。

 でも、書く。

 カクヨム大賞の締め切りをすっとばして。


 先日、人事評価が返ってきた。

 かえってきた人事評価は最悪の極みだが、まぁ、役者は


 と思ったら、わたしは誹謗中傷の加害者に対して、感謝の念が湧いてきました。


 その節はありがとうございました。

 わたしが3年間、青春も恋愛も普通の暮らしも捨て、アイスクリームもポテトチップスも甘いものも全部制限されてそれで積み上げてきたすべてを、壊してくれてありがとうございます。


 あなたがた誹謗中傷の加害者には感謝しています。あなたがたはどんなに頑張っても努力が報われないこと、私の話は誰も聞いてくれないこと、私の仕事は誰も評価してくれないこと、そう言った大切なことを教えてくれてありがとうございます。


 とでも言うと思った?


 コロナ禍で思い出したんです。


 ああ、私、人間じゃない化け物だと思っていたな、と。


 人間扱いしてもらえなかった。


 人間じゃない、と、誹謗中傷は人を変え年齢を変え性別を変え、すべての人類が敵でした。


 推し活を通して、初めて、推しから、人間としての扱いを受けて思った。


 あ、仕事だったんだ。舞台に立つって。演技するって。

 


 ねぇ、知ってる?私の本名、私はずーっとたたかれ、これから死ぬまでたたかれるんだよ?


 14歳の頃から17歳までファンの男と寝た女だって。


 14歳のある日、後輩からふざけながら、「ファンと付き合っているって本当?」


 今でも覚えている、茨城県の水戸芸術館のリハーサル室Aで、舞台稽古の真っ最中、まだ20世紀だったかな。だって2000年だったし。


 ねぇ、誹謗中傷の加害者は、いまだに私の彼氏がファンだと思っているんだよ?14歳で男と付き合っているって思いこんでいやがるんだよ?


 私が初めて付き合った彼氏、20代後半だよ?10年以上も違うんだよ?

 


 21世紀になってもう22年経つ。


 もう、あの頃の私なんて誰も知らないし、芸能界で活躍している人間は、私よりずっと年下、いや、あの頃、2000年ごろは、自分が将来舞台に立つとは思っていないぐらい子どもだったんだよ?生まれていない人間だっているんだよ?


 私は本当はあっちがわだったんだって、舞台を見るたびに、映画を見るたびに、テレビドラマを見るたびにかきむしられそうになる。


 私が一番綺麗だった頃、私は誹謗中傷にあっていた。

 私が一番綺麗だった頃、私は将来の夢を絶たれた。


 女優としてデビューする絶対条件は、18歳から22歳までに表舞台に立つこと。私は、ダメだった。誹謗中傷にあい続けたダメージは、いまだに続いて、この痛みは死ぬまで続くんだろーな。

 誹謗中傷を受けた人間は、私を使って思春期のストレス解消ができたおかげで、上に行ったらしい。知っているんだよ、お前らが水戸一高に行って、六大学行って4年で卒業したのは。


 そして、会社で新卒に入って、素晴らしい実績をとって、結婚して子供を産んで、君はこう言うんだ。


「いじめはよくないよ」


 死んでくれ。今すぐ腹切って死んでくれ。それがお前らにできる唯一の謝罪だ。


 死んでくれ、誹謗中傷の加害者。死んだら迎えにいくよ。お前らの死体を蹴り飛ばしてバラバラにして中国に臓器を売り飛ばして、尊厳のある死なんて許さない。


 死んでくれ、今すぐ死体になってくれ。

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