第24話 ネトゲ回エピローグ

ユキトが今回の事件が終わったと思って帰って寝ているころ。延長戦が行われていた。




場所はカナタの部屋。




そこにはカナタと顕現したサタンとマモンがいた。




「サタン、どうして?」




「・・・」




「ちょっと待って、タナカきゅん」




マモンは神殺しの槍(ロンギヌス)から必要経費として金を貰い、ゲーミングパソコンを一台手に入れてきていた。




サタンは無言でパソコンの前に座り、ネトゲにログインする。






ピコン!






サタン《カナタ、お前を苦しめて申し訳なかった。消えろというなら今すぐ消えよう。でも俺はずっとお前のことを弟のように思っていた。だがお前と話そうとすると緊張で声が出なくなる。だからお前が望むならお前とともに消えてもいいと不貞腐れていたのかもしれない。だがそんなときマモンからお前と意思疎通ができるものがあると聞いた。更にその中ではお前の役に立てるという。だからこそ俺は顕現をして今度こそお前に謝りたいと、手助けをしたいと思ったのだ。もしお前が許してくれるならどうか俺を側におい》




「サタン、チャットならめっちゃ話すやん。てか文字数制限超えたな」




マモンは呆れながら見守る。




タナカ《サタンが僕のことをそんな風に思ってくれてたなんて。それなのに自分の不甲斐なさを君のせいにして、僕こそごめん》




サタン《いや、悪いのは俺だ。お前が謝る必要はない。もうお前に辛い思いはさせない。何なら能力を一生使わなくてもいい。だから俺にお前を見守らせてくれ。そして現実世界では力になれないかもしれないが、このネトゲという世界の中で俺はお前のために全力を注ぐと誓う。だから俺をどうかお前のパーティに入れてくれ。ここに来るにあたりマモンからゲームの全容についてきいた。聞いた感じ、今のカナタ、ザノザ、マモンパーティに必要なのはカナタや皆を敵から守る前衛職が必要だろう。何よりも俺は敵からカナタを守りたい。そこで考えたのだが、盾職である武士がいいのではないかという結論に至った。俺は常にお前をどんな攻撃からも守って見せる。だから側にいてもいいか?》




「さっきより長いやん。文字制限どうやって解除した?」






タナカ《うん、これからは武士として僕を助けてくれ。あとここではタナカだよ?》




サタン《、、、タナカ、ありがとう。俺はこれからまずレベル上げに注力し、お前の役に立てるように防御力を中心にステ振りをしていこうと―




「もういいや、帰ろ」




マモンは最後まで見ずに帰って行った。






こうしてめでたくサタンは4人目のパーティメンバーとなったのだ。















イギリス、ロンドン、トラファルガースクエア、快晴。日当たりのいい外のテーブルで優雅にランチをとっている男が二人。




「飯は大したことないが酒はうまいな」




「魂はいかがでしょうか?」




アバドンとサマエルである。




「ふん、人間の魂の味などどれも変わらない。所詮は猿よ」




休日の昼下がりトラファルガースクエアには天気がいいのもあって沢山の人間が集まっていた。そしてアバドンに近いものから順に倒れていく。




電池が切れたかのように突然、糸が切れたかのように自然に、ただの抜け殻になっていく。




「アバドン様、これからどうしますか?」




「神から世界を奪うといっても、まだ戦力的に心もとない。向こうにはまだ四大天使がいるしな。だから奴をこちらに引き込む」




「ルシファー様ですか?」




「ああ、あいつも今では悪魔に堕ちた。光の力を失っているから昔ほどの力はないだろう。ならば調伏し配下にしてしまえばいい」




アバドンもルシファーも元は神に仕えた天使。2人共神に反抗して悪魔に落とされた者同士だ。




「ルシファー様なら今日本の悪魔憑きに憑いています」




「そうか。ならその悪魔憑きを殺して受肉させよう」




「では向かいますか?日本へ」




「ああ、次は日の出国に向かうとするか。食事も済んだ」




アバドンが立ち上がった時にはトラファルガースクエアに立っている人間は一人もいなかった。そしてアバドンとサマエルは日本に向かって動き出す。


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